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テーマ:福祉医療関係(1061)
カテゴリ:真面目に社会・時事ネタ
去年の11月、母が突然寝たきりになった時、心配してくれた近所のおばさんが、 「早いうちに介護認定の申請に行った方がいいよ。時間がかかるらしいから」 と教えてくれた。 申請の為、12月に時間を作って市役所の福祉課へ行き、翌月には要介護5(最重度)となった。 その後、この福祉課を何度も訪れることになる。 つい最近、ある情報を得た。 「寝たきりの人には、おむつ代の援助があるらしいよ」 倒れた当初は医療病棟にいたが、病状がある程度安定した4ヵ月後、母は医療病棟から介護病棟に移されている。それに伴って、利用する保険も介護保険へシフトした。 おむつ代は介護保険では徴収されないが、医療保険を使っていた初期は別途請求されていた。それは、医療病棟にいた去年11月~3月までで数万円に上っている。 入院費はかさんでいたし、いくらかでも援助してもらえるなら有難い。そう思って、病院の領収書を持って福祉課へ出向いた。 男性職員に申請したい旨を伝えると、何故かいささか困ったような顔をされた。 「支給は申請された月からで、遡って支給することはできないんですよ」 「は?」 「こういうの、お渡ししてませんか?」 何やら青い表紙の冊子を持ち出し、おむつ代について書かれたページを開いた。 保健福祉ガイドブックなるものだった。 「いただいてません。見せていただけますか」 "おむつ給付金事業"と銘打たれたその項目には、申請条件と給付額は書かれていたが、申請月から有効とは一言も書かれていなかった。 「仮にこの冊子をいただいていたとしても、この書き方だと、いつでも申請できると思えますね」 職員は申し訳なさそうな顔をした。 「去年の12月から私は何度もこちらに来て、その度に母が要介護5であることをお話しています。 要介護5がおむつ使用であるということは、こちらの職員さんであれば 当然お分かりになりますよね。なのに、何で誰も一度も教えて下さらなかったんですか? 今日、たまたま私の担当になられた方にこういう言い方をするのは悪い気もしますが、 役所って、税金を徴収する時はしつこく手紙を送ってくるのに、 支給する時は黙ってることが多いですよね」 項垂れたまま、汗を拭く職員。 中には、万が一に備えて勉強していなかった私が悪いと言う人がいるかもしれない。 しかし、徐々に容態が悪化して寝たきりになったのではなく、夜が明けたらいきなり寝たきりになっていたのである。自発呼吸もままならない、明日をも知れぬ状況下で、どんな手当てがあるか調べたり、役所へ請求に出かけたりする余裕があるだろうか? 常識で考えれば、到底無理な話だろう。 そういうパターンが全く考慮されていないシステムではないか? それに以前、生活が苦しくて固定資産税の滞納をしてしまった知人が、役所からの督促状を見せてくれたことがある。何年も遡って(利子までつけて)、しっかり請求してきていた。 ところが反対に、市民が役所に請求する場合は、遡ることはできないという。 どういう理屈だ? 「じゃあ、今後、具合が悪くなって医療病棟へ移ったり、 在宅介護するようになった時の為に、今から申請させていただいてもいいんですか?」 それに対する職員の返事にカチンと来た。 「申請していただいても構いませんが・・・こちらは拒否はできませんので」 制度を利用するかどうか未定の人間の申請は、迷惑ってことか。 「そちらの怠慢で、何でこちらが不利益を被るんでしょう。 勿論、今ここでゴネて、無理矢理支給していただこうとは思ってません。 ただ、2~3年は遡って請求できるように、救済案をご検討下さい。よろしくお願いします」 そう言って、椅子を蹴るようにして立ち上がった。 いきなり家族が倒れて、同じような思いをしている人は少なからずいるはずだ。 「本庁へ伝えます」 職員はそう言って頭を下げた。 少し前にも書いたが、この役所は職員の態度が悪いので有名だった。最近、そういう職員は窓口から離れ、接客状況はかなり改善されてきていた。 もうそんなに腹を立てることはないだろうと思っていたが、今度はこれだ。 救済など、端からする気はないだろう。 「市民の為の行政サービス」と表向きには言いながら、そういう認識のない役所のシステムには、いい加減うんざりだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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