カテゴリ:ボサノバ・ブラジル音楽
Le Trio Camara(ル・トリオ・カマラ)と言えば、フェルナンド・マルティネス(p)、エヂソン・ロボ(b)、ネルソン・セラ(ds)からなるブラジルのピアノトリオだが、フランスの俳優・歌手、ピエール・バルーのレーベル、サラヴァからリリースされたアルバムが有名だ。
ピエール・バルーといえば、ブラジルを訪れたドキュメンタリー映画などが有名なため、ピエール・バルーがブラジルにおもむき、名もなきピアノトリオを発掘したという説もある。 しかしながら、ル・トリオ・カマラの3人は、個々にブラジルにおいて人気歌手のバックでプロのミュージシャンとして活躍していた。特にエヂソン・ロボ(b)、ネルソン・セラ(ds)の2人は色々なアルバムにクレジットされている。 ここで鍵を握るのは"ブラジルの爆弾娘"こと、エリアナ・ピットマンとピアニスト・プロデューサーのアントニオ・アドルフォの存在だ。 アントニオ・アドルフォといえば僕は過去に彼のグループ、トリオ3Dについてブログを書いたが、何を隠そう、このトリオ3Dのドラムを担当していたのが、ル・トリオ・カマラのネルソン・セラである。 のちにこのアントニオ・アドルフォとネルソン・セラの関係が重要になってくる。 ここからはボサノヴォロジアの板橋純さんが過去にトリオ3Dについて書いた記述を一部引用させていただく。当時アントニオ・アドルフォはエリアナ・ピットマンのお抱えピアニストとして活躍していた。ある時エリアナと父ブッカー・ピットマン親子がパリ公演を行うことになった。本来であればアントニオ・アドルフォがこのパリ公演に同行するはずだが、同行していない。 先に事実だけ述べると、このピットマン親子のパリ公演に同行したのが、なんとル・トリオ・カマラの3人である。そしてこのパリ公演がル・トリオ・カマラがフランスで活躍するきかっけになったそうだ。 そして以下はすべて僕の想像になるのだが、本来このパリ公演は、アントニオ・アドルフォ率いるトリオ3Dが同行するはずだったのではないか。しかしアントニオ・アドルフォは当時エリスレジーナのヨーロッパ・ツアーに同行するなど多忙であったため、代役としてフェルナンド・マルティネス(p)が選ばれ、同じくトリオ3Dのベース、カチョもサビア・クガート楽団で演奏するなど多忙であったため、代役としてエヂソン・ロボ(b)が選ばれた。そして本来のメンバーであるネルソン・セラ(ds)と、のちのル・トリオ・カマラが結成された。 となるとル・トリオ・カマラは即席のグループだったということになるが、僕はこの出会いは奇跡だった思う。あの凄まじい躍動感、メロディの美しさ、すべてが完璧だ。僕個人の評価としては、トリオ3Dを超えている。 そして冒頭のレコード写真を見てほしい。ラベルがサラヴァのものでないのにお気づきであろう。実はル・トリオ・カマラのアルバムはフランスだけではなくブラジル本国でもリリースされていた。 JODAというレーベルからリリースされている。 おそらくほとんど売れなかったと思われるが、それゆえ希少であり、遠くフランスで活躍する3人の演奏が少なくとも本国ブラジルの家族や親しき人たちの間でだけは聴かれていたと思うと少し胸が熱くなった。 ブラジル音楽の深い森を彷徨い出会ったレコード、ジャケットを見開くと、そこには長らく謎のヴェールにつつまれていた彼らの演奏する写真が現れた。最後にその写真を掲載する。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Apr 12, 2009 12:39:29 AM
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