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2007.08.15
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カテゴリ:教養・実用
半藤一利、中西輝政、福田和也、保阪正康、戸高一成、加藤陽子
『あの戦争になぜ負けたのか』
文春新書



「あの戦争」を多角的に眺め、敗因を探る。過ちを繰り返さないために。


8月15日は終戦記念日。あの戦争を振り返るのに最適の日である。毎年この時期になると、日本全体が戦争への反省一色に染まる。あの戦争は間違っていた、アジアにはご迷惑をおかけした、国民にも多大なる犠牲を強要した、謝罪しなければいけない、との大合唱が始まる。戦後日本において戦争への反省といえば、感情論による戦争否定のことであるかのように見られてきたのである。
しかし、特に失敗に学び将来に生かすという意味では、なぜ負けたのかをしっかり考えていくことが重要である。あの戦争をなぜ戦ったのか、あの戦争になぜ負けたのかをしっかり考えることこそ、戦後日本にとって一番必要な「戦争への反省」だろう。開戦責任や戦争遂行責任の追求も大切だが、敗戦責任の追求を忘れてもらっては困る。

本書では、支那事変がなぜ対米戦争に繋がったのか、ヒトラーとの同盟の意義、海軍と陸軍が持っていた組織としての欠点、大元帥と天皇の立場上の違い、戦争を盛り立てたメディアと国民の熱狂、現実と大義、特攻・玉砕・零戦・戦艦大和など、他方面からあの戦争を見つめなおす。どの項目についても、現代にも通じる問題を内包しており、いろいろ考えさせられる。
特に関心を持ったのは昭和初期に政党政治不信が高まった理由について。これまでも政党腐敗は目に余るものだったにもかかわらず、この時期に不信感がピークに達した理由の一つが、二大政党制が始まったことによって政党同士がスキャンダル合戦を始めたことにあるという。最近、政治家のスキャンダルや失言が大いに取りざたされ政治問題の本質的な部分が隠されてしまっているような気がしていた。政権交代に向け民主党が勢いを増しているということが、その背景にあるのだろう。

あの戦争の失敗に学び、同じ過ちを繰り返さないためには、次の二点に留意する必要があるだろう。一つ目は一つ前の戦争に備えているだけではだめだということで、二つ目は本質的な問題点はいつの時代でもそう変わらないということである。
大東亜戦争の敗因の一つに、第一次大戦から学ばなかったということが指摘されている。にもかかわらずいままた同じ過ちを犯そうとしている。「軍人は一つ前の戦争に備える」というが、60年も戦争を体験しなかった日本で戦争反対論者が反対しているのは二つも三つも前の戦争である。いつまでも、大東亜戦争を、せいぜいベトナム戦争くらいをイメージして、「過ちは繰り返しません」と言い続けているようでは困る。科学や社会が変われば戦争の在りかた変わる。戦争が起きないように、万が一起きても敗れないようにするためには、今考えられる脅威に備えなければいけない。
また一方で、敗戦自体に気を取られ、その背後にあった敗因を改める努力を怠ってきた。売り上げのためには何でもするメディアと時局に流され熱狂する民衆、組織内や組織同士の権力闘争に終始し問題の本質を見失ってしまいがちな省庁、場当たり的で長期的な視点をもてない外交。あの戦争の前の失敗を、戦後日本が克服したとは思えない。戦争を反省するのならば、この前の戦争で明らかになった社会の問題点を改めなければならない。このままでは、「敗戦」という同じ過ちを繰り返すことになりかねない。


何が過ちだったのか。どう改めていくのか。終戦記念日がこれからもずっと8月15日であり続けるためには、あの戦争になぜ負けたのかを問い続け、その反省を将来にどうつなげていくのかを考えていく必要があるだろう。





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Last updated  2012.03.13 18:39:10
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