テーマ:Jazz(1977)
カテゴリ:★★★★☆
猫麻呂ブログには珍しい女性ヴォーカルものが登場だ。こんな猫麻呂も、アニタとダイナ・ワシントンが実は好きだったりする。アニタ姐を最初に聴いたのは映画「真夏の夜のジャズ」でのワンシーンだった。アニタ姐は、黒服に白い手袋&帽子のお姿で、オトナの色気ムンムン。ここまでなら阿川泰子と大差ないかもしれないが、スウィート・ジョージア・ブラウンのスキャットトが鳥肌モノの凄さ・・・。この人、歌姫というよりは根っからのジャズ屋なんだなあ。
という訳で、アニタ作品はストリングス入りよりも管楽器だけのオーケストラの方がジャズっぽくて好きだ。この作品、ゲイリー・マクファーランドのアレンジもジャズっぽいし、参加しているメンバーがおいしい。フィル・ウッズにズート・シムズですよ。渋いところではハーブ・ポメロイ、ジェローム・リチャードソン、ボブ・ブルックマイヤーというのも泣けるなァ。支えるリズムセクションはハンク・ジョーンズにメル・ルイスとデュビビエというのもいいな。バリー・ガルブレイスのギターなんて渋いのも聴ける。メンツを見ただけでも聴きたくなるでしょ? アニタ姐は、この作品でもいつも通りにハスキーで辛口なオトナのジャズヴォーカルといったところ。CDの日本語ライナーに岩波洋三が面白いことを書いていた。「アニタは宵越しの金は持たないといった江戸っ子風の生き方を好み、いまや女傑という存在の歌手」で「常に背水の陣の緊張感を保ち続けて歌って来た」というのだ。ナルホド!確かにアニタの歌い方は「江戸っ子」を感じる。猫麻呂が女性ジャズ・ヴォーカルを敬遠しているのは、ネチャーっとした歌い方やその逆のオトメチックな歌い方が苦手だからだ。その点、アニタの江戸前風ヴォーカルなら安心して聴ける。しかも、アニタのジャズっぽい歌いっぷりを「背水の陣の緊張感」というのは巧く言ったものだ。アニタの歌にはパーカーやアート・ペッパーに感じる危なっかしい匂いがするような感じがしていたのだ。 今回も作品のことにはあまり触れていないが、猫麻呂的には"Boogie Blues"が好きだ。ジーン・クルーパ楽団で歌っていたレパートリーの再現だが、嫌が上でも盛り上がる。フィル・ウッズの情熱的なアルトにも萌えぇーだ。その他で面白いのはマクファーランドのオリジナルも"One More Mile"、"Up State"とアル・コーンの"Night Bird"だろう。アニタが器楽奏者と対等に勝負できるヴォーカル奏者だったことが良く分かる。こういう歌い方ができて、しかもキレイな姐さんというのが、最高にかっこいいと思う。 猫麻呂:★★★★☆(4.5) Anita O'Day /All The Sad Young Men (Verve) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年10月19日 21時17分28秒
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