Twin・・・二つの心
42 夕食を済ませると、いつものようにアパートまで送ってくれ洋服の入った袋も,シオンさんは部屋まで運んでくれた。「あの…狭いですけどお茶でも…いかがですか」魅音の誘いにシオンさんは「帰りたくなくなると…迷惑がかかるからでも、かわりに僕の部屋にはいつ遊びに来てもらってもかまわないよ」そういって部屋にはあがろうとしなかった。…少し寂しい気持ちを抱えながらも部屋に運び入れた洋服を、取り出し順にベッドに並べた。「こんなに沢山…この部屋には置く場所がないなぁ」いいながらも、気持ちは華やいでいた。だからこそ背を向けていたとはいえ鍵をかけ忘れていたドアからの侵入者に、気がつかなかった。聞こえてきた声に聞き耳をたてた。隣の彼女の部屋に、今男が来ている!最近は帰りが遅かったり、またそんなときは車で決まって送られていた。…間違いない。彼女には男が出来た…僕と言う存在がありながら……わからせないと、僕は彼女を誰にも渡すつもりは…ないカチャ…「えっ…」魅音は物音に気がつき、ゆっくりと振り向いた。「あなたは…」ドアの前に立ち、魅音を見ている顔に見覚えがある。「最近の君はいつも楽しそうだ。帰りが遅いのは仕事のせいじゃないよね」見慣れた顔なのに、いつもと違う冷たい声で語りかけてくる人を前に魅音は動けずにいた。「この間の洋服も、さっきここにいたあいつから貰ったんだな!そこにある洋服も!僕は、今のままの君でいいんだ…汚れない君の笑顔、優しい声」魅音は怯えながらも、おもい当たることをみつけた。…差出人のない不気味な手紙…この人があれを出した本人?…「…君の笑顔は僕のものだ…さあ、笑って。いつもの朝のように」この人が何故、私を…不気味に笑う隣人がじりじりと魅音に近づいてくる。