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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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映画を見ることが唯一の楽しみの主婦シシリアは、今日も大好きな映画「カイロの紫のバラ」を見に映画館に行く。ウェイトレスの仕事はクビになり、亭主も失業中で博打ばかり打って彼女に暴力を振るう。映画だけが心の救いとなっている彼女。

画面に見入っているとき、誰かが語りかけてきた。「君はもう5回も見てくれてるね。そんなにこの映画が好きかい?」。なんと声の主は、映画の主人公のヒーローだった。主人公はスクリーンを抜け出して…。

映画好きなら一度は憧れる映画の主人公との恋。映画狂ウディ・アレンのアイデアが冴える粋な粋なラブ・ファンタジー。


その1: 夢かうつつか、現実と虚像の狭間に誘い込まれる

銀幕の世界に憧れ、映画のヒロインを夢みて、現実の苦労を忘れる。夢中になって見ているシシリア(ミア・ファロー)に銀幕から出てきたトム(ジェフ・ダニエルズ)が話しかけた。
「君はもう5回もこの映画を見てくれてる。そんなにこの映画が好きなの?」と。
「私? どうなってるの?」
キツネにつままれたようなシシリアに、
「君と一緒にいたい。どこかへ行って話そう」
トムはこう云ってシシリアを映画館の外へ連れ出す。

登場人物が勝手な行動をとり、スクリーンからいなくなってしまったから、さあ大変、映画は進行しなくなってしまう。

「早く知り合いになりたかったよ。君のほう見てたけど気づかなかった?」
と、トムが聞く。
「ナイトクラブで? 私のことだとは思わなかったわ」
「キティにプロポーズするときも君を見てた」
「彼女、きれいだったわ」
「君とは比べものにならない」
「私なんかダメよ」
「すごく魅力的だ」


その2: トムを演じたギルのところに苦情が行き・・・

実像のギル(ジェフ・ダニエルズ)はシシリアと会い、シシリアが自分のファンで出演映画を全部みており、細かいところまで覚えていることにおどろくのだ。そして、彼女の純真な心に愛情を覚えていく。

「君に夢中なんだ。一緒に居てくれれば幸せにする。愛さえあれば・・・」
「誰にも愛されなかった私が・・・今、二人の同じ人に・・・」
「愛してるよ、映画みたいだけど・・・本気だよ」

実像のギルと虚像のトムとの三角関係??? 二人の男から求愛されてシシリアは迷う。
結局、シシリアが選んだのは実像のギルだった。
「トム、わかって! あなたは夢の中の人なのよ」
トムの悲しそうな顔・・・、そしてトボトボとスクリーンに戻っていく。

その3: 真実の愛は、虚像にあったのかもしれない

翌日、一緒にハリウッドに行こうというギルの言葉を信じてやって来たシシリアの前に、ギルは現れなかった。『カイロの紫のバラ』は上映中止となり、トランクを提げたシシリアはフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの映画に見入るのだった。

何とも切なくアマ~イ映画だ。ウディ・アレンの才能に敬意を払いたいと思う。


あなたはこんなステキな体験をしたことがありますか? もちろん”夢の中”で。

私にはたったい一度だけあります。今を去ること半世紀以上前のこと、天然色女優モーリン・オハラと”夢の中”でデートしたことを覚えています。モーリン・オハラって誰? と若いあなたはお思いでしょうが、70歳以上の映画ファンなら知らない名前ではありません。

そのデートですが、グリーン色の湖の畔で、何故かモーリンと私の二人がブランコに乗って話をしているのです。私の胸はもうドキドキでした。彼女が私を見てニッコリ笑った顔たるや未だに忘れられません。後にも先にも”カラーの夢”はこのとき限り、もう一度、夢でいいから会いたいと思っても叶いませんでした。嗚呼、無情・・・。


1985年 アメリカ・カラー 監督 ウディ・アレン 出演 ミア・ファロー、ジェフ・ダニエルズ、ダニー・アイエロ、ダイアン・ウィースト 

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Last updated  2008.04.22 09:46:11
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