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カテゴリ:フランス映画
第一次大戦のさなか、ドイツ軍の捕虜となった飛行隊のマレシャル大尉(ジャン・ギャバン)とボアルデュ大尉(ピエール・フレネイ)。二人はさまざまな階級の人間の集う収容所に送られる。そして・・・ その1: 後の捕虜収容所ものや脱走ものの原典となった名作!! この映画は、フランス映画の巨匠ジャン・ルノワールの戦友が、第1次世界大戦でドイツ軍の捕虜収容所から7回も脱走を企てたという実話がヒントになって作成された。 ルノワールは名作「どん底」でコンビを組んだ名脚本家シャルル・スパークと共に書いたオリジナル・シナリオを持って資金集めに奔走した。 しかし、映画会社は二の足を踏んだ。そこに「資金面も含め、できるだけのことはしたい」と援助の手を差し伸べたのが、売れっ子スター、ジャン・ギャバンである。当時、彼は33歳だったという。こうしてこの映画は実現したのである その2: ヒューマニズムの尊さを謳った偉大なる名画 捕虜慰安演芸会の夜、ドイツ軍に占領されていたドーモンをフランス軍が奪還したと知り、連合軍の捕虜将校たちが、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」を大合唱する場面は実に感動的なシーンだ。 新入りのマルシャルとボワルデュに、脱走用の穴を掘るため、息継ぎ用の空き缶の筒を見せるハルバッハ捕虜収容所の捕虜たち。 「テニスコートでテニスをするように、収容所は脱走するところだ」 何度も脱走を企てた二人はドイツ兵に捕まり、最重刑捕虜を収容する古城へ移される。そこでハルバッハで一緒だったローゼンタール中尉(マルセル・ダリオ)と再会。 マレシャル等の脱走に手を貸したボアルデュ大尉は収容所長フォン・ラウフェンシュタイン(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)の銃弾に斃れる。「足を狙ったのだが・・・」と所長は詫びるのだったが。 脱走を果たしたマレシャルとローゼンタールの二人は、ドイツ人の農婦エルザ(ディタ・パルロ)に匿われる。エルザは戦争で父親も夫も兄も失い幼い娘ロッテと二人で暮らしていた。しばしの安らぎ得たマレシャルとロゼンタールだったが・・・。 その3: 愛の言葉は理解出来なくても通じる? ドイツ語とフランス語、言葉は通じなかったが、マレシャルとエルザの間に愛情が芽生えていく。だが、男二人はいつまでも止まってはいられないのだ。別れの日、溢れ出る感情のままに、マレシャルはエルザに訴える。エルザは云う。 「私は永い間、独りで暮らしてきました。そしてずうっと幸福のくるのを待っていたんです。あなたは気づいていなかったかもしれないけど、あたしはどんなに幸福だったことか、その幸福はあなたの足音と共に、私の家に入ってきたのよ」 「・・・・・エルザ、エルザ、いいね。もしも戦争が終って、僕がまだ生きていたら・・・僕はまたここへ帰ってくる。・・・分かるかい? それから一緒にフランスへ行こう、ロッテも連れて・・・」 ドイツ語とフランス語で思いのたけを訴えるこのシーンは、愛が持つ迫力を感じさせて圧巻だ。 二人の男は雪の中をスイス国境へ向かう。葦の草むらに身を隠し、マレシャルは云う。 「ともかく全てが終ったら、彼女のところへ戻る」 「ーーーそれは君の幻影だよ」 と、ローゼンタール。 戦争が終わり、マレシャルがエルザを迎えに来る日があるのだろうか・・・・・。 1937年 フランス・モノクロ 監督 ジャン・ルノワール 出演 ジャン・ギャバン ピエール・フレネ ディタ・パルロ ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.11.03 13:53:58
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