ひみつの家計簿
今年から、家計簿をつけています。去年も収入と支出は書きとめていたけれど、それは「家計メモ」とでもいうようなもので、フェリシモの小さなスケジュール帳に、自分で項目を立て線を引っぱって、細かい字でこちゃこちゃ書いていた。「家計簿」と表紙のついたノートを買って、最後まで使いこなす自信がなかったのです。「家計メモ」が一年つづいたので、今年は思い切って、本屋さんで専用の家計簿を買ってみた。三日坊主にならないよう、薄めで自由度の高そうなものを選ぶ。使いはじめてびっくり。まあ、なんて使いやすいのでしょう。罫線はすでに引かれ、項目も書きこまれ、日付だって最初から入っている。毎週、毎月の計算も最小限の労力でできるよう、シンプルな中にも使う人への思いやりが感じられる。クレジットカードの引き落としや、公共料金の支払いも、ひと目でたしかめられるようになっている。さらに巻頭には、毎月の光熱費の推移を知るための、グラフの座標軸まで。去年まで、わたしが自力で悪戦苦闘しつまづいていた問題を、このノートは最初からすべてクリアしているではないですか。「ささ、あとは数字を書きこむだけですよ」といたれりつくせりの親切顔で、わたしが数字を記入するのを待っている。あまりに親切なので、記録・管理マニアのわたしには少々物足りないくらいだ。熱心に家計簿をつける妻の姿を、くまは感慨ぶかげに眺めている。節約とか貯蓄ではなく、記録して管理する過程そのものがほとんど趣味になっているということは、もうしばらく秘密にしておこう。