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カテゴリ:家族のコト
「これから大腸カメラや胃カメラやるんだって。お父さんの話きいてるとすい臓ガンじゃないかとだと思うの。きっともう先生は最初の段階でわかってたんだろうけど、大腸や胃に転移がないかどうか見るんじゃないかな」と母は言った。
母は自分の母親をすい臓がんで亡くしてる。その時にすい臓がんがどんなものなのかもわかってる。すい臓ガンって発見したときには手遅れなことが多いし、5年生存率はものすごく低い。私もわかっていたから、そう母に切り出されてなんていっていいかわからなかった。 「二人で山登りもできるような関係になって、ようやく幸せだなって思ってたのに・・・」と電話口で母は泣いた。その母の気持ちを思って私も泣いた。 わかってる。 昔のまんま「オレはオレの人生が一番大事なんだ、家族とか子供とかオレには関係ない!」って言いつづけてる父親で、母親も同居人なんだって割り切っている関係のままだったらこんなに悲しい思いもしなくてよかったのに。 母親が願いに願ったあたりまえの夫婦関係がやっとできつつあると思ったら、今度は病気なんて。私なんか絶対に真似できないくらいずっとずっとがんばってきた母に、神様はもっと優しくしてくれたっていいじゃない。 月曜日。 母が心配で帰宅後電話してみると、週末の電話からは想像もできないくらい元気な声が聞こえてきた。 「お父さんがね、『おかーさん、あんまり深刻に考えるコトないゾ~。オレ、ぜんっぜん元気だし手術したらすぐ治るから。あはは~』って言うの。ホントに病人とは思えないくらい元気でね、病院でもヒマだーヒマだーっていいながら、明日は伊予甘買ってきてくれーとか言ってるの。本人があんなにあっけらかんとしてるのにおかあさんが落ち込んでてもしょうがないと思ってね。おとうさんに元気もらっちゃったよ。それに手術できるってことは見込みがあるってことだしね。あんまり心配しなくていいよ!検査結果木曜日に出たら連絡するからね!」 ・・・・・。 あまりの変わりように面食らったけど、いつもどおり元気でいてくれたほうが安心。父親とは家族の絆なんて感じたこともないけど、どんなに苦労しながらでも40年以上もやってる夫婦関係ってすごいモンなのかな。 でも私はやっぱり木曜日の結果を聞くまでは楽観できない思いでいっぱいでした。 (つづく) ※励ましや気遣いのコメント、ほんとうにありがとうございます お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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