Twin・・・二つの心
17 「楽にしてください。私は君を機械につなげたりして、検査漬けにするつもりはないから。ああ…でも過去に受けた記憶は、そう簡単に一掃できないだろうね」訪れたカウンセリング先は病院の中にあるとは思えない、明るく温かみのある一室で訪れるひとの警戒心を和らげ自然と落ちついた雰囲気を醸し出していた。緑や海がみえる窓は大きく救急外来を受けていないためけたたましい、急患をつげるサイレンも聞こえない。「お父様から事情は聞いています。何度も話をするのは、あなたにとっても苦痛のはずだ。それに、泉水さんあなたより朝陽さんと対話することが、今までもこれからさきも重要だと私は思うんだ。…お互いに、人として親しくなることから始めましょう」この医師はかわっている…はじめから朝陽の存在を認めた。心がざわついた…僕ではない、いつものように、構えていた朝陽が不意をつかれたのか動揺するのが感じられた。医師はまるで雑談するかのように気安く話しかけてきた。「双子にはまだ解明されていない謎がたくさんあります。よく言われることに一方が怪我をすると、もう一方も同じように怪我をしたり痛みを感じたりする。また考えがシンクロしたりするなど通常では理解しがたいことが、双子の間では普通だったりします。あなたたちも…そうだったのではないですか。二卵性もそうですが一卵性ならもとは一つの遺伝子ですから不思議ではないですね、お互いを感じることは。そして最後までそれは続く…老年迎える死期にも、同じようなことがいえ、双子は寿命の終わりも同時期だとも。一方を失うと、もう一方に周りが感じることができない大きな影響を及ぼすことになるのでしょう。あっ…失礼何だか、私ばかりが話してしまって」「いいえ…誰かの話を聴くことには慣れていますから」「そうですか…でもあなたも、なんでもいいですよ。話して下さい」僕は今まで接したことのある医師とイメージを一新しなければならなかった。家族以外で、初めて僕の境遇を正面から受け止めた人城田学医師との係わりは、このときからはじまった。起きてしまった過去を振り返るのではなくこれからの日常での変化、起こった事実当然、朝陽との意識の逆転があれば、その様子も話して欲しいと別れ際城田医師は僕にいった。何かをしたわけでも、されたわけでもなかっただか、なぜか心がいつも以上に穏やかだった。※想像とわずかにえた知識の中で、話をまとめています。実際のこととはかけ離れていることもありますが…これから先、疑問や不快を感じる表記が出る場合があります。日常生活と、この物語の世界とは切り離して読み進めて下さい。