ある洋菓子メーカーの『光と影』
随分と前ですが、『ソ連の光と影』という本を読んだことがあります。当時は、宇宙開発競争で、ソ連がアメリカより優位にたっていました。若いソ連研究者が、自分の足でソ連各地を歩き、ソ連の普通の人々と話しました。自分が見たひとつの現象を分析して、それぞれの『光と影』を抽出してできた本です。最後のページに、『ソ連は、これからどうなるか』という問いがあります。『光の部』では、『ソ連は人類の輝かしい実験の成果として、永遠に続く』、そのような記述であったと記憶しています。『影の部』には、下記の記述がありました。 硬直した官僚制と物不足、品質の悪さに国民の不満が高まる。 ロシア人優位の現状に少数民族の不満が高まる。 しかし、共産党、政府は、国民、少数民族の要求に対して、後手後手の対応しかとれず、 さらに不満が高まる。 ついに、一党独裁を破棄して、複数政党制を認めるが、言論が自由になったため、さら に共産党、政府への批判、攻撃が強まる。 紆余曲折を経て、連邦は解体し、連邦構成国は独立する。これを読んだ時期は今から30年前でしたが、あの時代にソ連崩壊を的確に予言できたことには、驚きを禁じえません。実際のソ連崩壊では、最初は小さな現象であったと記憶しています。それが、あれよあれよと言うまに、大きな波となって、押し流していきました。それまで磐石を誇っていた体制が崩壊する時は、あっけないものです。私の記憶では、1986年のフィリピン・マルコス政権、1998年のインドネシア・スハルト政権の崩壊です。規模ははるかに小さいですが、山一證券、雪印も同じでした。最初に聞いた、あのニュースが、企業を消滅させるとは、誰も思わなかったでしょう。不二家の経営者のみなさん、今度はあなた方の番かもしれませんよ。「会社の体質に問題があった」、これが経営者のトップ、社長のいうことか!