カテゴリ:金融
調停員は男女のペアで、男性は五十歳代前半、女性は四十歳代後半といった
ところでしょうか。男性は黒っぽいスーツ、女性は水色のスーツで、いずれも きちんとした身なりでした。 二人とも、部屋に入るやいなや、私をはっきりと見据え、それでいて威圧感 がある風でもなく、笑顔というよりは自然な明るい表情で、私に接していた と思います。女性の調停員が先に口を開きました。 「おお、この部屋は特に暑いですねえ、クーラーを入れましょう。」 「どうも、初めまして、齊藤と申します。この度はお世話になります。」 「大変でしたねえ、齊藤さん。調停員の山田(仮名)と申します。」 落ち着いた口調でゆっくり山田と名乗った男性の調停員は、すぐ後ろに下がり、 女性調停員が私の前に出ました。 「同じく調停員の吉田(仮名)です。少しでも良い条件で終われるよう、 がんばりましょう。」 女性調停員はやはり私の目をはっきり見て、言いました。 落ち着いた態度、ゆっくりとした口調、優しげな表情、相手の目をしっかり見据えて 確実なコミュニケーションを取ろうとする姿勢、全体的に頼りがいのありそうな 雰囲気、挨拶を交わしただけで、二人とも、特殊な状況で人に接するプロである ことが分かります。 心情的にはこの二人に任せきってしまいたかったのですが、 もう、何でも自分で確認することが大事だと、今回の件で学習した私は、 先ほどまでの強い緊張感ではなく、程よい緊張を感じながら、 自分のために、いやらしく、冷静に相手を値踏みするような心持になりました。 自分でも、よく集中できているのが分かりました。 「はい、よろしくお願いします。」 私たちは席につき、私の真正面に山田さん、私から見て山田さんの右に 吉田さんが座りました。 話はほとんど山田さんが進め、吉田さんは見守るような様子で、 ほとんど口を開くことはありませんでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005年07月10日 20時18分30秒
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