自分になっていく
「年をとるっていうのはどんどん自分になっていくっていうことよ」10歳以上年長の知人が話してくれた言葉です。この言葉を聞いた時、私はちょうど forties crisis (40代の憂鬱)の真っ只中でしたが、ふっと肩の荷が下りた気がしました。今まで溜め込んできた色々な余計なものを取捨選択し、自分にふさわしいものだけ残していく。それは物質面はもとより精神面においても、より重要なことなのでしょう。つまり、年をとればとるほど、本来の自分に近づいていくのです。(この場合、自分に「戻る」という表現は適切ではありません)それは自分のことをもっと深く知り、自身と和解していくことでもあると理解しました。歳をとることはそれほど悪いことではないと、うすうすは感づいていましたが、人生の折り返し点を過ぎ、少々焦り気味だった私に、年齢を重ねるということは実は楽しいことなのであると、明確にイメージの転換を促してくれた大事なひとことでした。