男たちの大和/YAMATO
「男たちの大和/YAMATO」を見てみる。邦画で戦争物で反町隆史とか長嶋一茂とかが出てて…つまらなくなる要素いっぱいだったが、大和とか好きなので、まったく期待しないでとりあえず見た感じ。ストーリー2005年4月6日、一人の女性・内田真貴子(鈴木京香)が鹿児島県枕崎の漁港を訪れ、北緯30度43分、東経128度4分まで船を出してほしいと漁業組合に願い出る。その場所は、60年前の昭和20年4月7日に戦艦大和が沈んだ場所である。素人を乗せていくには距離・海の状態・その他の問題で無理だと断られるが、彼女が大和の乗員だった内田二兵曹の娘であると告げられた老漁師の神尾(仲代達矢)は、まもなくして若い漁師・敦(池松壮亮)を伴い、真貴子を乗せた小型漁船・明日香丸を東シナ海に向けて走らせていく。まっすぐに前方の海を見据える神尾の胸に、鮮やかに、そして切々と、60年前の光景が甦っていく。それは第2次世界大戦の真っ只中、戦艦大和の乗員として戦争のさなかを生きたある少年兵の記憶だった…。…おいおい、スゲェよ?これ。まず、大和がスゲェ。実物大のセット作っちゃったって言うんだからスゲェ訳だ。旧日本海軍が保有した世界最大の戦艦、全長263メートル、最大幅36.9メートル、公試排水量6万1900トン、速力27ノット。主砲46センチ三連装砲塔三基、副砲15.5センチ三連装砲塔四基…かっこいいわ~。スゲェわ~。いいわ~。この超巨大戦艦は、長門級(改)で満足しとけばいいのに、ワシントン海軍軍縮条約が失効した1936年末から設計・製造されたもので、以降の海上戦闘の主導権を担うものになる予定だった。実際アメリカのノースカロライナ級とかアイオワ級とか、イギリスのキングジョージ5世級とか諸国でも大型高速戦艦の製造が行われていた。しかし、第2次世界大戦の実戦場では、大和級(大和・武蔵)が竣工した時代には大艦巨砲主義も終焉を迎えていて、航空機と航空母艦の発達により、戦艦部隊どうしの洋上艦隊決戦が行われる機会がなくなってしまっていた。魚雷とか爆弾とかの発達が装甲を凌駕しちゃって、航空機の航続能力や運動能力が戦艦の砲塔より良くなっちゃった訳。で、仕方が無いので本来なら「旗艦」としての象徴的な意味や空母の護衛艦として使用される事が主な任務のはずなのに、「一億総玉砕」の旗印の下、水上特攻作戦に駆り出される事になる。乗員3,333名の内、生還したのはわずか270余名だった。と言うような事とはあまり関係なく物語りは進む。所詮、全体の戦局とか大和とかはあまり関係ない、一兵卒の記憶だから。前半は「大和かっこいいだろ~」「スゲェだろ~」「軍人もかっこいいだろ~」って感じで、あぁ追悼の意味の強い映画なのかと思ったら、中盤から悲壮感丸出し。「戦争ダメネ~」「死んじゃうヨ~」「悲しいヨ~」って感じになった。主題はどっちにあんだよ!?と思ったが、最後まで見ての感想は「そう言う思想を押し付ける系じゃなく、(なるべく)純粋なドキュメントとして作った映画なんだ」って感じ。悲壮でドラマチックなストーリーが淡々と進む。最後の水上特攻の戦闘シーンはグロい。実体験した方々にとっては普通、もしくはあまいのかも知れないが、戦争の悲惨さと言うか怖さをよく表現できていたと思う。終戦後のエピソードもよく描けていて、国が「戦争は終わった」と言っても末端の人間にとっての戦争は続いているんだと言う思いがよく伝わってくる。細かいディテール部分については、所々「戦時下の日本で…それは無いだろ」と言うシーンは多少あったものの、全体的なストーリーは良く出来ていて、不覚にも終盤何度か泣きそうになった。男臭い映画が好きな人にはタマラン感じ。ぜひ大スクリーンで見ることをオススメしたい。「死ニ方用意」いや、かっこいいわ。