おおwanが、立っています。
大好きな雪の中に。
走ることが出来なくなった今、
遠い昔を振り返っているかのように思えました。
前日の夜は、もうこんな姿を見ることができないかと・・・
おおwanは、近頃、時々立ちくらみのようにフラフラッとします。
その夜も、そうでした。
もっと外にいたいと、迎えに行っても家に入ろうとしません。
食事の支度もあるし、もう少しだけ遊ばせておこうかと
家の中へ入ろうとした時
ちいwanが飛び出してきて、おおwanの所へ駆けて行きました。
その時でした。
おおwanの身体がフラフラッ。
右に傾き、50~60cm程下の花壇に転がり落ちました。
雪の中にうづくまるオオwan。
精一杯首を伸ばし、助けを求める仕草に
母はただならぬ状況だと知り、その場へまっしぐら。
抱きかかえようとした、その時
おおwanは、雪の中にコトンと頭を落としてしまいました。
イヤァ~!
思わず叫んでしまいました。(隣に家がないので幸いでした)
おおwanを両腕に抱え、動転していた母は
その段を上ろうとしましたが、おおwanの重さと雪で上れません。
家の中から、少し前に帰宅した父の声が。
「そっちから来い。」
(そっちって、どっちよ!)
おおwanを抱え、ウロウロ。
あっ 下に降りればいいんだ!
軽くなったとはいえ、気を失ったオオwanの身体は、とても重く思えました。
落とさないように、滑らないように、一歩づつ・・・
家の中のマットの上に、おおwanを寝かせると
「早く家の中に入れろよ」
そこは家の中よ、そう思いましたが
父も相当に動転していたのでしょう。
おおwanの濡れた身体を、タオルで拭いているつもりでしたが
「落ち着け」
えっ 私、何か変だったのかしら?
「動かすな」と言ったかと思うと
「下になっている部分を拭くから、身体を起こせ」
(動かすなって言ったでしょ)
母は、気づかなかったのですが
瞳孔が開いてしまっていたらしく、父も慌てていたのでしょうね。
タオルを何枚も身体に掛けて、横たわるオオwanを見守りました。
ちいwanも、いっしょに覗き込んでいます。
「心臓の動きも、呼吸も弱いし、だめかもしれないぞ」
えっ そんなぁ~
大好きな雪の中で記憶が止まるのだったら、それもいいか・・・
雪の中を走り回っていたあの頃の、おおwanの姿を思い出していました。
この頃のことを・・・
(1994.2.12 初めての雪 大田区の埋立地で駆け回るおおwan)
暫くして、ちいwanが、おおwanの鼻先に自分の鼻を近づけツンツン。
おおwanの身体がピクッ。
あっ 意識が戻ったのかな・・・
身体を覆うタオルが、おおwanの身体から落ち、立ち上がりました。
あっ 動いた!
ヨタヨタとした足取りで、お水の器の方へ歩いて行き
ガブガブとお水を飲み始めました。
よかたぁ~
その間30分程でしたが、とても長い時間のように思えました。
あっ あと30分で、日付が変わっちゃう。
早く食事にしなければ・・・
父も母も既に空腹感はなく、安堵感でお腹いっぱいだったのでしょう。
殆ど口にすることはできませんでした。
何度も雪の日があったはずなのに
雪が積もると思い出すのは、決まっておおwanのいる光景。
2008年2月の雪にも、しっかりと足跡を残した、おおwanでした。
本当にびっくりさせられました。
その後は、いつも通り
ヨタヨタ、スヤスヤ、時々ピョーンと過ごしています。