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カテゴリ:アメリカ ・ メロドラマ
”雨の朝パリに死す”を初めて見た。見たいと思っていた作品だが、これほど素晴らしいとは思わなかった。私にとってはまさに名作と言える。
【送料無料】雨の朝パリに死す エリザベス・テイラー主 ”ザ ラーストタイム アイ ソー パリ”のリズムに乗って映画は始まる。 話はD-Dayの日にさかのぼる。解放に湧く群衆の中に新聞記者(軍属)のチャールス(ヴァン・ジョンスン)がいた。彼はヘレン(エリザベス・テイラー)から猛烈なキスを受ける。 茫然とする間に彼女は群衆の中に埋没する。チャールスはとある居酒屋に入った。そこで彼はマリオン(ドナ・リード)と知り合う。 マリオンに誘われ、マリオンの父のパーテイ会場へ。彼はそこでヘレンと出会う。ヘレンとマリオンは姉妹だった。父は金持ちの資産家、ドイツ軍占領下で何とか生き延びて来たのだ。 マリオンはチャールスに一目ぼれしたのだが、彼はマリオンを無視、ヘレンに首ったけになる。 二人は恋仲になり、やがて結婚。同時にマリオンもクロードと結婚式を挙げる。 月日が経過、ヘレンとチャールスに一女ヴィッキーが誕生。チャールスはタイプライターにかじりつく毎日。だが、小説は一向に売れない。二度,三度と彼は挑戦し続ける。 一向に芽が出ない自分にチャールスは次第にいらだつ。ヘレンとの間にもいつしか溝が出来てきた。 そんなある日、チャールスはインタヴュー記事を頼まれた。相手は資産家で美人の女性、ロレイン(エヴァ・ガボール)だ。 資産家のわがままにつき合わされ徹夜。ふらふらになって戻った彼に朗報が待っていた。ヘレンの父が結婚祝いにくれた枯れた油田から石油が噴出したと言うのだ。一夜にして彼は長者の仲間入り。 あるパーテイの夜、チャーリーは部屋に閉じこもり、食事も取らず寝転がっていた。心配したヘレンが覗いても、「ほっといてくれ」というばかり。 「わたしはどうすればいいの?何か手伝えれば・・・」 「代わりに小説でも書いてくれるのか、5年で3冊も屑箱だ。俺は只の無能な金持ちに過ぎん。人に酒をおごるしか能のない男だ」 彼の生活は荒れた。モンテカルロでレースに出るという。それもレースカーにロレインを乗せて。 レースには脱落、ロレインと入った酒場にヘレンが来ていた。それも若いテニスプレイヤーを連れて。彼女はチャーリーに張り合っていたのだ。 チャーリーは酔っぱらって帰宅。ドアの内鍵をかけ、そのまま階段に寝転んでしまう。 一方、テニス男と付き合っていたヘレンは突然男に興ざめし、家に帰る。だが、何度呼んでもチャーリーは目覚めず、家に入れない。 ヘレンは雨の中、妹の家に。そして、崩れるように倒れこむ。 病室に酸素ボンベが持ち込まれる。容態は危篤だ。 チャーリーが病室に呼ばれる。 「傘を忘れたの」 「すまなかった、ぼくのせいだ。許してくれ」 チャーリーはヘレンをかき抱く。 「ヴィッキーを・・・わたしと同じような目に・・・遭わせないで・・・」 呆然とヘレンの遺体をみつめているチャーリー。 その後、アメリカに戻ったチャーリーは作家として成功、ヴィッキーを迎えに来た。 クロードはマリオンの留守を幸い、ヴィッキーに会わせてやる。 チャーリーはヴィッキーを連れて懐かしい公園へ。 「パパはわたしが嫌い?」 「とんでもない」 と、ヴィッキーを抱きしめる。 「わたしを愛してるなら、わたしと一緒に住んで、お願い」 「マリオン、ヴィッキーを渡して欲しい」 だが、マリオンは冷たく拒否する。打ちのめされたように去るチャーリー。 クロードは言う。 「君はなぜそんなにチャールスを憎む?」 「ヘレンにひどいことをしたからよ」 クロードは見抜いていた。マリオンの愛を蹴ったチャールスへの意趣返しだと。 クロードは諭す。 「私も失意でない本物の君の愛が欲しい。私たちの子供も」 酒場の壁に描かれたヘレンの等身大の壁画。それを見つめているチャールス。 マリオンがそのそばに立つ。そして、ヴィッキーも。 チャールス、ヴィッキーを腕も折れんばかりに抱きしめる。 ヴァン・ジョンスンがこれほどの役者とは思っていなかった。彼の見せてくれた父性愛は素晴らしい。 リズの演技もさすがである。男と女の別れ、それは何故起こるのか。 夫婦間の僅かな諍いが、次第に大きな亀裂となり、破滅に至る。この作品はその一歩手前で終わっているが、考えさせられる多くの問題を提起してくれる。子供の親権問題もそうであろう。 ともあれ、何かと勉強になる映画だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.09.05 16:29:59
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