”大いなる幻影”とは?
1949年作の名画を見た。フランス映画の巨匠ジャン・ルノワールが平和へのメッセージを託した作品だ。メーカー処分!激安です!7★\280期間限定特価【大いなる幻影】DVD新品★ジャン・ギャバン古色蒼然とした作品だが、素晴らしさは今なお色褪せない。第1次大戦下、ドイツ領を偵察していたフランス軍のマレシャル中尉(ジャン・ギャバン)とド・ボワルデュ大尉(ピエール・フレネー)の飛行機が撃墜され、2人はハルバッハ捕虜収容所に移された。二人は何度となく脱走を企てる。「テニスコートでテニスをするように、収容所は脱走するところだ」ボワルデュはこう嘯く。地下に穴を掘って逃げようとする場面など、「大脱走」を思わせる。後に多く作られた「脱走映画」の元祖とでも言えようか。ところが愈々今夜決行という昼間、収容所を移動させられ、二人は最量刑捕虜を収容する古城へ移される。高い絶壁の上に構築された城から逃げ出すのは到底不可能のようだ。二人はここでハルバッハで一緒だったローゼンタール中尉(マルセル・ダリオ)と再会。ここの収容所長ラウフェンシュタインは貴族の出身、ボワルデュ大尉とは深い友情で結ばれるようになる。だが、彼らは脱走を諦めない。マレシャルとローゼンタールの脱走にボワルデュは手を貸す。大勢の捕虜たちが竹笛を吹いて騒ぎを起こし、監視の目がおろそかになった間にボワルデュは行動を起こす。彼は絶壁の屋上へと逃げていく。追う兵士たち。「お願いだ、戻ってくれ」所長の言葉に彼は答える。「いやだ、私は逃げる」所長は止む無くピストルの銃口を向けて撃つ。倒れるボワルデュ。その間にマレシャルとローゼンタールは、布で作ったロープを絶壁に垂らし逃げ延びる。兵士の目をかすめ、山奥の一軒家に疲労困憊で辿り着いた二人はドイツ人の農婦エルザ(ディタ・パルロ)にかくまわれる。戦争で夫と両親を失ったエルザは孤独の身、寂しい暮らしだった。互いに言葉が通じないマレシャルとエルザだったが、二人の心は重なり、結婚を約束する。マレシャルは言う。「俺はここへ戻ってくる。それから一緒にフランスへ行こう、ロッテも・・・」エルザと別れた二人の逃避行は続く。中立国スイスを目指して。ドイツ兵の一団が彼方の稜線に二人の姿を見つける。銃口を向けるドイツ兵。「撃つな、奴らはもうスイス領だ!」「ちぇっ、運のいい奴らだ」雪を蹴散らして稜線を上って行く二人。この世から戦争を無くすることは幻影かもしれない。だが、その努力を忘れてはならないと思う。野田新内閣が発足した。大震災の復興が”幻影”とならないように願いたい。