R25 サンマの漁業量でわかる!? 日本の異常気象
(2004年度 R25) 秋の味覚といえば、まつたけとサンマが代表的。じゅうじゅうと脂がしたたり落ちるサンマを食べるたび、日本人で良かったなと思う。だが近年は、さっぱりした脂の少ないものが食卓に並ぶ。なぜか。実はこれ、サンマを撮る魚場が変わったせいなのである。 日本近海には暖流である黒潮と寒流である親潮が流れ、それぞれマグロ、カツオやサンマ、イワシなどの魚などが回避している。寒い海に棲むサンマは親潮の流れにのって秋になると東北沖を南下してくるのだが、最近は千葉や東北での漁業量が減り半分以上を北海道で獲るようになった。 サンマが東北や関東にあまり来なくなったのは、沿岸の海水温度が上がったためといわれている。実際、東北の平均水温は平成6年10~11度、平成16年12~13度(8月、金華山湾沖、推進100m地点。海上保安庁代管区発表)と、確実にアップしている。日本は陸だけでなく海でも温暖化が進行しているのだ。 海の温暖化は、東北や関東だけでなく日本全国で起こり様々な異変を引き起こしている。魚介類にとって産卵場所であり貴重な生育の場でもある藻場、海水温の上昇や南方系の魚による食害で全国的に姿を消しつつあるし、九州や本州の太平洋側では沖縄でサンゴを食い荒らすオニヒトデが発生、定着している。熊本の牛深沖では沖縄近海のジュゴンも目撃されている。瀬戸内海にサメがやってきたり、日本海や仙台湾に中国黄海出身のエチゼンクラゲという巨大クラゲが漂流して漁業に大きな被害をあたえたこともあった。 さらに、海の温暖化は、陸の温暖化にも影響する。北緯50度と、北緯43度の札幌よりもずっと北にあるロンドンの1月平均気温は4・4度。札幌のマイナス4・1度と比べてはるかに暖かいのは、北大西洋海流(メキシコ湾流)という暖流が近くまで熱を運ぶためだ。もしかしたらこの夏の猛暑にも、海の温暖化が関係していたかもしれない。(小管喜博)