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テーマ:昔の日本映画(74)
カテゴリ:日本映画(1941~50)
タイトル通り、病気で死んだ象の肉を食べて右往左往する連中(とその家族)の物語で、戦後の、腹をすかして何でも食べた時代を、さらりと風俗喜劇で撮った映画。
戦争末期に召集されてタイにいた吉村公三郎監督の、戦後帰国して映画復帰の第一作。ビデオにて鑑賞(2007/3/21)。 『象を喰った連中』 評価:☆☆☆☆
各種のデータベースなどには記載はないが、映画には「生命と科学に関する一考察」というサブタイトルがついている。 吉村監督によれば、大元の話は本当にあったことで、宝塚の動物園で馬鼻疸桿菌に冒されて死んだ象の肉を食べた連中がワクチン探しに慌てたという記事だという。昭和15年に『西住戦車長伝』の撮影中に、風邪で伏せっているときに池田忠雄にその話をして、斎藤良輔に脚本化してもらっていたらしいが、当局の検閲でお蔵入りしていたものだそうだ。 また戦争中、全国の動物園では大型動物を射殺または毒殺してしまっていて像がおらず、ようやく名古屋の東山動物園に2頭生きていることがわかって、名古屋までロケをしに出かけたという。 ある意味でたわいもない話ではあり、ラストのオチはちょっとあっけない感じではあるが、映画全体は軽妙な喜劇として終始楽しめる仕上がりになっている。 役者の中では、チョビ髭をはやした笠智衆と、そもそもの発案者である日守新一の、真面目なのだがユーモラスな演技が魅力的。また、渡辺の妻役の村田知英子が、夫と話をしながら煙草を巻いている姿が非常におかしい。 あと関係ないが、原保美の表情や仕草が、柳葉敏郎に似ている感じがした。 終戦直後の食糧難の時代を描いたものは数々あれど、食糧難そのものをコメディであれシリアスドラマであれ、本作品の他にはちょっとないみたいなので、その意味でも貴重な作品であろう。 『象を喰つた連中』 【製作年】1947年、日本 【製作】松竹(大船撮影所) 【監督】吉村公三郎 【脚本】斎藤良輔 、池田忠雄、吉村公三郎 【撮影】生方敏夫 【音楽】万城目正、仁木他喜雄 【出演】日守新一、神田隆、原保美、安部徹、笠智衆、文谷千代子、村田知英子、朝霧鏡子、高松栄子、空あけみ ほか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.06.08 15:43:20
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