地球儀のスライス(森博嗣)-その2-
その1(日記は→こちらから)に続いて,森博嗣の「地球儀のスライス」です。マン島の蒸気鉄道(Isle of Man Classic Steam)萌絵が大学院生のある時,マン島で泳げる季節の話。喜多と「数奇にして模型」(日記は→こちら)に登場した萌絵の従兄大御坊安朋のジェット機中でのシーンから始まるが,アイリッシュ海にある睦子叔母の別荘に,睦子,萌絵,諏訪野,犀川に彼らを加えた6人が一夜の晩餐のために集まる。食事の後,大御坊がクイズを出し(全員がわかったということで解答は書かれていない<日記末に簡単な考察を書きました>),諏訪野がもってきた写真をもとに,マン島のシンボルである三本脚が逆向きである理由が話しあわれる。喜多が現像のことを話していたこともあり,「裏焼き」であることと,木の影から逆であることを証明できるところまではわかったが,機関車の向きとはね!! こちらは客車のドアがどちら側についているかを気にしながら読んでいたが,結局それについての記述はなかった。有限要素魔術(Finite Element Magic)よくわからないがあえてまとめてみると,書斎でピストル自殺した男が,魔術により一瞬の「無限にして遥かな存在に出会う」夢を見,その力によってベランダに移動した話だと思える。しかし,??? である!!河童(Kappa)この話は,男が男を愛した話かな?最後に登場する河童らしき人間の頭は,余韻を残してなかなかよかった。気さくなお人形,19歳(Friendly Doll, 19)Vシリーズのキャラである小鳥遊練無と香久山紫子が登場。この本の発行が1999年の1月で,この短編は書き下ろし。「黒猫の三角」の発行が同年5月なので,お目見えとしてはシリーズに先立っている。練無が高給のアルバイトで纐纈老人の孫娘苑子のふりをするという話だが,あらかじめVシリーズを読んでいないとけっこう違和感があるかも……アパートの隣人として保呂草,少林寺の師匠として根来機千瑛の名も出てくる。僕は秋子に借りがある(I'm in Debt to Akiko)乱暴にまとめると,事故で死んだ兄をもつ妹が,その事故でともに死んだ兄の恋人の弟と話をしてみたかったという話。「借り」というのは出会いを大切にできなかった負い目かもしれない。大御坊の機関車と貨車のクイズについて考えたけれどわからなかったので,Googleでちょっと調べたことをあらかじめお断りしておきます。また,以下は「多分そうだろう」ということで,解答ではありません。機関車は貨車を引いたまま分岐線の下のほうを進み貨車の後ろの台車が分岐線の手前にきたところで止まります。(もうちょっと機関車を利用できると思うがわかりやすくするため)ここで,機関車と貨車を切り離し,機関車はそのまま進んでターンテーブルまで行き,そこで向きを変えます。機関車はそのまままっすぐ前進し,奥の待避線で待機。貨車の方向転換は人力。また,台車をターンテーブルにのせて回すと,台車だけが反対向きに回ることから,台車は貨車の下で自由に回転すると考えます。今,貨車の前の台車は下のほうの分岐線にありますが,後ろの台車を上のほうの分岐線に入れ,そのまま貨車を前(右)のほうに進めます(貨車は2つの分岐線にまたがって斜めに進む形)。ある所から,前の台車を後ろ(左)に戻し,後ろの台車を前に進めるようにすると,貨車は大きく回転して,貨車の最後尾が大きな弧を描きながら(おそらく)ターンテーブルのあたりにきます(これで方向転換終了)。機関車をバックで待避線から戻し,上のほうの分岐線を通ってその先まで進め,下の分岐線を貨車のところまでバックさせて連結器をつなぎます。以上ですが,最初にお断りしたように,Googleで見つけたいくつかのホームページに書いてあったことを自分なりに再構成しただけのものです。また,これがあっている保証はありません(笑)2チャンあたりに正解がありそうだけれど,めんどうだから探しませんでした(笑)森博嗣の他作品についての日記は,フリーページ 読了本(日本) (森博嗣)からごらんください。楽天ブックス地球儀のスライス 森博嗣