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カテゴリ:美術館日記
ジョット展を観にゆく。
ジョット・ディ・ボンドーネは13世紀から14世紀にかけて、イタリアで活躍した画家。 当時、西洋で絵画といえば、市井の人物や景物ではなく、神の姿や聖書の物語を描くのが当たり前だった。 文字が特権階級のものだった時代だから、聖書の物語をわかりやすく伝える役割も果たしていたんだろうな。 ジョットは聖書の登場人物に人間らしい感情をこめ、奥行きや影をつける描き方をはじめてためした人だ。 展覧会は、ジョットやその影響を受けた画家の手による聖母子像を集めたもので、絵画の性質を考慮して、それぞれ祭壇のようにしつらえた一段高いスペースに飾られていた。 700年も前に描かれた一枚の絵と、自分の体が同じ空間で向かい合っていることに、ほとんど陶然となる。 この絵の前に、どれくらいの数の人がひざまずき、祈ったのだろう。 いくつの祈りと悔恨を聞いてきたのだろう。 常設展示スペースには、モネの「税関吏の小屋・荒れた海」もあった。 モネの海…モネの絵をみていると、わたしは何だか19世紀のフランスの空気、そのにおいや手ざわり、日々の暮らしの「感じ」を思い出すような気がするのだ。 「思い出す」というのはもちろん比ゆだけれど。 伝えることへの執念と、わざ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.10.25 16:40:49
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