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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
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2007.03.21
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カテゴリ:美術館日記
朝、ベッドの中で「美術館へ行こう」と決め、窓を開けたら昨日までよりずいぶんあたたかかった。
春のワンピースに上着を羽織って、いそいそと出かける。

駅までの道、橋の下に白サギがいて、水辺で魚を探していた。
桜はつぼみをふくらませ、こぶしは白い花を次々ひらいている。
ああ、春が来たんだ。

歩きながらふと、いつか嵐山で見た、桜のことを思い出す。
あずき色の阪急電車が止まって、扉がひらくと、それを待っていたように、花びらがはらはら吹き込んでくるのだった。
桜のころになると思い出す、あの気持ち。
わたしが幸福そのものだと頑なに信じていたあの絶望は、3年のあいだに、花びらのひとひらみたいにどこかへ飛んで行ってしまって、今はただ、ほほえんで抱きしめたくなるような残り香だけ、手のひらに残っている。

上野へ。
オルセー美術館展を見るつもりで、がんばって並んで入ったのだけど、とても絵を見るような環境ではない。
美術館が、満員電車状態。
祝日だし、会期終了間際なので、仕方がない。
モネの「ルーアン大聖堂」だけしっかり目に焼き付けて、脱出。
小林秀雄じゃないけど、絵画は静かな場所で、じっと向き合ってみるものだな。

気を取り直して、三番町、山種美術館。
九段下の駅に降り立ったら、桜を待つ千鳥ヶ淵に春の風がさっとふいて、せいせいする。
胸のすくような思い。

菜の花

山種美術館では毎年、この季節に桜の展覧会をひらく。
速水御舟の、石田武の、東山魁夷の、桜。
うっとりと見とれる。見とれるひとたちは皆、知らずに口もとがほころんでいる。
去年も見た桜なのに、今年もまた、長いこと足を止めて、色に心を動かしていたくなる。
そういう展覧会。
絵はがきをたくさん、持っているのにまた、買ってしまう。
桜のお香も。しっとりと清潔ないい香りだったので。

千鳥ヶ淵

帰りみち、何やら雰囲気のいいギャラリーを見つける。
窓から中をのぞくと、ずらりと並んだ「北原白秋全集」の背表紙。
我を忘れ、吸い込まれるように中へ。
魅力的な書棚。
あ、この本棚、知ってる。
どこで見たんだっけ?
そうだ。いつかテレビで見た、松岡正剛さんの番組
BGMに菊地さんの「京マチ子の夜」が流れていて。
あのとき、松岡さんのいた部屋、ここだ。
どきどきして、書斎のようになっているコーナーへ足を踏み入れようとするも「staff only」の注意書きに行く手を阻まれる。無念!

帰ってから調べてみたら、このギャラリーの棚は、松岡さんがつくってるらしい。
道理で。ただごとじゃない本の並びと思ったら。
そういえば、「千夜千冊」や「ISIS編集学校」のパンフレットも並んでいた。
ああ、忘れていた千夜千冊熱、再燃してきちゃったよー。





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Last updated  2007.03.21 20:01:15
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