彼方への旅(冥王星)
やっとやっとテーマ日記最終回、大円団を迎えました。9惑星はちょっと長かったですね、正直言って。というわけで最終章「冥王星」を本日はお送りします。本題に入る前に、この「冥」という漢字は訓読みでなんと読むか、皆さんご存知でしょうか?冥い(くらい)と読みます。暗いと同じ意味の明かりの無い状態、暗黒のことを指しているのです。これで冥土や冥界という言葉のもつニュアンスが理解していただけるものと思います。冥王星自体についてはなにせ遥か彼方の惑星なので、データも少なく特徴としてもこれといってエキサイティングなところのある惑星ではありません。この惑星を題材として一体何を書こうか悩んでいると、かの同志武蔵野唐変木様よりいろいろアイディアを頂きました。いずれも頭の中にはある事柄ではあったのですが、氏には格別の御礼をここで述べさせていただきたいと思います。感謝多謝武蔵野唐変木様。まず冥王星の概要ですが、太陽からの平均距離59億km、天文単位で言いますと40天文単位でほぼ海王星の太陽間距離の1.3倍、天王星の2倍です。直径が2300kmで質量は地球の6分の1という小柄な惑星です。このせいもありまして地球からの観測ですとその詳細を知るのはとても困難でした。地球軌道上の宇宙空間に浮かぶハッブル宇宙望遠鏡をもってしてもはっきりした映像を得ることは難しいようです。冥王星の衛星はカロンと呼ばれ、冥王星の1/2の大きさで惑星の衛星としては主星との比率がとても大きく、しかも冥王星からの距離が2万km(地球と月の20分の1なのです!)と非常に近いところを公転しており、昔の観測者は冥王星の形が団子が2つくっついたような西洋梨のようなかたちに変わったりしたため大変不思議がったようです。形態としては二重惑星とも言えるような惑星系です。ところで私は前回の日記で現在も海王星が冥王星よりも遠くにあるように書いてしまいましたが、これは私の間違いで冥王星の軌道が海王星より内側にくる期間は1999年までが正確なデータでした。お詫びとともに訂正させていただきます。さて、太陽系の末弟として冥王星は現在は最遠の惑星なのですが、これより遠くはどうなっているのでしょう?また第10番惑星はあるのでしょうか?このことについては番外編として今まで知られていること、あるいは予想されていることを次の日記にて書かせていただきます。今回は私が子供の頃に読んだ漫画のお話で締めくくりたいと思います。その本は「○年生の科学」という子供向けの科学雑誌だったのですが、この雑誌に園山俊二氏が第10番惑星を題材としたSF漫画を描いていたのです。残念ながら詳しい内容は忘れてしまいましたが氏のペーソス溢れる画風とSF的設定が妙にマッチして印象的だったのを覚えています。今もなお、人間は彼方を目指して探査宇宙船を飛ばし、高機能の観測装置を開発し未知の世界への探索を続けていますが、中にはそんなことに莫大な金や労力を使うより地球内の問題を先に片付けるべきだという意見もあります。皆さんの中にもそう考えておられる方も少なからずおありだとは思います。しかしながら、このような人間の飽くなき探究心や好奇心が人間を人間たらしめているという事実もわかっていただきたく思うのです。ひょっとしたらそのような知的好奇心を持ち続けることが、人間の宇宙における使命かもしれません。このテーマ日記に最後まで協力していただいた武蔵野唐変木様にあつくお礼を申し上げるとともに氏の回復を心からお祈り申し上げます。日記リンクサロン・ド・トーヘンボク