まあぼの交差点

Gシリーズ６作目にあたる

森博嗣の「ηなのに夢のよう」（2007）

を読んだ。

カバー裏に「Gシリーズの転換点」と書いてあることは知っていた。
本当に「転換点」かどうかはやや疑いながらも，本文を読むまでは……と思って，カバー裏は読まなかった。

よかった！！！！
自分だったら色を変えるかあらかじめネタバレと断るであろうことがさりげなく書いてあったから（笑）

以下はネタバレ要注意です。
ただし，トリックや犯人に関するネタバレはしていません。
というか，犯人もいなければ，自殺の謎も明かされていないので，しようと思ってもできない！　というのが本当なのですが（笑）

15メートルの木の高さ13メートルの枝で首を吊った方法も，周囲が簡単に上れないようになっている島に服を濡らさずにいった方法も最後まで明らかにされなかった。

かろうじて，神社，島，反町のベランダ，深川恒之の４つの自殺事件の関連というよりは非関連についてのヒントが瀬在丸紅子によって示されるに過ぎない。

ここらへんに不満は残るものの，このシリーズの傾向でもあるし，まあ仕方がないか（笑）

「転換点」ということでいえば，次作から新学年になるとしたら確かに大きな転回点になるだろうし，その程度のことでもあるだろう（笑）

とくに，西之園萌絵にとって，

☆萌絵の両親と金子の姉の命を奪った飛行機事故の真相の片鱗が明かされる。
☆親友の反町と金子の結婚。
☆トーマとの死別。
☆新年度から東京のW大学で助手（諏訪野は同行）になる。

と，これから先の生活が大きく変わりそうである。

保呂草（椙田泰男）が那古野を当面の活動拠点にしたらしく，瀬在丸紅子も現れ，なんと，真賀田四季まで顔を出して，楽しい１冊だった。
とともに，「四季」シリーズを読み直さなければ……と思わされた１冊でもあった。

大物（？）が多く登場したせいか，今回C大メンバーはあまり目立たなかったが，国枝先生の「教室会議」への気づかいから事件のことを萌絵に聞くという「変身」にびっくり！　教授職が近づいたか（笑）

じわじわと存在感を増している感じがするのが公安の沓掛。
赤柳と旧知であることから考えられる年齢と現在警部であることから「キャリア」の可能性は低い。
その割に，上等なスーツとブランド品の眼鏡をかけ，四季関係の捜査の中枢にいて，飛行機事故を「私」の周辺では「歴としたテロとして認識」されていると言い切るこの人物って…？？

ところで，最終シーンをけっこうよいと思った方には，短編集「 地球儀のスライス」の「僕に似た人」を，もしもまだ読んでいなければ，絶対にオススメしたい。


Gシリーズ前作の「λに歯がない」についての日記は，→こちらからどうぞ。

時代･場所，登場人物をフリーページの森博嗣メモ（ηなのに夢のよう）に簡単にまとめてありますので，ごらんください。
森博嗣の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（森博嗣）からごらんください。


著者ホームページ：浮遊工作室 (ミステリィ制作部)

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