クールなママン&ダディ(と、書いてる俺は今42歳)
月始めの一週間は名古屋オフィスに勤務という二重生活を送っているのだが、名古屋に滞在している間の宿泊先の多くは実家に頼っている。「ま、実家なのだし親子なんだから、そうなんだろうねぇ」と思われる方も多いだろうが、これが実はそうではない。彼等の生活(および生活リズム)を崩す愚息の乱入は両親にとって非常に不愉快きわまりないことでできることなら泊まってほしくない。どうしてもって言うんならせいぜい二拍まで。という嫌われっぷりだ。大袈裟でも何でもなく。こんなにいい子なのに、俺。俺の両親の夫婦仲は異常に濃く深く高密度でたとえ息子といえども二人の暮らしを邪魔するのは許さないったら許さない!のであります。そこを頭を下げ、歯を食いしばりながら「お願いですから今夜も泊まらせてください」と交渉せねばならないのだ。まぁ、もっとも。「アンタもいい歳なんだから、自分のことは自分で解決なさい」ということでもあると受け止めているのだけど。しかし、こうしたポジティブシンキングの心も折れてしまいそうな出来事が最近あった。こうやって千葉←→名古屋を往復する日が続くとどうしても俺の実家に洗濯物が溜まるようになる。冬物は品薄なので、これまた頭を下げて「すいませんが、そっちに溜まってる洗濯物を送ってもらえんだろうか」と頼んだら、先日、実家から荷物が届いた。段ボール箱を持った集配の人がニッコリ微笑みながら俺に言う。「すいませーん。着払いなんですが」息子への荷物が着払いかよ。や。我慢しよう。我慢しなきゃ。そーだそーだ。俺が悪い。荷物を受け取り、早速箱の中身を確認する。と、どうだろう。箱の中に入っていた洗濯物をどけるとその下から、いくつものリンゴや柿が出てきたではありませんか。「あ!スゴい。これはアリガタイ」でも、よくよく考えてみリゃ、さっき着払いで金払ってるんだから自分で買ったようなモンなんだよな。ま、スーパーで買うより全然安いからいいけど。微妙な気持ちに揺れながら、その果物類をどかしてみたら一枚の紙が。「ん?」なんだコレ?パソコンから打ち出したと思われるソレを読んでみた。『画家が愛した南仏プロヴァンスとコートダジュール・パリ9日間』旅行会社から渡されたらしい『旅行のしおり』であった。行くのかよ。また海外に。お前ら、今年の春にも南アフリカに行ったんじゃねえのか。で、年明けに行くと。そうか。それはよかった。両親が健在なのは、いいこった。ここに『お一人様289,000円』とか書いてあるけどそーゆー金は払うけど、息子に荷物を送る金は別だと。そうか。うん、そうかもしれん。また親に教えられてしまったな。何と言うか、手玉に取られるというか、叩き潰されるというか。実にクールな二人なんであります。