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テーマ:闘病日記(4013)
カテゴリ:家族のコト
一夜明けて15:00からの面会に行くと、「目は閉じてますけど、呼びかけるとあけますから」と看護師さんに言われICUに入った。
枕元で母が「おとーさーん」と呼ぶと目をあけ、問いかけにしきりにうなずき、時折笑顔を見せてくれた。 血圧表示をみると、高い方が80後半から前半。昨夜の手術直後は90後半から100前後だったのに少し下がっていた。呼吸器からの酸素供給濃度は80%。 「お父さん、むくんでる。足も手もパンパンだし顔もスゴイ。」と母がいった。 顔はよくわからなかったけど、たしかに手足はむくみでパンパンだった。前日に芽生えた疑問をぶつけたくて、30分の面会時間が終わるころ先生と話がしたいと看護師さんにお願いした。 母が口を開く。 「先生、私昨日はじめて余命の話聞いたんですけど1年半っていうのは本当なんですか?先生は手術は大成功でガンは取り除けたっていってたじゃないですか!リンパに転移してなくても1年半なんですか!?」 「奥さん。手術で見た目に見えるガンは取り除けましたのでそういう意味では成功ですと申し上げました。しかしすい臓は他の臓器と絡み合っているので目に見えない転移も考えられるのです。今生検に出した結果待ちではありますが、リンパには転移していると思います。 もともとステージ3での発見ですから、初期ではないのです。リンパに転移していることは確実だと思いますが、そのステージが3となるとやはり平均余命は1年半くらいとしか申し上げられません。しかし私たちは5年生存率10%になんとか入れようと最善の努力をしていくのです。 ただ現在の状況はまだどっちに転ぶかわからない、わかりやすく申し上げると『重体』の状態です。まずは再び出血しないように、大きな合併症を起こさないように3週間ICUで管理していきます。」 先生の話が終わり、19:00からの2回目の面会時間まで1時間半ほどあったので一度帰宅することにした。 「おかあさん、世間しらずだったんだね。お父さんあんなに元気だったし、手術が成功すれば完治する!ってお父さんも思い込んで明るピンピンしてたから、おかあさんもそうあっけらかんと思ってたよ。それなのに大きな手術2度もして、今もつらい思いしてるのにさらにもう1回手術が必要で、それをやっても1年半しかないなんて・・・・(涙)手術なんてしないほうがよかったのかも。」と母は言った。 「でもね、2月の初めくらいから少食になったかなって思ったって言ってたでしょ?それから2週間くらいで黄疸が出てるんだよ。ってことは体力があって若い分だけ進行が早かったってことなんだもの、あのまま手術してなかったら本当に短かったんじゃないかな。 すい臓がんってやっぱりすごい病気なんだよ。なにをどうがんばっても、悲しみに暮れててもどうにもならない病気なんだよ。今は少しでも早く元気に話ができるようになることを祈ってさ、元気になった時間を楽しく過ごしてもらうことを考えようよ。お母さんは一番そばにいて一番つらいと思うけど、それしかないんだよ。」 19時。面会に行き計器を見ると、今度は血圧が110を超えていて父は眠っていた。 「あれから血圧が下がってきたので昇圧剤を入れたんですが、痛みもあるようで痛みを感じると血圧があがりすぎてしまうので、眠ってもらっています。」 そうなんだ。「まだ血圧安定しないんだね」と母も不安そうにつぶやいた。2回目の面会時間が終わるころ、先生に話があると呼ばれた。 「腎臓が少々不全を起こしています。利尿剤を使っているのですがおしっこがほとんどでません」 やっぱり。だからあんなにむくんでたんだ。 「止血をするときに血管に糊のようなものをかけるんですが、目に見えない量で他臓器にかかってしまうこともあるんです。それによって不全を起こしているのかもしれません。 このままでは毒素がまわってしまいますので、これから人工透析を行います。通常の方は2~3時間程度で終わる方法ですが、ご主人は術後で重体ですので24時間かけてゆっくり行います。腎不全は一時的なものだと思いますので、透析を行ったら回復していくと思います。」 人工透析自体は危険なことじゃないし、今の状況をみればむしろやってもらいたい。 明日は少しでも元気な顔が見れますようにと願って母と病院をあとにした。そして本当なら水曜日か木曜日には帰京しようと思っていた予定を変更し、金曜日まで休みを取るため会社に連絡した。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.03.18 11:35:37
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