金の需要が急変する日
現在までに掘り出された金の総量は17.7万トン(2013年末)で、オリンピック競技で使用される50mプール3.6杯分しかないという。時価で換算すると6.6兆ドル(796兆円)。これはドルベースの世界金融資産150兆ドルの5%未満しかない。投資の流れがほんの少し金に向くだけで、金は大幅高になる可能性を秘めているのだ。これまではお金が余ってたので金利は下がっていたが、今後は逆の事が起きる可能性がある。次に景気が悪化した場合、銀行救済の規模がとてつもなく大きくなるだろう。 2012年の世界の金需要は4,405トン、2012年に合金も含む金を日本は132トン輸出し11トン輸入しています。日本の2006年から2010年の平均年間金産出量は10トン足らずですが、2005年から2012年までの間、毎年100トンを超える輸出数量を記録しています。一方、1981年から1999年まで100トンを超えていた輸入数量は、2012年に11トンとなり過去最低を記録しました。 2003年以降の輸出入数量は、輸出が輸入を上回る輸出超過が続いています。1976年から2012年までの累計数量は、輸出が2,516トン輸入が4,892 トンで2,376トンの輸入超過となっています。 2013年1-3月の輸出数量は51トン(前年同期比23.0%増)、輸入数量は、3トン(14.5%増)となっています。成田空港は、輸出数量34トン(全国比67.3%)、輸入数量2トン(88.5%)で輸出入数量とも全国1位となっています。 また、金のくずの輸出額は、2011年に過去最高の1,104億円を記録した。ここからは中国の話。 2010年中国は約350トンの金を産出し、世界最大の産金国の座をさらに確固たるものにした。驚くべき数字は、中国の金輸入量。10月までで210トンと発表されてましたが、おそらく通年では250トンくらいになるのではないでしょうか。世界最大の金産出国が、世界有数の金輸入国(インドに次ぐ)であるのです。ということは、生産量350トン、輸入量250トンと見積もってもざっと600トンが、中国国内の金需要ということになります。短期に輸入量は昨年の7倍以上に伸びた。この背景にあるものは中国の四大商銀が積極的に金のビジネスに力を入れ始めたことです。その中でも中国工商銀行(ICBC)は、特に金に力を入れており、WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)と戦略的提携関係を結び、ビジネスを推し進めています。中国工商銀行はもう数ヶ月前からいわゆるICBC GAP(純金積立、GAP = Gold Accumulation plan)という商品を主な都市圏で実験的に開始していましたが、ようやく昨年12月から正式のスタートになりました。しかし、その数ヶ月間の「実験」期間中にほとんど宣伝らしい宣伝はせずに、なんとすでに100万口座が開設され、10トン以上の金が買い付けられたそうです。本家本元の日本の純金積立のすべての業者の口座を合わせても70万口座。それも10年以上の歳月と莫大な広告費用をかけた結果です。中国工商銀行の総口座数はなんと2億。中国全土に16000支店あるといいます。同じく中国四大商銀のひとつ中国農業銀行の口座数はなんと3億を越えているそうです。そして同じように金のビジネスに力を入れています。当然のことながら、四大銀行の残りの二つである中国銀行、建設銀行もしかり。そしてこの四行が現在海外からの金輸入の許可を中央銀行からもらっているのです。(中国では金の輸出入は自由化されていません。)年初の急落場面が、まさに渡りに船、絶好の買いのチャンスとみて中国の銀行が(ひいてはその顧客である個人が)強烈に金現物を買っています。中国での金のリテールビジネスがまさに始まったばかりであると考えると今後、この国の人民が世界の金相場に与える影響は想像を絶するものになる。福岡の三億八千万強奪事件は金の取引に絡むもの“脱税ビジネス”で荒稼ぎ警戒 この10年で金価格は2倍に跳ね上がった。中国やインドといった新興国の経済成長で需要が高まっていることに加え、テロや金融危機など世界情勢が不安定になり、「安全資産」とされる金の取引が活発化しているという。それに呼応してか、日本ではリーマン・ショック後に一時、密輸が増えた。急増したのは、消費税率が5%から8%に引き上げられた2014年4月以降になる。更に平成29年4月に予定されていた消費税の8%から10%への増税が平成31年10月まで延期されるが・・目的は、脱税だ。海外から金を国内に持ち込んだ場合、関税はかからないものの、税関で消費税8%の納付が必要になる。例えば、1億円分の金塊なら、800万円の消費税がかかる。これを密輸で逃れ、売りさばけば、消費税分を「利益」として手に入れられるため、不正が後を絶たないと財務省はみている。“脱税ビジネス”で金塊を安く仕入れた業者が不当な利益をむさぼり、割安なアクセサリーの販売で荒稼ぎすれば、「まともな業者は商売が成り立たなくなる」。地元の業者が警戒する理由がここにある。財務省によると、15年度(7月から翌年6月までの事業年度)は金の密輸件数も脱税額も過去最多を更新した。中でも、韓国の急増ぶりが目立つ。摘発した294件を国・地域別にみると、最多は香港の135件だったが、続く88件の韓国は前年度の4倍と伸び方が最大だった。運び込む手口をみると、287件と9割以上が旅客機を使っていた。15年12月には、マカオから那覇空港へ入港したプライベートジェット機の貨物室内から金塊112キロが見つかり、暴力団関係者ら日本人7人が関税法等違反容疑で告発されたケースもあったが、通常の旅客機で大量の金塊を一度に運べば目立ってしまう。このため、運び屋は、ネックレスに偽装して身に付けたり、旅行かばんに忍ばせたり。中には、親指サイズの金塊を肛門に入れ込む「体内隠匿」まで行われていたという。そうした中、財務省が注目するのが、金塊10キロ以上の大口化の動きだ。15年度は28件と前年度の2・8倍に上った。15年10月には、船舶を使ったケースが摘発され、20キロの金塊を活魚車の中に隠して韓国から下関港へ運び込もうとしていた。福岡市で16年に奪われた「6億円相当の金塊」ともなると、重さは百数十キロに及ぶ。今回、福岡市・天神で奪われた3億8400万円も金塊にすれば、重さは80キロに上るというから驚きである。旅客機で運べばコストもかかる為、大口化の流れの中で、今後は船舶を使うケースも増えてくる恐れがある。韓国や香港に地の利がある福岡が、“受け皿”として重みを増す可能性も指摘される。ルートとしてプサン博多港が一番便利なのは言うまでもない。 ある貴金属店幹部が言った。「福岡はメガバンクの支店もたくさんあるから、億円単位のカネを引き出すのも都合がいいはずだ」