想い出の金魚鉢パフェ
私が学生時代に巣にしていた町。池袋。10年前はどこか地味な町だった。飲み屋が多くて、若者が少なくて、何となく垢抜けないイメージだった。駅前にあった小さな喫茶店『蔵王』。トースト食べ放題。貧乏学生にはうってつけだ。次から次へと焼きたてのトーストが出てきた。ここで食べた“金魚鉢パフェ”が忘れられない。本当に金魚鉢なのだ。こちらをごらんいただきたい。確か、「ひとり1品、かならず注文すること」という条件があったように思う。7~8人で行って、3組くらいに分かれて金魚鉢に挑んだ記憶がある。男性2人組だけが完食した。見ているだけで胸焼けがしそうだった。私は残した上に、帰りの電車で物凄く気分が悪くなってしまった。揺れる中央線の車内で、真っ青な顔をして苦しみながら、「もう二度とパフェは食べない」と誓った。(その誓いは後日あっさりと破られるのであるが)金魚鉢パフェだけならば、喫茶マウンテンのメニューにひけをとらないだろう。しかし今回、この日記を書こうとして「蔵王 金魚鉢」で検索したところ今はこの喫茶店がつぶれてしまったという悲しい事実を知った。更に談話室滝沢までが消えてしまうらしい。コーヒー1杯に1,000円は高いと思うけれど、あの独特な雰囲気はなかなか捨てがたいのに。昭和は遠くなりにけり。(細かいことを書けば昭和と平成の境目くらい)