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テーマ:時代小説がダイスキ(438)
カテゴリ:読んだ本(時代)
高橋克彦の「おこう紅絵暦」(2003)を読んだ。「だましゑ歌麿」(→日記はこちらから)の最後で仙波一之進の妻となったおこうを中心とした連作短編集。 おこうと一之進の父左門を軸に,おこうの元同輩や絵師の春朗などが活躍するが,花や辻占を売り母を探していたお光が仙波家に使われるようになったり,おこうの幼馴染みの由利がおこうの妹分となったりして,今後の広がりにも期待させられる。 特に,元「熊娘」のお由利に槍の指南をする左門の姿が楽しい。 以下は各話のメモ。 願い鈴 北町の吟味方筆頭与力仙波一之進の妻になったおこうが殺人の嫌疑がかかったお鈴の疑いを晴らし,一之進のすすめでお鈴が仙波家の下働きになる。 神懸かり 2年前に家を飛び出した鏡平が,記憶を失って臨終の母のもとに戻ってくるが,神懸かって呉服問屋の押し込みをいい当てる。 この鏡平は「春朗合わせ鏡」(→日記はこちらから)にも要所で出てくる。 猫清 春朗の知人であり猫清と呼ばれる彫師が人を殺して自殺。 残した猫の名から,彼が若手人気役者滝太郎の実の父であることがわかる。 春朗の気づかなかった黒子を猫清が描き入れたという伏線がけっこう効いていた。 ばくれん おこうは元芸者だけでなく元「ばくれん」だったらしい(笑) 当時の仲間が巻き込まれた事件の裏に,7,8年前に張り合っていた浅草のおようの姿が見え,その仕掛けを知ると,最後には自分も仲間に入れてくれという。 その結果かどうかは別として,「春朗合わせ鏡」の「がたろ」では,「はったり芝居」におようも力を貸していた。 迷い道 八王子に出かけた左門が旧知の八王子千人同心似内が仇討ちで討たれる場に立ち会う。 人喰い 同心時代の仙波家の通いの手伝いだったお光の長屋での人喰い騒ぎから,おこうと春朗が殺された男の正体を突き止める。 退屈連 春朗が席画をかいた退屈連の話から,おこうが盗賊による町方おびき出しの二重のからくりを見破る。 熊娘 浅草の見世物小屋に出ていた熊娘が両親を殺した名主から逃げていた赤城出身のおこうの幼馴染みお由利とわかり,おこうの妹分として仙波家の世話になることに。 片腕 両国橋下に投げ捨てられていた,左腕を切り落とされた男の正体をおこうが突きとめる。 耳打ち 河原崎座の若手ばかりの狂言の趣向が途中で変わったことから,作者殺しの犯人がわかる。 一人心中 お鈴の母親が品川にいる小間物屋のおもとだとわかったが,おもとは盗賊仲間から足抜けしようとして殺される。 古傷 三月の短さで人足寄場から出てきた鏡平が牢で知り合った秋太郎についていい合いをするが,秋太郎の女房が実は妹で,おこうのばくれん仲間だったことがわかる。 時代,場所,登場人物などをフリーページの高橋克彦メモ(仙波一之進シリーズ)に簡単にまとめてありますので,ごらんください。 高橋克彦の作品についての日記は,フリーページ 読了本(日本) (高橋克彦)からごらんください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ → 時代小説(←関連トラバの集積場所) こちらもクリックをよろしく! → このブログのRSSのURL → RSS ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/03/18 12:31:35 AM
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