グシャグシャ

[レビュー（書籍）] カテゴリの記事

全309件 (309件中 51-100件目)

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  「ホルモー六景」 万城目 学

  「鴨川ホルモー」の外伝。「鴨川(小)ホルモー」「ローマ風の休日」「もっちゃん」「同志社大学黄竜陣」「丸の内サミット」長持の恋」の６つの短編集。続編かと思っていたら外伝でした。芦屋の三角関係、高村のチョンマゲなど非常にユニークなエピソードが語られる。できれば「鴨川ホルモー」読んですぐに読むのが良さそうです。でも、ちょっと出すのが早くないか？あと２・３冊出してからの方が楽しめたような気がします。ちなみに「鹿男あをによし」の「狐のは」まで出てきます。おすすめする方　：鴨川等間隔に憧れのある方（東京ならお台場等間隔か？）おすすめしない方：「鴨川ホルモー」未読な方５段階評価：★★★

  2008/04/23

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  「空の中」 有川 浩

  空に浮遊している何かに衝突して起こった航空機事故。遺族達の戦いと空自と航空機メーカー担当者の調査を描く。「塩の街」「空の中」「海の底」「クジラの彼」の自衛隊３部作＋１の１作品です。それぞれ独立しているのでどうでもいいのですが、なぜか発表とは逆に読んでしまってます。ＵＭＡと青春と空自のミックスです。読んでいるとナウシカの「個にして全、全にして個」というオウムの言葉を思い出します。ＵＭＡとの交渉が非常にユニークで面白いが、その困難さは空自パイロットの扱いよりは楽な気がします。（笑）人を突き動かすのは　必ずしも信念ではない・・・人を支えるのは必ずしも年上ではない・・・そんな事を感じました。読書封印期間明けなので評価はちょっと緩めかもしれません。（汗）でもどんどん読み進みたくなる一冊。土佐弁も心地良いです。おすすめする方　：この本をまだ読んでいない方おすすめしない方：スカイドンを知らない方５段階評価：★★★★★

  2008/04/21

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  「ブラックペアン1988」 海堂 尊

  1988年にある大学医学部の外科研修医が経験するブラックペアンに秘められた物語。「チームバチスタの栄光」は未読・・・どころかこの作者の作品ははじめてだったのですが、読みすすめるうちになんとなく「これってなんとなく番外編って感じがするなぁ」と感じました。読み終わったあとに「チームバチスタの栄光」を書いた人だったと知って納得。まぁそのうちあちらも読んでみなければ。物語は最初からぐいぐい引き込まれる感じです。よくわからない単語などもあるのですが、気になりません。関係ないですが最初は黒い白鳥の物語かと思ってました　まじで。おすすめする方　：医者嫌いな方おすすめしない方：手術前の方５段階評価：★★★★

  2008/03/18

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  「ニッポン犯罪狂時代」 北芝 健

  元公安でコメンテイターとしても有名な北芝健氏が、日本における様々な犯罪を糾弾する。犯罪に対する処罰の甘さを一律に非難する強引さには少しひいてしまうが、心神喪失で減刑となる疑問だとか、警察に車で追跡された犯人が事故を起こすと真っ先に警察の追跡方法がマスコミによって叩かれる事の疑問など　共感できる事も多い。ただし、この本に書かれている事は全ての警察が法を遵守して国民を守る事を遂行している事を前提に書かれている・・・さすがにそれはないのでは？「鬼畜は全て死刑にすべし」と書いているが　何をもって「鬼畜」とするのか？？？著者の中で人間を「普通」と「鬼畜」の二種に分類しているようだが　実際にはそんなデジタルな分類ではすまないはず。自分が「鬼畜」と考える人間に対してはどんな事をしても許される？こういった確信犯的な考え方が自分は一番　脅威を感じます。また死刑については法相は宗教や思想を超えて判を押すべしとしているが・・・それならば自動執行でいいのでは？そもそも宗教や思想のもとでしか動けない人間が存在することを理解できないような考えも怖いです。個人的にはこの本を読んで死刑反対の考えを強めました。おすすめする方　：被害者・加害者・それぞれの関係者、色々な犯罪側面に苦慮する方おすすめしない方：人に強く言われると賛同してしまう方５段階評価：★★★

  2008/03/14

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  「鋼」 ダン・シモンズ

  殺人の被害者となった相棒の復讐のために殺人犯となって、１１年の刑期を終えて出てきた元探偵の主人公が、マフィアから内部抗争の調査依頼を受ける物語。タイトル「鋼」・・・製鋼会社の物語かと思いました。（笑）原題「HARDCASE」のままでよかったような気がします。マフィア、殺人鬼、弁護士、殺し屋、マフィアの後継者が入り乱れての抗争ですが、結末は予測がつきやすい気がします。おすすめする方　：ハードアクション物語が好きな方おすすめしない方：ナイアガラに流されてみたい方５段階評価：★★★

  2008/03/13

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  「もえない」 森 博嗣

  特に仲が良いとはいえなかったクラスメイトが亡くなった時に　自分の名前が刻まれたプレートと未開封の手紙が残される。鮮明に思い出す事ができない過去と身近に起こった殺人事件に主人公が巻き込まれていく。タイトルの「もえない」は大きな意味を持つが　この物語の作中に出す必要があったかどうかは疑問。森さんのミステリーは何冊か読んだが　なぜかあわない。ラストの少し前まで不確実な展開が続いて　ラストで「実はこうでした」という事になるのだが・・・不確実な展開ゆえにどんな結末でもありうるので「あぁ　まぁそういうラストもありかな」という程度の印象しかもてないのが自分があわないと感じる理由かもしれない。おすすめする方　：初恋が小学校１年の方おすすめしない方：桜の樹の下には死体があると思う方５段階評価：★★

  2008/03/10

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  「繋がれた明日」 真保 裕一

  ちょっとした諍いで殺人の罪を犯した主人公が　刑期より一年前に仮釈放となるが、悪友の誘いや見知らぬ相手からの嫌がらせや家族の悲しみに苦しむ物語。運命のいたずらで殺人犯となってしまい家族を不幸にするというのは東野さんの「手紙」に似ているが　内容はかなり異なるように感じた。こちらはあくまでもサスペンス調です。また主人公の人柄がぶれていて　なかなか感情移入できなかったように思えるし、成長しない主人公にいらだちを感じた。冷静に考えつつも感情に流され非論理的な行動に出る主人公を見ているとラストはかなりラッキーな感じである・・・これを同じように罪を犯して苦しむ人が読むのはどうであろうか。犯罪を犯すことは自分だけが「犯罪者」になるという事ではなく、自分の大切な人も含めて周りの人々を「犯罪者の～」としてしまう。遠い世界のことではなく誰にでも起こりうる事。おすすめする方　：過去の罪に苦しんでいる方おすすめしない方：保護観察中の方５段階評価：★★★

  2008/03/07

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  「鴨川ホルモー」 万城目 学

  京大の新入生である主人公が不思議なサークル「京大清竜会」に入ったが、この会で催される「ホルモー」の全貌が明らかになるにつれて不思議な魑魅魍魎の世界に巻き込まれてしまう。「鹿男あをによし」は既読のため　作風はわかっていたが、やはりユニークな作品で、一気に読ませます。もう少し人物描写とか丁寧であれば　かなり良い作品になったような気もしますが。また、京都の地名が多く出てくるので京都に住んでいればもっと楽しめるでしょうね。行きがかり上（？）「ホルモー六景」も読むつもりです。おすすめする方　：大木凡人に似てない方おすすめしない方：「藤井大丸」が嫌いな方５段階評価：★★★

  2008/03/05

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  「THE QUIZ」 椙本 孝思

  クイズに挑戦するために集められた１０人。ただしそれは生き残るのはたった一人というゲームであった。まぁ・・・ありきたりな設定です。映画「CUBE」とか「バトル・ロワイアル」とかTVドラマ「ライアーゲーム」とか・・・同じ様な背景の物語は数多くありそうです。クイズも真面目に考えるのは最初のいくつかのみで　あとはどうでもいいようなクイズばかりでした。登場人物も華やかな経歴を持つ人が多いわりにあまりその特色が描かれていないし、色々と疑問を感じる事象も多かったです。ラストも後味が悪く　あまりおすすめできません。おすすめする方　：１時間少し本を読んで暇つぶしをしたい方おすすめしない方：人が死ぬシーンが多いのは苦手な方５段階評価：★

  2008/03/04

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  「海の底」 有川 浩

  横須賀に現れた巨大な人喰いザリガニの群れから逃げるため、潜水艦に匿われた少年たちと潜水艦乗りの物語。ザリガニが巨大化して人を襲う設定が非常にユニークですが、内容はどちらかというと少年達と潜水艦乗りの触れ合いが主です。主人公は「クジラの彼」にも出てくるあのコンビ。救助された少女が主人公と別れるときの台詞「私のことは忘れてください」というのが絶妙で、人と人の繋がりは何度でもやり直しがきくものだなぁと感じました。また歪んだ少年の成長が描かれているのも良かったです。またさりげなく（？）国防の抱える問題も描かれています。ちなみにザリガニではなくエビだそうですが・・・塩かけて火炎放射器で焼いて食えばうまいかもとか、エビラが出るならゴジラも出せよ、と思った自分はおかしいでしょうか。おすすめする方　：後悔している別れがある方おすすめしない方：エビを飼っている方５段階評価：★★★★

  2008/03/03

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  「悪夢のエレベーター―Nightmare after a Secret」木下 半太

  浮気相手のマンションでエレベーターに閉じ込められた主人公と偶然同乗していた怪しい人達の物語。密室でどたばた・・・こういう設定は好きです。演劇でやってくれれば結構面白いものになりそうです。ただし、物語としてはあまり楽しめませんでした。本の帯に「この結末を予想できない」と書いてあったわりに特に驚くような結末でもなかったからかもしれません。誇大広告に感じました。おすすめする方　：気楽に読める密室物が好きな方おすすめしない方：時と場合によっては決してエレベーターに閉じ込められたくない方５段階評価：★

  2008/03/02

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  「ユニット」 佐々木 譲

  妻と子供を殺害されて自暴自棄となった男と警察官である夫の家庭内暴力から逃れようとする女が出会うが、それぞれ追われる立場となって危機にさらされる物語。読みすすめるうちにどんどん追い詰められる気がする物語です。一見穏やかに見えながらも少しずつ危機が迫ってくる怖さがあります。ラストが少しありきたりですが、家庭内暴力・被害者の復讐など考えさせられる事も多い。妻と子供が殺害されるのは光市母子殺害事件がベースになっているようで、最初のうちはかなり違和感・・・というより不快感を感じました。ただ、作者はその事件にもひとつの答えをしめしている事が救いです。インパクトのある装丁で本屋でもすぐに目に留まります。おすすめする方　：真綿で首を絞められるようなストーリーが好きな方おすすめしない方：家庭内暴力から脱出できない方５段階評価：★★★★

  2008/02/28

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  「感染」 仙川 環

  ウィルスを研究している主人公が蒸発した外科医の夫を探す過程で子供の誘拐事件と放火殺人事件に巻き込まれる。話の展開が速くて　あっさり読み終えてしまい物足りないです。謎を考えたり、頭の中で整理したりする前に　どんどんストーリーが進んでいきます。ウィルス感染がテーマで舞台は狭いですが　本当にそんなウィルスがあったら簡単に人類滅亡するような気がします。重い話ですが、なんとなくサスペンス劇場っぽいです。おすすめする方　：ウィルス物が嫌いじゃない方おすすめしない方：臓器移植に興味のある方５段階評価：★★

  2008/02/26

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  「暗い日曜日」 朔 立木

  ある有名な画家が長く付き合ってきた愛人が刺殺されたが、犯人だと自供する画家に不審を抱く弁護士が事件の真実に挑む。「死亡推定時刻」で活躍した人情味溢れる川井弁護士が、前作同様　事件を正しく解決するために奔走する。警察がそれを見逃す事はないだろうというような事も見逃されていたりした事や事件の背景が複雑なため、登場人物に少し感情移入しにくかった気がします。もう少し掘り下げて欲しかった。おすすめする方　：人を愛する事を知らずに結婚してしまった方おすすめしない方：愛人を刺殺し様と思ってる方５段階評価：★★★

  2008/02/25

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  「義八郎商店街」 東 直己

  武闘派商店街とも言われる「義八郎商店街」でそこに住む人々とそれを見守るホームレスが繰り広げる物語。登場人物の多くが古い商店街の店主達であり　愛すべき人たちで楽しいです。東さんの作品は読みすすめるうちにどこか歪んでくるのが特徴かもしれません・・・合う合わないはありそうですが。個人的には今回の作品はもう少し歪ませないでいてくれれば気に入ってたように思えます。またこの作品の装丁は一度見ると忘れないくらいコミカルで特徴的な装丁で、挿絵も同じ方が書かれています。おすすめする方　：古きよき商店街が好きな方おすすめしない方：ミニＦＭを開局しようとしてる方５段階評価：★★★

  2008/02/21

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  「阪急電車」 有川 浩

  阪急電車の今津線を舞台に　一駅毎に交錯していく人々を描いた短編集。阪急電車を舞台に・・・と聞いて　勝手に梅田－三宮間の神戸線かと思っていましたが、過去に１・２度しか乗った事が無い今津線でした。（笑）登場人物はそう多くなく　少しずつ絡まった人間関係が面白いです。主に女性の視点から観た情景が描かれています。恋愛小説っぽいですが、人生の教訓も多く含んでいます。また人は誇りを持って生きていくべき事、自分に忠告してくれる人には感謝する事、人生のあちこちに出会いが潜んでいる事など　痛切に感じました。　この本を電車の中で読みましたが　本の中に出てくる「おばさんたち」に似た人を見つけて思わず笑ってしまいました。また駅や車内で会う人々になにかしら声をかけたくなります。作者も今津線近辺に住んでるそうですが、街と田舎の混ざり具合が良いらしいです。次は　山陽、阪神、神戸、南海、京阪、近鉄、京福、能勢とシリーズ化して・・・いくわけはないですが、でも強く希望します。その場合　神戸高速鉄道はどうするのでしょうか・・・って、ローカルなネタですいません。（笑）おすすめする方　：下らない男と結婚もしくは付き合っている方おすすめしない方：「絹」が読めない方５段階評価：★★★★★

  2008/02/19

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  「象の背中」 秋元 康

  半年の命と宣告された主人公が　妻・息子・娘・愛人・初恋の人・かつての取引先の社長・同僚・上司・部下・隠し子・昔振った女性・兄弟・ホスピスの人達・・と人生の最後に心を通わせる物語。アニメ化されていましたが、そこから受ける印象とはかなり違いました。もう死ぬんだから何をしても、何を言っても許される・・・中年男の妄想のような都合のいい物語です。本人も周りも淡々としていて　ちょっと違和感がありました・・・本来ならもっとグダグダになるだろうと思います。ただ　家族に死が近い時にこういう事をしてあげたかったとか　こういう事を言ってあげたいという部分は所々感じます。　記述の中で「自分は死ぬ時がわかっているから幸せだ。突然の事故で亡くなっていく人もいるというのに・・・」というのは　なるほどそうだなぁ　と考えさせられましたし、自分の死を改めて見直すきっかけにもなりそうです。映画化もされているようですが　今回は配役を知る前に読んだのでよかったです。主人公の二人は本を読んだ感じとはちょっと違う気がしましたから。おすすめする方　：疎遠な兄弟のいる方おすすめしない方：煙草を一生吸い続けるって方５段階評価：★★★

  2008/02/18

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  「犬と私の10の約束」 川口 晴

  多忙で家にあまり帰らない父と犬を飼う時に守らなければならない「犬の十戒」を娘に約束させた母と娘の家族の物語。犬と飼い主のふれあいが主の物語かと思ったが、そうではなく「犬の十戒」は付けたし程度の扱いでした。「犬の十戒」は確かに犬を飼う際に必ず守らなければいけない事ばかり。余談ですがその中で犬が十年程度しか生きられないというのは・・・犬種にもよりますが最近は人間と同じで良くも悪くももう少し長生きしているはず。でも人間の平均寿命よりは遥かに短命ではあるので大切にしてあげるべきなのは当然ですが。来月公開予定で映画化がされていますが、キャストが悪くないのでとりあえず観てみたいです。おすすめする方　：最近　犬と遊んでないなぁと痛感している方おすすめしない方：犬の物語を読みたい方５段階評価：★★

  2008/02/17

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  「図書館戦争」 有川 浩

  公序良俗を乱す書籍を取り締まる「メディア良化法」が制定された日本で、唯一　検閲に対抗する事が出来る図書館での物語。読んでいてなんとなく「究極超人あ～る」を思い出した。中高生向きなコミック調の設定・ストーリー・登場人物が特徴。マニアにはたまらない一冊かもしれません。「正論は正しい。しかし正論を武器にするのは正しくない」という一言が心に残りました。おすすめする方　：検閲が嫌いな方おすすめしない方：子供達の乱れをメディアに求める方５段階評価：★★★

  2008/02/15

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  「花まんま」 朱川 湊人

  妹が突然　誰かの生まれ変わりだと言い出す表題作の「花まんま」、亡くなった少年の魂が彷徨う「トカビの夜」、幸せを運ぶという不思議な生き物に翻弄される「妖精生物」、亡くなったおじさんが最後に居て欲しい人を待つ「摩訶不思議」、苦しむ人を安らかにする「送りん婆」、学校でつまはじきにされた少年が不思議な女性と出会う「凍蝶」の全六編の短編集。少し暗めでノスタルジックで不思議な雰囲気は好き嫌いがわかれる作品。この雰囲気が好きな方にはすごく秀逸な作品に思えるのではないかと思うのですが、残念ながら自分はこの雰囲気がちょっと苦手です。六編の中では「摩訶不思議」と「花まんま」が良かったです。おすすめする方　：「はやく人間になりたぁ～い」がわかる方おすすめしない方：「パルナス　ピロシキ」の歌が歌える方５段階評価：★★★

  2008/02/12

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  「死亡推定時刻」 朔 立木

  山梨県で起こった女子高生の誘拐殺人事件で冤罪を着せられた青年の物語。物語は検挙されてから判決が出るまで　詳細に記述されています。有名な法曹関係者だという作者があと書きで「この物語はフィクションを言えるかどうか」と書いています。つまりストーリー自体はフィクションですが、記述されているパーツにはいくらか実際にあった事が含まれているとの事。勿論　フィクションですから誇張されている部分もあるでしょうね。余談ですが　読んで改めて冤罪の恐ろしさを痛感すると共に、真に恐ろしいのは真面目に仕事に取組んで（犯人だと直感したら自白まで熱意を持って強引に推し進める警察官、長くかかる裁判を短くするため無駄な調査はできるだけ省く検察官、被疑者が真犯人であると考えて情状酌量だけを考える弁護士　等）、自分自身を「正義」だと信じている人達である事がわかります。勿論　真実を真面目に追究する事だけ懸命に努力されている警官・検察官・裁判官・弁護士方も多いと思いますが、この作品に記述されているような人達がいないとは断定できない。クレームを隠蔽する、製造年月を偽装する、虚偽の決算報告を行うといった民間企業の腐った人たちの割合と同じだけ、法曹関係にも腐った人達がいて、そのために苦しんでいる人もいるはず。中には冤罪のまま死刑になった人もいないとは限らない。冤罪は悪意だけが生むものではありません。おすすめする方　：死刑制度の怖さを実感できない方おすすめしない方：死刑になりたい方５段階評価：★★★★★

  2008/02/09

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  「ゴールデンスランバー」 伊坂 幸太郎

  厳重なセキュリティーシステムの監視下におかれた仙台市で新しい首相がパレードしている時に暗殺される。暗殺直後の混乱の中で何故か犯人の濡れ衣をきせられてしまう男の物語。アメリカでジョン・F・ケネディ大統領暗殺の犯人とされたが、様々な謎によって現在では実は犯人ではなかったのではないかという説が強いリー・ハーヴェイ・オズワルドの物語がベースとなっている。記述されている文章が全て伏線ではないかと思えるほど見事にコントロールされた一冊。伏線に気付かされるたびに・・・また一字一句疎かにできない緊張感が心地よいです。ラストも賛否両論ありそうですが、自分にとっては逆に新鮮味を感じました。伊坂氏の作品としては初期の斬新さが少し抑え気味であるがバランスの良い作品。「魔王」で書きたかったが書ききれなかった国家・権力・マスコミ等に対する作者の想いがようやく形になったようにも思えます。何らかの賞は取りそうな読まないと後悔する（？）一冊です。是非　ドラマ化もしくは映画化を望みます。配役はこんな感じでどうでしょうか。ほかはあまり自信が無いのですが、三浦と樋口晴子の配役は絶対譲れません。　青柳：吉岡秀隆　青柳（父）：田中要次　森田：大倉孝二　小野：瑛太　三浦：松田翔太　保土ヶ谷：寺島進 　近藤：平泉成 　樋口晴子：桜井幸子　樋口七美：八木優希　鶴田亜美：田中麗奈　小鳩沢：宇梶剛士 　凛香：酒井若菜おすすめする方　：まだこの作品を読んでいない方おすすめしない方：「大変よくできました」以外のハンコを貰った事が無い方５段階評価：★★★★★

  2008/02/08

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  「イッツ・オンリー・トーク」 絲山 秋子

  精神を病んで職を失った主人公と、旧友でＥＤの議員の卵・フリーターのいとこ・鬱病仲間・痴漢など色々な男性との人間関係を綴った表題作と、乗馬で傷ついた主人公が昔の仲間に再会する「第七障害」の二編。「イッツ・オンリー・トーク」は女性の性欲をあっけらかんと描いたユニークな作品。他人との距離感がつかめない主人公に親近感がわきました。痴漢（といっても、待ち合わせたりする知人だが）との微妙な関係が面白い。自分が登場人物になるなら、やはり痴漢でしょうか。「第七障害」は少し真面目な恋愛小説。二つの作品の主人公は作者の影と光のような気がします。おすすめする方　：他人との距離感わからない方おすすめしない方：動物が死ぬのが苦手な方５段階評価：★★★

  2008/02/05

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  「クジラの彼」 有川 浩

  自衛隊員を主人公にした恋愛小説六編。男らしい（？）女性と言葉足らずで不器用な男性が出てくるベタ甘な恋愛物語が多いです。決して悪いわけではありませんが、どちらかといえば女性におすすめな作品でした。（汗）おすすめする方　：恋愛をしている　もしくは将来する予定のある方おすすめしない方：自衛官に恨みのある方５段階評価：★★★

  2008/02/04

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  「クレィドゥ・ザ・スカイ」 森 博嗣

  「スカイクロラ」シリーズの最終作。撃墜された主人公が病院から脱走して逃避行を行いながら、キルドレの秘密を巡って対立する組織の狭間にいながら、キルドレとして純粋に空を飛ぶ事だけを欲する。「スカイクロラ」シリーズを時系列で並べると「ナ・バ・テア」「ダウン・ツ・ヘヴン」「フラッタ・リンツ・ライフ」「クレィドゥ・ザ・スカイ」「スカイ・クロラ」となるそうです。長い時間をかけて完結したシリーズですので、もう一度　時系列に読んでみたいような気もします。また「クレィドゥ・ザ・スカイ」はシリーズの中では物語が淡々と進むため　初めてこのシリーズを読む方には辛いかもしれません。このシリーズは物語としても面白いのですが、澄みきった純粋な精神と浮遊感が特徴的です。世界観を受け入れる事ができるか否かで好き嫌いが別れるシリーズだと思います。乗り物は異なりますが西風氏の漫画「ＧＴロマン」のように、ストーリー以上に自分がそこにいるような感覚が楽しめる作品です。シリーズを通して装丁が美しいです。「スカイクロラ」は押井守監督によって映画化されているそうです。観たいような観たくないような。（笑）おすすめする方　：純粋な精神が好きな方おすすめしない方：飛行機が怖い方５段階評価：★★★

  2008/02/03

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  「５（ご）」 佐藤 正午

  相手に対する情熱を失ってしまった夫婦が、旅先であった女性の特異な能力がきっかけとなり、かつての情熱を取り戻すが、それに多くの人の人生が巻き込まれていく物語。ジャンルの分類が難しい一冊です。ただ、少し冗長だと感じられる部分もあって、途中で「この作者はいったいどういうストーリーを書きたいのだろう？」とわからなくなる事もありました。そのあたりのかけひきがこの作者をよく知っている人には面白いのかもしれません。自分には　この内容ならばもっとページ数を絞ることもできるのでは？と感じます。おすすめする方　：スープが冷めても許せる方おすすめしない方：愛は永遠だと思う方５段階評価：★★

  2008/02/02

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  「空中ブランコ」 奥田 英朗

  ハチャメチャ精神科医　伊良部シリーズの第二段。相方を信じられないサーカス団員、尖端恐怖症の暴力団、ノーコンになった野球選手、いけない事をしたい医師、以前の作品とかぶっていないか不安な女性作家　の５編の短編集。シリーズ一作目の「イン・ザ・プール」より力が抜けていて、三作目の「町長選挙」よりもストーリーが練られており、バランスが取れていてシリーズの中では一番良いです。やってはいけないことをやりたい気持ちって誰にでもあると思うので「義父のヅラ」は多くの人が気に入る作品ではないでしょうか。またいつも医師以上に傲慢な看護婦ですが　今作品では少し良いところも見せて　新鮮味があります。おすすめする方　：精神科医にかかろうかと思っている方おすすめしない方：周りにヅラの人がいる方５段階評価：★★★★

  2008/01/30

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  「幸福な食卓」 瀬尾 まいこ

  「今日から父さんをやめる」という父のひと言から始まる ある家族の物語。物語に出てくる家族は過去に少しトラブルがあり、母親は家を出て一人暮らしをしている家庭で、それぞれ自立しているがお互いを思いあう気持ちが自然で優しい。ある意味　理想的な家族にも思える。全編通してほほえましく進んでいく・・・が、それだけではすまないほろ苦い部分もあったりする。幅広い年代がそれぞれの立場で家族を想いながら読める一冊です。映画化されているので是非観たいです。おすすめする方　：人生の大切な物がまだ見つからない方おすすめしない方：シュークリームに卵の殻が入ってるのは嫌な方５段階評価：★★★★★

  2008/01/29

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  「都市伝説セピア」 朱川 湊人

  見世物小屋（バス）で見た氷漬けの河童の秘密を知る「アイスマン」、タイムトラベルで友人を助けようとする「昨日公園」、フクロウ男が子供を殺害する江戸川乱歩風の作品「フクロウ男」、死者と共に生きる「死者恋」、罪悪感を感じている（いた）相手があるマンションのベランダに見える「月の石」の不思議な物語５編からなる短編集。どの作品も語り口調で少し重いです。気に入ったのは「昨日公園」、「月の石」・・・ドラマにしても良さそうな作品です。ちなみにレビューを書いたらいきなりブラウザがかたまりました。これも都市伝説の呪いでしょうか。おすすめする方　：不思議で暗い雰囲気をもった作品が好きな方おすすめしない方：「ホウホウ」と聞くと「チュウチュウ」と答える方５段階評価：★★★

  2008/01/26

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  「レインツリーの国」 有川 浩

  書籍レビュー系のブログで知合った二人。大阪弁の彼と障害を持った彼女が不器用に心を通わせていく物語。大きな障害を持った人が身近にいないため　今まで意識したことがなかったが、心を通わせるという事は思わぬ壁を感じたりするものなのかもしれない。物語の中で主人公の男性が「自分は障害を持っていないが他の事で苦労をした」と語る部分があるのだが、それってそんなにハンデなのか？と不思議だった・・・自分も同じ経験をした事があるが、それをトラウマのように感じた事がなかったから・・・。この作品は「図書館内乱」という作品と繋がっているらしいが　未読なのが残念でした。おすすめする方　：「図書館内乱」を読まれた方おすすめしない方：大阪弁が嫌いな方５段階評価：★★★

  2008/01/25

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  「一瞬の風になれ」 佐藤 多佳子

  サッカーの兄と陸上の友人　二人の天才アスリートを身近に持つ高校生が、サッカーを諦めて陸上に打ち込む物語。スポ根長編ドラマ・・・のような作品です。読んでいてわくわくして、どんどん次を読みたくなる作品。ただしストーリーは平凡。また、才能を持った登場人物には感情移入しにくかったです・・・自分の個人的な問題かもしれませんが。余談ですが　主人公の友人がヨーロッパへ旅行した際に知り合った女の子より「あなたは何が得意？何を目指しているのか？」と尋ねられますが、日本以外では当たり前である「目標を持って生きる事」が今の日本に一番かけている事だと感じました。おすすめする方　：一つでもとりえのある方おすすめしない方：何も才能が無いネガティブな方５段階評価：★★★

  2008/01/24

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  「深層」 朔 立木

  実在の事件がベース。医療ミスを題材にして人は如何にしてミスを隠そうとしスケープゴートを作り上げるのかを描いた「針」、「池田小児童殺傷事件」を題材にして犯人が犯行に及んだ背景を語った「スターバート・マーテル」、「女子中学生高速道路放置殺人事件」をベースにした援助交際では殺害された女子中学生の哀しみを描いた「鏡」、作家（柳田邦夫氏でしたっけ？）の息子が精神を病んで自殺した際の苦悩を描いた「ディアローグ」の４編の短編集。「針」では責任を逃れるために事実を偽装する事は、ほんの少し運命の悪戯やどうしようもない背景のもとでは誰にだって簡単に起こりうるという事を感じた。自分自身ずっと理解不能のままであった「池田小児童殺傷事件」に一つの解を示した「スターバート・マーテル」に強い衝撃を受け、読んだ後でしばらく背筋が凍るような印象をもった。「鏡」では今の子供たちの危うさとそれを利用する大人の汚さがよく描かれていた。また「ディアローグ」では子を持つ親として感情移入するとともに子を育てる難しさを改めて感じた。何か大きな事件が起こると　多くの人は特殊な人間やだめな人間や弱い人間の過ちであると考えて自分とは遠い世界の事だと結論付ける。でも実際の犯罪や事件を起こす人は特殊な人ではない。それを痛切に感じさせてくれる一冊。おすすめする方　：犯罪は遠い世界の事だと思っている方おすすめしない方：重い内容の本が苦手な方５段階評価：★★★★★

  2008/01/23

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  「楽園」 宮部 みゆき

  特殊な能力を持った子供の絵を発端に過去から現在まで繋がっている事件を追う物語。９年前に「模倣犯」の事件で精神的に大きな傷を負ったフリーライターが、子供を亡くした母親から依頼された調査を進めていくうちに、ある事件の奥に潜んでいる暗闇をのぞいてしまう。長編だがどんどん読み進むことができます。子供の非行に関わる親・どうしようもない親族を持った人達の苦悩・将来を考えない子供の判断など、今　日本が抱えている問題に焦点があてられています。ただし ミステリーであるのに超能力や直感に頼って、それが正しい着眼だったりする事に違和感を感じます。また読み飛ばしてしまったのかもしれませんが、当初　提示された謎のうち最後まで解決していないものがあるのも気になりました。そういう意味でストーリー全体が練られておらず纏まりがないように感じました。おすすめする方　：細かいことが気にならない方おすすめしない方：「模倣犯」を読んでいない方５段階評価：★★

  2008/01/20

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  「雨と夢のあとに」 柳 美里

  遠く台湾で事故にあった父親と日本で一人　父の帰りを待っている12歳の娘。その娘の前に現れた不思議な女性。家族・信頼・夢などを突き詰めた物語。前半３分の１程度読むと誰でも物語の背景がわかるようになっています。怪談小説・・・というカテゴリーには入れにくい作品。ドラマ化されたそうです・・・観てはないのですがこの作品の持つ独特の雰囲気を表現しきれているようには思えないです。おすすめする方　：雨は嫌いじゃない方おすすめしない方：最近　誰かに恋人を取られた方５段階評価：★★★

  2008/01/16

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  「月の扉」石持 浅海

  乗客240名の乗った飛行機が沖縄の空港でハイジャックされるが、その最中に乗客の一人が謎の死を遂げる。ランキングなどで評価が高かったため、期待して読んだからか少しがっかりな内容だった。ある目的のためにハイジャックをするのだが、登場人物それぞれが色々な幻想を抱く。その目的故の殺人があったり色々な事件は起こるのだが、その目的が現実離れしているためにいまいちピンとこなかった。おすすめする方　：とりあえず評価の高いミステリは読んでおきたい方おすすめしない方：推進力の強い思想が苦手な方５段階評価：★★★

  2008/01/12

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  「虹色にランドスケープ」 熊谷 達也

  バイクを通じて時を越えた出会いや別れで心を通わせる人々の物語。７編の短編集。北海道をツーリングしたり、レースに参加したり、親から受け継いだバイクに乗ったり、過去に大きな事故を起こしたり・・・様々なライダーが登場人物として出てきて、バイク乗りならかなり楽しめそうな作品です。短編はそれぞれ一つの短編として成り立っているが、登場人物が少しずつ絡み合っているので、全て読み終えると一つの長編ともなる。ただし前半と後半の雰囲気が異なっていることや、前半で感じたある登場人物の好印象を後半であっさり否定してしまう記述が残念。一つの長編としてみた場合に、最後の二編は違和感を感じます。おすすめする方　：バイク好きな方おすすめしない方：最近リストラされた方５段階評価：★★★

  2008/01/10

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  「ダイイング・アイ 」 東野 圭吾

  女性一人が亡くなった複合交通事故。後日　何者かに襲われて事故の記憶を失った加害者である主人公が事故の背景を探る。「変身」「分身」とともに東野さんの変貌三部作（勝手に命名）的な作品。少しホラーっぽい要素もはいっています。偶然ですが昨日は福岡飲酒事故の判決が出た日で、この作品の中でも作者は１０万円の窃盗と人一人が亡くなった事故との刑罰がそれほど変わらない事を問題として挙げている。おすすめする方　：「変身」「分身」が気に入った方おすすめしない方：マネキンが苦手な方５段階評価：★★★

  2008/01/08

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  「I love you」 作家６名

  タイトルである「I love you」を主題にした男性作家６名（伊坂 幸太郎,石田 衣良,市川 拓司,中田 永一,中村 航,本多 孝好)の短編集。中には少しタイトルとずれている作品もあるような気がするが、大切な相手を失いつつあったり、一歩踏み出すためのきっかけを探していたり、いままで意識していなかった身近な相手の良さに気付いたり・・・と、現実にもよくありそうな物語ばかりです。どんな人もどこか共感できる作品があるはず。またトップの伊坂さんとトリである本多さんの作品は　どちらも心地よさを残す良い作品です。男性作家が書いた作品だからか　弱い男性、凛とした女性という組み合わせが多いのですが、これも現実によくありそうな・・・でしょうか。（笑）おすすめする方　：大切な相手を見失った・・・もしくは見失いつつある方おすすめしない方：白熊と香水が苦手な方５段階評価：★★★

  2008/01/07

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• 2007年ランキング

  あくまでも２００７年度に発刊されたわけではなく、自分が２００７年に読んだというだけのランキングです。振り返ってみると必ずしもその時に五つ星を付けたからといって、良い印象が残っているわけでもないですね。＜ベスト１０＞（順位は無関係）・「不都合な真実」　アル・ゴア・「壬生義士伝」　浅田 次郎・「終末のフール」　伊坂 幸太郎・「風に舞いあがるビニールシート」　森 絵都・「クライマーズ・ハイ」　横山 秀夫・「空飛ぶタイヤ」　池井戸　潤・「海の仙人」　絲山 秋子・「サウス・バウンド」　奥田 英郎・「4TEEN」　石田 衣良・「極大射程」スティーブン・ハンター　＜番外＞・「STAR EGG 星の玉子さま」　森 博嗣「海の仙人」と「サウス・バウンド」はそれぞれ五右衛門802さんと読書人・ゆきさんのレビューに影響されて読んだ作品。五右衛門802さんのレビューは「逃亡くそたわけ」だったのですが　この作家さんを気に入って四冊読んだものの中でも「海の仙人」が一番印象に残りました。「壬生義士伝」と「サウス・バウンド」は好きな父子物です。父親とうまく接する事ができなかった自分としては羨ましく感じるテーマなのかもしれません。「不都合な真実」・「風に舞いあがるビニールシート」・「クライマーズ・ハイ」・「空飛ぶタイヤ」は現実もしくは現実に近い事件がテーマとなっていて　考えさせられる事が多いです。「終末のフール」は好きな作家No.1の伊坂さんの作品。ある意味　伊坂ワールド全開の作品。石田 衣良さんの作品はあまり好きでは無かったのですが、「4TEEN」は大人になって忘れていたものを思い出させてくれる一冊でした。「極大射程」は一級の娯楽作品でした。番外の「STAR EGG 星の玉子さま」は「へぇぇ　森さんってこんなのも書くんだ？！」と感心した一冊。また２００８年も良い本に出会いたいです。

  2007/12/29

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  「総会屋勇次」 江上 剛

  元総会屋の主人公が過去の人脈を生かして　悪徳投資家や企業などと闘う物語。５編の短編集です。元総会屋ながら非常に正義感があるという・・・ちょっと違和感のある主人公です。一つ一つの物語の掘り下げが少し足り無い気がしますし、最後の１編は「ん？結局　主人公はいなくてもよかったんじゃないの？」と思えるようなストーリー。でも全体のまとまりはいいです。おすすめする方　：銀行が嫌いな方おすすめしない方：マグロが苦手な方５段階評価：★★

  2007/12/28

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  「がばいばあちゃんの幸せのトランク」 島田 洋七

  漫才師　島田洋七の学生時代から現在までの半生を描いた作品。「がばいばあちゃん」シリーズ第三弾。爆発的ヒットとなった（らしい）「がばいばあちゃん」・・・に、育てられた青年が奥さんと共に挫折・栄光を経験する物語だが・・・「がばいばあちゃん」の逸話は殆ど出てきません。このパターンでいくと来年あたり「ホームレス中学生の～」なんていうシリーズが出てくるかも。（苦笑）また、恐らくどんな芸人さんでも苦労も栄光も挫折も運命的な出会いも支えてくれた人もあるでしょうから この本に書かれている事はそんなに特別な事とも感じないです。ただ　一気に読ませるのはそれなりに評価できるかもしれません。おすすめする方　：柳の下にドジョウがうようよいても良い方おすすめしない方：生まれてから栄光が無い普通の方５段階評価：★★

  2007/12/27

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  「臨場」 横山 秀夫

  終身検視官と命名されるほどの優秀な一人の警視を描いた短編集。主人公のキャラクターは魅力的に描かれており　今後も別の作品に出てきて欲しいほど。短編は検死官の「超人的な解析」と「心温まる配慮」を描いた作品に分ける事ができるが、前者は少しついていけない部分もあり、後者はいつもの作者の心地よさを感じた。そういう意味では少しアンバランスな短編集であるかもしれない。その中では昔の部下をおもう「黒星」が良かったです。おすすめする方　：自分にＦＡＸを送りつけたくなる方おすすめしない方：普通の検視官な方５段階評価：★★★

  2007/12/26

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  「むかしのはなし」 三浦 しをん

  昔話をモチーフにして地球に大きな隕石が落ちてくる少し前の七つの物語からなる。作品毎にムラがある点と本来はもっと掘り下げる事が出来る題材なのにそうできていない点に不満が残る。また作品ごとに少しずつ関連を持たせているが、それもとってつけたようで不自然に感じる。ただ、優しく穏やかな文体には可能性を感じる。隕石が落ちる事がわかって暴動が起きる事に対してのセリフ「死ぬことなんて生まれた時から決まってる事じゃないか。なにをいまさら。」ってのは結構　好きかも。おすすめする方　：直木賞作家の本を読みたい方おすすめしない方：自分は決して死なないって方５段階評価：★★

  2007/12/22

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  「ミッドナイトイーグル」 高嶋 哲夫

  カメラマンである主人公が北アルプスで見た爆発。その真相を探るために雪山へ向かうが　同時に東京の女性フリーライターが某国の工作員と接触し　同じ事件に辿り付く。映画の予告で主人公の配役を知ってしまったので　どうしても主人公をその二人のイメージで読んでしまったのが残念。登場人物にあまり感情移入できない作者であるが　この中で出てくる自衛隊員の一人は印象に残った。ただしストーリーは秀逸だし　雪山の情景が見えるような作品で一気に読めます。おすすめする方　：観る前に読む派な方おすすめしない方：寒さに弱い方５段階評価：★★★★

  2007/12/21

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  「EXIT」 雨宮 処凛

  ネットの自傷系ページで知り合ったグループ。お互いに傷を舐めあいながらも次第に行き場を無くしていく物語。たまたま自傷系の人を主人公に持ってきていますが、集団の暴走と集団に属したときに起こりうる出口の無い物語です。学校、飲み友達、会社、サークル、宗教、町内会・・・どんな集団でもその危険性は秘めてるはず。物語の中ではうつやＯＤやＰＴＳＤや解離性障害など出てくるのですが　作者の見方はかなり冷静な感じで共感できます。おすすめする方　：出口が無いことに気がついた方おすすめしない方：あるはずのない出口を探している方５段階評価：★★★★★

  2007/12/18

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  「クライマーズ・ハイ」 横山 秀夫

  １９８５年の夏にあった５２０名の命を一瞬で奪った日航機墜落事故。その頃　上毛新聞に勤めていた作者が書いた長編。墜落は群馬と長野の県境にある御巣鷹山。地元で発生したとてつもなく大きな事故に混乱する地元新聞社を舞台に報道・事件・派閥争い・葛藤・トラウマ・家族関係などが幾重にも折り重なった珠玉の一冊です。特に報道のあり方については考えさせられる事が多い。現地は地獄のような光景だったはずですが、そのあたりは間接的にしか描かれていないので　気の弱い方でも大丈夫です。もし当時の事を覚えていない・・・もしくはまだ生まれてなかった方が読んでみようと思われたら　一度 Wikiででも事件を調べてから読む方がいいかもしれません。以前　佐藤浩一主演でドラマ化されましたが、堤真一主演で０８年公開で映画化されるようです。おすすめする方　：命の重さについて答えを持っていない方おすすめしない方：ボーイング社の方５段階評価：★★★★★

  2007/12/15

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  「天国はまだ遠く」 瀬尾 まいこ

  仕事や人間関係がうまくいかず自殺する事を決意した女性が、山奥の寂れた民宿で出合った素朴な世界や人々と触れ合う物語。昨日の「ライダー定食」と主人公とストーリーがほんの少し似ていますので、併せて読むといいかもしれません。（←かなり無責任な発言）素朴な世界で自分を見つめなおす事で　今まで嫌悪していた自分と違う面を見つける事ができる。そして今まで認識していた自分が苦しんでいた世界も・・・。ちなみに来年　映画が公開されるそうです。主演は加藤ローサとチュートリアルの徳井義実・・・微妙な配役。個人的には菅野美穂とトータス松本あたりで観たい。おすすめする方　：他人とうまく付き合う事ができない方（再掲）おすすめしない方：鶏を捌くところを見た事がある方５段階評価：★★★★

  2007/12/12

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  「ライダー定食」 東 直己

  他人とうまく付き合う事ができない孤独な女性が、北海道のとある湖畔にあるカフェ・インで「ライダー定食」というものがあると知ってバイクで旅に出る表題作はじめ６編の中編集。プロになってから書いた作品は表題作のみとの事で　確かに他の作品より心地よく読める気がします。プロになる前に書いた作品には　不条理な作品や人間以外（箸とか蝿とか炭素とか・・・）が主人公として書かれた作品もあるのですが、少し稚拙で奇を衒いすぎている感が否めません。その中では「納豆箸牧山鉄斎」という箸が主人公の作品があり、読んでいるうちに予想できてしまうラストをのぞけば　非常にユニークで楽しめる作品でした。おすすめする方　：他人とうまく付き合う事ができない方おすすめしない方：不条理な作品が苦手な方５段階評価：★★★

  2007/12/11

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  「STAR EGG 星の玉子さま」森 博嗣

  様々な小さな星を旅する玉子さまと愛犬の物語。子供から大人までが楽しめる絵本。旅をする星はどこも小さな星なんですが　トンネルが一つだけある星、滑り台で一周できる星、星より橋が大きい星など様々な星が出てきます。星それぞれに色々な意味があって現在の地球の危機を示唆している部分も感じられます。「人間はこの星（地球）をどうしたいのか？！」という作者の声が聞こえてきそうな作品。装丁も綺麗で楽しいです。おすすめする方　：生きる事を常に問いかけている方おすすめしない方：森さんはミステリしか書いちゃいけないって方５段階評価：★★★★

  2007/12/08

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  「空飛ぶタイヤ」 池井戸 潤

  トレーラーのタイヤが走行中に脱輪し、母子を直撃して母親を死に至らした。その原因は整備不良とメーカーから調査結果が報告されたが運送会社社長は納得せず真相を探る。自動車メーカーのリコール隠蔽に焦点をあてた作品。言わずと知れた三菱自動車のリコール隠しをモデルにした作品。７～８割くらいは読んでいて不愉快です。作品が悪いわけではなく、隠蔽された経緯や大企業の歪んだ倫理観が詳細に描かれているため　この作品がまるでノンフィクションのように仕上がっているからだと思います。読んでいると「絶対この会社の車は買いたくないぞ」という気にさえなります。頁数は少し多いですが一気に読みきる事ができます。当時あれだけ騒がれて企業が大きなダメージを受けたのを見ていても、未だにそれを自社に当て嵌めない会社が多いのは何故でしょうね。余談ですがうちの車はたまたま三菱車で、それなりに気に入ってます。・・・が、次に同じメーカーの車を買うかどうかは別の話です。おすすめする方　：フィクションはフィクションとして読める方おすすめしない方：リコール隠蔽問題でなんらかの被害を蒙った方５段階評価：★★★★★

  2007/12/07

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