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カテゴリ:美術館日記
諸手続きのため、ひとり電車で町に出る。
切れてしまったパスポートの申請。振込みや支払い。本屋さん。文房具屋さん。 地図を片手に、せっせと歩く。 慣れない場所をたくさん歩いたので少し疲れ、ハンバーガー屋さんに入ったらお姉さんの笑顔が素敵でほっとする。 人の笑顔に救われるのは、住み慣れた町でも新しい町でも同じですね。 帰りみち、美術館で院展を見る。 ひとつひとつの絵に物語を感じる見ごたえある展覧会で、電車の時間も忘れ、午後いっぱい滞在してしまった。 「院展」という名前の響きが、素人の自分には分不相応な気がしてなんとなく避けていたのだけれど、こんなに素晴らしいならもっと早く見ればよかった。 白馬と百合を描いた、幻想的な蒼い絵のはがきを1枚買う。 帰宅してからも日本画の鮮やかな色彩が心を離れず、東山魁夷の画集を開いた。 3年前、働き始めて2年目の春、わたしの住む町に東山画伯の展覧会がやってきたときの図録だ。 どこかなつかしくてやさしい色合いに心を移しながら、「描くことは祈り」という東山画伯の言葉を思い出す。 わたしにとって、書くことはなんだろう。 祈り、と言えるようになるまでに、どれくらい書けばいいだろう。 穏やかな暮らしが、小春日和の日ざしみたいにわたしをゆっくりあたためる。 堅いつぼみがほどけるように、書きたい気持ちが強まっているのを感じる。 書いてみようかな。誰かに知ってもらうためじゃなく、自分のために。 明日のためじゃなく、今日一日を少しだけ豊かに過ごすために。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.11.10 11:58:37
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