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カテゴリ:第10話 遥かなる虹の民
「久々の更新だけど今回も読みに来てくれて、ありがとうございます!日本は猛暑らしいので、熱中症とかに気を付けて良い夏を過ごしてくださいね」byまりお「俺は、この植民地生まれです」 ヨハンの答えにアリスメンディは「そうか」と頷く。 「だとすれば、そなたも、本国スペイン出身のスペイン人たちから、いわれのない差別を受けてきたのではないか?」 無言で頷くヨハンに、そして、他のメンバーたちにも目を向けながら、アリスメンディはさらに続けていく。 「同じスペイン人同士でさえ、本国出身か植民地出身かで差別し合い、植民地出身というだけで仕事も生活も良いものは与えられない。 インカ族や黒人の者たちなら、なおさらだ。 確固としたヒエラルキーを築き、支配・被支配の楔(くさび)を幾重にも打ち込み、上部にスペイン出身の白人たち、さらに頂点にはスペイン出身の王族や高位の役人たちが君臨して富も享楽も独占する社会、それがこの国の実態なのだ。 しかも、それが神の望む世界だなどと言って正当化している──」 次第に場の雰囲気が煮詰まってきたところで、アンドレスは思い切って本題を切り出そうと、懐から大事そうにしまっていた紙片を取り出した。 彼はその紙のしわを丁寧に伸ばしながら卓上に広げる。 燭台に照らされた紙面は風雨にさらされ色褪(いろあ)せてはいるが、そこに書かれた文字の放つ威光は力強い。 何者かによって、この植民地全土に貼られた書面。 その内容はおおよそ下記のとおりであった。 『「キリスト教」を名乗る権力者たちは、主イエス・キリストではなく財宝を神と崇め、それらを手に入れるために先住民を利用してきた。 権力者たちの貪欲は限りなく、民を苦しめ、搾取し、殺害した。 これらの行為はイエス・キリストの教えとは全く相容れないものである。 虐げられた人々は立ち上がり、解放を求める時である。 今こそ権力者たちは正当な戦いに直面することになるであろう。 権力者たちは奪い取ったものを返済し、犯した罪の償いをしなければならない。 真の神は常に苦しむ者の側にいる。(※貼り紙の詳細な内容はこちら)』 これを書いたのが誰であるのか、アンドレスは初めて目にした時から確信があった。 が、今、改めて口に出して問うてみる。 「この貼り紙の文章を考案したのは、アリスメンディ殿、あなたですか?」 ひとキャラメッセージ 【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪トゥパク・アマル≫(インカ軍) ≪アンドレス≫(インカ軍) ≪ジェロニモ≫(インカ軍) ≪ペドロ≫(インカ軍) ≪ヨハン≫(スペイン軍) ≪マリオ≫(インカ側) ≪リリアーナ≫(インカ側) ≪アリスメンディ≫(インカ側) ≪モスコーソ大司教≫(スペイン軍)
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