山分け詐欺
最近「山分け詐欺」に狙われた日本人の話をどこかで読んだ。おじさんが目の前で札束を落として行ったので呼び止めようとすると別の男が拾って山分けしようと言うのだそうだ。そしてその男はこう言う。「急いでいるので札束を数える時間がない。この札束はお前にやるから自分には手持ちの金をくれるだけでいい」と。その人はもちろんおじさんを呼びとめお金を返させるのだが、あとからそれは新手の詐欺だと友人から教えられたらしい。 今日、ジョンタン路駅からキッチン用品を売っているオウムン路まで歩いているとき自転車に乗ったおじさんからボトッと何か落ちた。二つ折りにして輪ゴムで結わえている百元札の札束だった。音からいって2000元位はあっただろう。びっくりしておじさんを呼び止めようと「シェンシャン(先生)」と言いかけると後ろから来た自転車に乗った濃い顔の男がそれを拾い私の言葉をさえぎるように話しかけてきた。中国語が不十分な私は何を言っているのかわからなかったのだが、山分け詐欺の話を読んだばかりだったので意味を汲み取ることはできた。笑ってしまうくらい詐欺の話そのまんまのシチュエーションで別に相手にしなくてもよかったのだが、もし本当に落としたのであれば見失っては大変なのでどきどきしながら、「シェンシャン~ニィダチェン ザイ ズリ~」(おじさ~ん、あなたのお金はここにあるよ~)とお金を拾った男を指差しながら、力の限り大声を出し自転車のおじさんを呼び止めた。あまりに大きな声だったので反対側の歩道にいた人まで振り返っていた。去っていこうとしていたおじさんは私の声に気がついて戻ってきたが、ありがとうも言わず面白くなさそうな顔をして形だけお金を受け取った。その態度と、濃い顔が「仲間で~す」と言っていた。新疆から来た出稼ぎ詐欺師たち、とってもばればれ。あんな大金ねこばばしようと誘うなんて、そんなのに引っかかる人いるの~??と思いながら上海人のお手伝いさんに話して聞かせたら、上海ではたくさんの人が引っかかってお金や宝石を獲られていると言っていた。なんと・・・。もちろん落し物の札束は偽物。彼女の妹は道に落ちているブランド物の時計を拾って同じような詐欺にあったらしい。時計は譲るから半額分を現金でよこせといわれ、彼女は素直に家までお金を取りに行って渡してしまったそうだ。日本の警察が取り扱った去年1年間の落し物は1070万点。過去最高を記録したとニュースで言っていた。日本ではこんな詐欺に引っかかる人はいないだろう。「英語でしゃべらナイト」で愛地球博の外国人スタッフにアンケートしていた。日本で驚いたベストスリーには「落し物が帰ってくる」というのが入っていた。日本以外の国ではありえないと言うことなのだろうか。ということは、「山分け詐欺」というのは中国以外でも存在しているのかも知れない。