友人を襲った病魔
高校時代からの友人K子から、夜遅くにメールが来た。近々会う約束をしていたから、その件に関してかと思いきや、内容にビックリ。先日から具合が悪くなり、近所のかかりつけ医に薬を処方してもらっても効かず、とうとう夜中に総合病院の緊急外来に行ったという。検査をして結果が出るや否や、すぐさまICUに入れられ、やがて意識朦朧となり、気がつくと全身のあちこちにチューブがついていたというのだ。数日後に一般病棟に移ることができたが、入院が3週間の予定なので、しばらくは遊べないとのこと。K子に何が起こったのか!?日付が変わって、早速お見舞いに行ってきた。一見元気そうなのだが、話を聞くと体内は信じられない状態になっていた。入院の前日までは比較的元気だった彼女。それまでは何となくダルいという程度で、疲れのせいだろうと思っていた。ところが、ふらふらして歩けなくなり、激しい嘔吐に見舞われた。と同時に、異常に喉が渇く。1日で6リットルほどの水分を胃に入れたものの、結局は全部吐いた。やがて座っていることもできなくなり、倒れこんでいる彼女を夜遅くに帰宅した旦那さんが発見、車で緊急外来へ運んだ。看護師がK子の採血をしようとしたが、できない。そうこうしているうちに、彼女の意識はだんだん遠のいていった。それから十数時間後、意識が戻ったK子に伝えられた病名は、急性の糖尿病。糖尿病性昏睡状態になり、あと1日遅れていれば死んでいたかもしれないという。血液検査をすると血糖値の数値が出てくるが、正常値は109以下。ところが、K子の血糖値は何と1000だったのだ。とんでもない異常値である。採血ができなかったのは、血液がドロドロすぎて注射針の中に入ってこなかったからなのだ。大量の生理食塩水を血中に流し込んで血を薄め、やっと採血できたらしい。ここまで酷い症状で運ばれてくる患者は、その病院では年に数人しかいないという。K子のすい臓は、インシュリンを出せなくなっていた。ブドウ糖が血中にどんどん溜まってドロドロになると、各臓器に血液が行き届かなくなる。具合が悪くなって当然だ。では何故、急性の糖尿病になってしまったのか。K子は3ヶ月ほど前から、帰宅の遅い旦那さんを待って一緒に食事をしていた。10時頃に食べ、その後はほぼ寝るのみ。日中は仕事をしているが、運動量はさほどない。間食も比較的多かったことから、運動不足の上に摂取過多、食っちゃ寝で様々な内臓の分泌物が正常に働かなくなり、こうなったようなのだ。ジュースやコーラ、スポーツドリンクなどの清涼飲料水の飲み過ぎが原因でなることが多いことから、「ペットボトル症候群」とも呼ばれている症状である。入院が3週間に及ぶのは、急激に血糖値を下げると体に負担がかかるため。退院しても定期的な検査と、カロリー計算は必須になるようだ。K子は赤ちゃんを切望していて、当初の吐き気を"つわり"と勘違いしていた。結局妊娠はしておらず、少々落胆気味ではあったが、今の状態を考えれば妊娠していなくて良かったと思う。元気になってから、子作りに励んでおくれ。因みに、彼女。生物の授業の時、指から少量の採血をして血液型を調べるという実験で、自分の血を見て卒倒した過去がある。それがいまや自分で手のひらに針を刺して採血し、血糖値をチェックしている。いよいよとなると、人間って腹が据わるもんなんだなぁ。私も決して健康的な生活をしているわけじゃないから、気をつけにゃ・・・^^;