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テーマ:今日聴いた音楽(75633)
カテゴリ:音楽日記
原田郁子ちゃんのソロアルバム三部作のうち、まんなかの「ケモノと魔法」、それにいちばんあたらしい「銀河」を手に入れる。
最初の「気配と余韻」は持っていて、「あとのふたつもきっとすごくいいんだろうなあ、ほしいなあ」と思いつづけていたから、嬉しいきもち。 どちらもCDブックがついていて、「ケモノと魔法」は絵本仕立て、「銀河」は、銀河の絵(版画かな)のついた、大きなポスターふうになっている。 ああ、郁子ちゃんの声はいいなあ。ゆったり、ゆるゆる、ぬくぬく。けれど心地いいばかりではなく、時にむき出しで、あやうい。 詞や曲のところには、いつものおおはた雄一さんや、オオヤユウスケさんや、永積タカシさんのほかに、忌野清志郎さんや原マスミさんの名前もある。 わたしはおおはたさんの音楽が好きなので、郁子ちゃんのアルバムの中にあっても、「あ、これはおおはたさんの曲だ」ってすぐにわかる。逆も同じ。おおはたさんのアルバムの中に郁子ちゃんが混ざっていると、「ああ、これは郁子ちゃんの詞だなあ」と思う。 ちがうメロディ、ちがう歌詞なのに、そのひとと「わかる」ってすごいことだ。 物語で言えば、それは、その作家にしかない「文体」ということになるのかな。 「ケモノと魔法」は、現実によく似た、けれど現実ではないむこうがわの世界につれていってくれるアルバム。 つかれた夜、すすむ道がわからなくなったとき、その世界にもぐりこんで、丸まってちょっと眠る。そうすると元気が出るような場所だ。 「ピアノ」や「あいのこども」、「やわらかくてきもちいい風(弾き語り)」に耳を澄ますと、森の奥の湖のほとりにたたずんで、かすかな波紋に目をこらしているような気持ちになる。 タイトルにもなっている「ケモノと魔法」は、目をつむって聴くとプラネタリウムにいるみたい。星がきらきらかがやいて、空が回る。作られた空のはかなさ。 「銀河」は空へ宙へ、高いところへのぼってゆくアルバム。 夜、静かな部屋でひとり耳をかたむけると、三日月の舟に乗って、夜のまん中を旅しているような気分を味わえる。 そこには宇宙人が行き交う駅みたいな場所や、海のように見えるところや、森に似た景色もある。目にみえないラジオの電波を、偶然キャッチすることもある。 3曲め、「波間にて」は、おおはたさんのギターが苦しいほど切ない世界をつくりだしている。出だしの歌詞も好き。 あふれだした思いが 集まって 河になる このまんま ゆきなさい なつかしい あの海へ こんなふうにありのまま自分を表現することは、楽しさと同時におそろしくもあっただろう。 うそをつかなければその分だけ、傷つくことだってふえる。それでも、本当のことを言った、自分をだまさなかったときの傷は、深いが治るのも早い。 そういうことをひとつずつ体でおぼえていくのが、大人になるってことかな。 そんなふうに大人になりたいなあ。 郁子ちゃんの音楽を聴くと、表現することに勇気が出る。 おそれずに、ぐいぐいおしひらいてゆこう、という思いが、腹の底からわいてくる。 あんなこと、こんなこと、一見ささやかにみえることも、もらさず言葉に変えていこう。 この空を、風を、緑の木々を。 鳥の声を、日差しを、世界にみちるよろこびの気配を。 窓をひらいて、風を入れよう。 自然のなかで、人のなかで、流れのなかで書こう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.12.18 20:23:16
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