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「くだもの」平山 和子作・絵



おいしそうなくだものがページをめくるごとに現れます。
まるごとのくだものの次には、皮をむいて切った形。「はいどうぞ」と手が出てきます。
本物そっくりというより、本物以上にツヤツヤおいしく描かれていて、それだけでも小さな子が大好きな本だと思いますが、この本には、「おいしくなる工夫」があるんです。

例えば、「さあ、どうぞ」と差し出されるフォークと手の向き。これが、子どもに食べさせるときの形そのまま、ちゃんと読んでいる者に向けられて描かれています。小さな子はそんな小技がにくいねなんて思って読んでないでしょうが、「あーん」と口を開けたくなります。
作者のとてもこまやかでやさしい視線を感じます。
そして小さいさくらんぼやイチゴ、でっかいスイカ。ぱっと現れる光景に赤ちゃんたちは次は何が出るのかワクワクします。うちの息子も小さいくだものはつまんでパクッ。大きいくだものは大きな口をあけてほおばるまねをしてました。
そして、赤ちゃんは繰り返しが大好きです。「さあ、どうぞ」「パクッ」というお母さんとの繰り返しが最高の遊びになります。

ロングセラーを続ける本には、それなりの理由があるんだなと納得する１冊でした。