産めた幸せ *入院時記録1*
出産入院中に、心に残っている出来事、そして忘れられない出来事を書こうと思う。 けっこう私的にショックだったので、ブログにアップするのは少し日がたってから、と思っていた。 ******************** 2月1日夜中2時、私達が産院に着くと、すでに分娩室に入っている方がいた。 「いたぁ~い!いたぁ~い・・・」 と悲痛な叫びが夜の廊下に響く。 私は陣痛5分間隔だったがまだ耐えられる痛みだったので 呑気に聞いていたように思う。 ナースに渡すものがあったためしばし廊下で待つ間、私達はその叫びを何度も聞き、 廊下で立ち見守っている旦那さんらしき人の姿も見た。 またしばらくしてから廊下へ行った時、 「いやぁ~・・・」 という声がもれている。 それを聞いても私は、 「つらそうだなぁ。私ももうじきああなるんだ」 ぐらいにしか思ってなかった。 でも、それにしては先生(医師)がずっとついていて 「珍しいな」とは思った。 ************************** 退院1日前の夜、あるナースが私に謝りたいことがある、と言ってきた。 「こちらの配慮不足で、○○さん(私)に不安な思いをさせた・・・」と。 よく話しを聞くと、実はあの夜、私の前に分娩台にあがっていた人、 赤ちゃんを産めなかったと。 胎盤機能不全で、第一呼吸をお腹の中でしてしまい、赤ちゃんは生まれてくることが できなかったらしい。。 だから、その時間に廊下にいた私がその事実を知ってしまい これから産むというのにすごく心配・不安になったであろう、と。 私は幸い、事実には全く気づかず不安にまでは至らなかったが、 ナースの話しを聞いて、なんとなく思ってた疑問が解決した。 うちのすぐ前に生まれたはずなのに、入院中一度も母と児の姿がみえなかったこと、 「いやぁ・・」と叫んでいた言葉の意味、 処置時にしかいないはずの医師がずっとついていたこと・・・ そして、同時に怖くなった。 産婦さんの姿こそ見てないけど、声と場景が焼きついてるから しばらく、何とも言いがたい気持ちになり、数日眠れなかった。 ************************** 赤ちゃんを10ヶ月お腹で育てても、最後の最後でちゃんと産めないこともある。 流産・早産なく無事に育って、きちんと自分の力で生まれてきた我が子が 奇跡のように思えてきた。 だからこそ、この与えられた命を大切にしようと思った。 どんなに夜中に泣き叫んでも、悪いことをして私達を困らせても、 この世に生まれてきた命をきちんと守ってあげなきゃと この件を思い出すたび心に誓う。 ************************** ≪赤ちゃんを産めた人にしか、子育ての幸せは味わえない≫ 何かの雑誌の投稿。 産まれてこなかった命を悔み、いま子育てができることに感謝したくなる。 これからも我が子の寝顔を見るたび思い出すだろう・・。