セレン
ミネラルの中に「セレン」と言うものがあります。セレニウムとも言いますが、ここでは「セレン」で通していきたいと思います。ミネラルは108種類、或いはそれ以上あると言われていますが、その中でも最近発見されたミネラルのひとつです。「セレン」は、1957年にドイツ生れの「クラウス・シュワルツ博士」がその働きを解明されました。クロム、スズ、バナジウム、フッ素、珪素などの働きも様々な実験によって解明された方です。「セレン」で有名な話は、中国の三大風土病のひとつ、「克山病」(ケーシャン病)という原因不明な心臓病に関係があったことです。この病気は、15歳以下の子供や若い女性が罹りやすく、心臓の筋肉が徐々に壊死をおこし、ついには心不全で死亡すると言うものでした。この地方は、山岳地帯や丘陵地帯で土壌中に「セレン」が少なく、この地域の住民の血液、尿、毛髪などの検査を行ったところ、「セレン」の含有量が極端に少なく、「セレン」を摂ることで完全に消えてしまった病気です。「セレン」にはいろんなはたらきがありますが、大きく分けると4つになります。まず、「抗酸化作用」です。抗酸化作用とは、私たちは酸素を吸って生きていますのでどうしても活性酸素が発生してしまいます。呼吸の約2%がこの活性酸素になっていきます。その活性酸素よる酸化する力を抑える力が「抗酸化作用」です。様々な実験でその力はビタミンEの100倍とも言われています。相乗効果としてビタミンEと一緒に摂ると効果が期待できます。2つ目に「抗ガン作用」です。活性酸素が細胞の中のDNA情報を傷つけてガン化が起こると言われていますが、その活性酸素による酸化を防いでくれるのが「セレン」です。3つ目に「免疫機能の増強」です。私たちの体は、体に異物が入ってくると、免疫が高まります。その免疫活性化物質のひとつのインターフェロンの生成が強まることが分かっています。4つ目が、「有害ミネラルの排泄作用」です。ミネラルの中にも必要以上にあると有害なものや必要のないものもあります。水銀や鉛、カドミウムなどはその代表的なものですが、「セレン」にはそれらを排泄する力があります。以上の4つですが、ではどれくらい一日に必要なのかと言いますと、日本の基準では一日に50マイクログラム、アメリカでは、成人男性で70マイクログラム、女性が55マイクログラム、授乳婦で75マイクログラムと細かく決められています。過剰症としては、毎日8500マイクログラム(アメリカでの例、日本は300マイクログラム)以上摂ると食欲不振や爪が脆くなる、脱毛などがあります。日本人は比較的「セレン」の摂取量は足りていると言われてきましたが、現在は不足傾向にあるようです。何故かと言いますと、「セレン」は魚類に多く、イワシには、80グラム中に95マイクログラム、ワカサギには、80グラム中、100マイクログラム、カレイには100グラム中、65マイクログラムあり、これら魚を現代人、特に若い人は食べない傾向にあります。実際に「セレン」を使ってガンの治療にあたっている病院では、一日に500マイクログラム程度を使っているようです。名古屋にある「古橋クリニック」、大阪の「山口クリニック」などがそうです。あと注意すべきは、どんないいものでも「バランス」が大切で、「セレン」のみに頼るのではなく、他のミネラルとのバランス、亜鉛やマンガンなどやビタミンEとのバランスが大切です。