グシャグシャ

[レビュー（書籍）] カテゴリの記事

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  「明日の記憶」 萩原 浩

  娘の結婚を直近にひかえた４０代後半の広告マンが、若年性アルツハイマーになってしまって記憶を失っていく物語。主人公の視点で病気への不安やプライドが保てない苦悩などが描かれており、実際になってしまうとこういった風に感じるんだろうなと実感させられる部分も多い。また、家族の戸惑いや苦しみも同時に描かれていればもっと良かったように思う。作者の優しい文体がシリアスな内容を柔らかく包み込んでいる点が心地よい。おすすめする方　：アルツハイマーになるかもしれない方おすすめしない方：泣ける本が苦手な方５段階評価：★★★★

  2007/04/20

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  「一応の推定」 広川 純

  電車に轢かれて亡くなった老人は自殺だったのか　事故だったのか。定年直前の保険調査員が真実を求めて調査する物語。作者は実際に保険業界で働いていた方だそうで、良い面・悪い面ともなかなかリアルに書かれています。また子供の臓器移植へも問題提起されています。生命保険は契約後一年過ぎていれば自殺であっても保険金は支払われるが損害保険は自殺の場合　契約後どれだけ経っていても出ないそうです。また疑わしい場合は一応の推定さえあれば保険金が支払われない可能性が高いとの事。おすすめする方　：保険金詐欺を目論んでいる方おすすめしない方：マグロが好きな方５段階評価：★★★

  2007/04/18

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  「神様からひと言」 荻原 浩

  転職した会社で「お客様相談室」への不本意な人事異動を命じられ、クレーマーとの闘いに奮起しつつも自分の信念を貫く物語。物語は社内の出来事と過去の恋愛と二つの主題からなるのだが、あまりにも非現実的すぎる会社の物語と心の中で出て行った彼女を思う物語に落差がありすぎて中途半端な感じ。ただ、「見つけたものは拾うべきだね」、「拾ったものは離さないこと」という言葉は深く印象に残る。おすすめする方　：拾ったものを手放してしまった方おすすめしない方：インスタントラーメンが嫌いな方５段階評価：★★★

  2007/04/17

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  「私の頭の中の消しゴム」 木村 元子

  結婚して間もない女性がアルツハイマーとなって記憶を失っていく物語。あまりにも綺麗に描かれている事や突っ込み所が多いために読んでいてしらけた。もしかして作者はアルツハイマーという病気は知っていても、実際に接した事が無いのではないか。おすすめする方　：アルツハイマーという病気を知らない方おすすめしない方：周りにアルツハイマーの人がいる（ｏｒいた）方５段階評価：★★

  2007/04/16

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  「ラジオ・エチオピア」 蓮見 圭一

  離婚して子持ちの女性と既婚で子持ちの男性の恋愛物語。女性は強引なのだけれども根底に流れるのは寂しさであり打算。会話等は格好良く前半は緊張感もあるのだが　後半は全体的に破綻していてさめてしまう。また妻・子供・友人なども、かなり不自然で人物像がまったく掴めない。おすすめする方　：結婚後に運命的な出会いがあった方おすすめしない方：バッハが苦手な方５段階評価：★

  2007/04/14

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  「よもつひらさか」 今邑 彩

  亡者に呼ばれる表題作をはじめとして、ミステリー・ホラー・ファンタジー　様々なジャンルの短編集。趣向を凝らした短編で飽きさせない。ただ、どの作品もどこかで読んだような気がするのは、オチのひねり方が素直なのか、わかりやすい伏線が張られているからか。おすすめする方　：「世にも奇妙な物語」が好きな方おすすめしない方：ホラーが苦手な方５段階評価：★★★

  2007/04/12

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  「憲法九条を世界遺産に」 太田 光,中沢 新一

  「爆笑問題」の太田光と評論家の中沢新一が憲法第九条について会談。改憲に反対のスタンスであるが、ありきたりに反戦を訴えるのではなく憲法九条の持つリスクや矛盾を認識したうえでの論議。読んでいて何点か新鮮に感じた事があった。「愛がなければ戦争は起きない」。確かにその通り。「憲法九条は決して追い付けない理想だが、理想である事が大事である」。自衛隊が憲法に矛盾している事は確かだが、それはそのままでいいのではないか。矛盾を正そうとすれば改憲にしても自衛隊廃止にしても危険を伴う。また、改憲を進めるきっかけを作ったのは実は矛盾を突いた護憲派なのではないか？「人を右翼か左翼で分けるとどちらもが何かを失う。」。何らかのレッテルを貼る事は得る物もあるが失う物もあるという事。例えば自分自身　無宗教・無党派層であると自負していたがそれもある意味レッテルである。もっと言えば国籍がある事が人間にとって最大の不幸かもしれない。（「沈黙の艦隊」思想？）「護憲はいきなり殺されても仕方が無いと考える勇気がいる。」。その通りなんだが、護憲派がそこまで考えているとは決して思えない。何かを考えるきっかけになる本です。おすすめする方　：護憲派・改憲派の方おすすめしない方：既に読んだ方５段階評価：★★★★★

  2007/04/11

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  「まほろ駅前多田便利軒」 三浦 しをん

  老人のお見舞い・倉庫の掃除・バスの見張り・塾の送り迎えなど、どんな事でも引き受ける便利屋の主人公と相方が、それぞれ過去を引きずりながらも様々な事件に巻き込まれる。ゆるい主人公と掴み所がないが切れ者の相方、ありがちな設定です。決して嫌いなタイプの小説ではないのですが、設定の安易さと周りの人の個性は強いのに主人公のキャラが最後まで掴めなかったもどかしさで楽しめませんでした。おすすめする方　：ありがちな設定でも大丈夫な方おすすめしない方：正月に門松をたてる方（？！）５段階評価：★★★

  2007/04/10

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  「プール」 松久淳＋田中渉

  学生時代の過去と社会人となった現在が交錯する素朴で不思議なファンタジー。大切な相手だから一緒にいるとか、一緒にいるのはかけがえの無い人だから・・・って事ではなく、心が通じ合った相手というのは常に一緒にいなくても、遠く離れていても、その存在は感じあえる。また出会うべき相手とはいつか必ず出会える。「人がいなくなるってことは存在がなくなるってことじゃなくて、いないってことが存在することなんだよ」って言葉は深いです。おすすめする方　：自分は独りぼっちだと感じている方おすすめしない方：不思議な物語が苦手な方５段階評価：★★★★

  2007/04/09

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  「疾走」 重松 清

  対立する二つの地区がある町に住む主人公が、町のリゾート計画や家族の犯罪をきっかけに苦難の道を歩む物語。物語の長さといい、重さといい、主人公（世間に翻弄される男とクレバーな女）といい、東野氏の「白夜行」に似た感じの物語に思えるが、この「疾走」の方が人物の心情をより深く描いていたり、様々な事象について改めて考えなおさせられる事があり、実際には似て非なる作品。物語は本来の主人公である第三者から淡々と語られる。差別、いじめ、放火、ＤＶ、地上げ、借金、ホームレス、賭博など日本に蔓延る様々な膿が描かれている。その中で作者は「誰でも間違いを犯す。最大の問題は間違いを犯した人間自身ではなく、その人間の周囲の人間がその人間に対して間違いを犯す事だ」と伝えたかったように感じた。「今日が死刑執行日でした」、「親と子は離れて住んでいても憎しみあっていても永遠に離れられないんだよ」、「誰か一緒に生きてください」、「死ぬのは嫌だから殺してよ」という台詞が印象的。おすすめする方　：闇にのみこまれない方おすすめしない方：長編や暗い物語が苦手な方５段階評価：★★★★★

  2007/04/07

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  「通勤大学ＭＢＡ８ Ｑ＆Ａケーススタディ」グローバルタスクフォース

  通勤時の読書でMBAの学習が可能な全８巻（マネジメント、マーケティング、クリティカルシンキング、アカウンティング、コーポレートファイナンス、ヒューマンリソース、ストラテジー、ケーススタディ）からなるシリーズの最終巻。本来は１巻から７巻までで知識を得て　習熟レベルをケーススタディで確認すべきだがいきなり８巻から読んでしまった。内容はそう難しいものではないが、電卓が必要に感じる問題もあり通勤だけで読破するのは難しいかもしれない。おすすめする方　：ＭＢＡに興味のある方おすすめしない方：空いている電車通勤以外の方５段階評価：★★★★

  2007/04/06

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  「千里眼ミッドタウンタワーの迷宮」 松岡 圭祐

  最近　六本木に開業した東京ミッドタウンと中国大使館を舞台に、岬美由紀の友人が巨額の金を巡った争いに巻き込まれる。角川文庫での４作目。相変わらずパワフルな展開ですが、都心に巨大な物を運び込んだわりには大騒ぎにもならず、敵に捕まったわりにはあっさり解放されるなど突っ込み所も満載です。また、マンネリを超越したマンネリとなりつつあり、そのうち書き始めは「常春の国マリネラ」とかになりそう。（意味不明）おすすめする方　：肩の力を抜いて読める物語が好きな方おすすめしない方：マンネリが苦手な方５段階評価：★★★

  2007/04/04

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  「ビーストシェイク」 戸梶 圭太

  日本に存在しない希少価値のある動物のオークション会場に押し入り、膨大な額の現金を強奪する物語。マニアと動物が戯れるシーンなども含めて、読んでいてあまり楽しくなかったです。エロもグロもあります。おすすめする方　：エロもグロも好きな方おすすめしない方：普通の方５段階評価：★

  2007/04/02

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  「扉は閉ざされたまま」 石持 浅海

  大学の同窓会で起こした密室殺人。完璧な計画だったはずの殺人で、犯人が一人の女性と対決する。タイトルは岡嶋二人氏の作品と似ている。こちらは共に知性のある犯人と探偵役が心理戦を繰り広げる作品で、緊張感は高かったように思える。動機の弱さや隙のない探偵など気になる点はあるが、成城にある高級ペンションという設定は絶妙でラストの纏め方も心地よい。読後　「このミス」の２００５年度２位だった事を知って納得。おすすめする方　：息詰まる心理戦が好きな方おすすめしない方：完璧な探偵が苦手な方５段階評価：★★★★★

  2007/04/01

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  「東大生が書いたやさしい株の教科書」 東京大学Agents

  東大生が書いた株はじめるための入門書。ゲーム感覚で楽しめます。「やさしい」というより「やさしすぎる」教科書です。結局　前半はパラパラと斜め読みして後半の設問をやりました。設問は苦労するかと思いきやあまり難しい問題も無いまま読み終わってました。おすすめする方　：株をはじめようとしていて笑いに飢えてる方おすすめしない方：株に興味のない方５段階評価：★★

  2007/03/30

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  「風に舞いあがるビニールシート」森 絵都

  頑張る女性や拘りを持つ男性を描いた「器を探して」、「犬の散歩」、「守護神」、「鐘の音」、「ジェネレーションX」、「風に舞いあがるビニールシート」の６編からなる中編集。様々な人生を描くがどれを読んでも幸せのあり方が千差万別である事に気がつく。うん蓄も多く盛り込まれており読んでいて楽しい。伊坂幸太郎氏の「砂漠」と争って直木賞を勝ち取っただけの事はあると納得。どの作品もなにかしら共感できる部分があります。おすすめする方　：人から強くみられる女性の方おすすめしない方：特になし５段階評価：★★★★★

  2007/03/29

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  「ペイチェック」 フィリップ・Ｋ・ディック

  映画化にあたって再編集された「ペイチェック」「ナニー」「ジョンの世界」「たそがれの朝食」「小さな町」「父さんもどき」「傍観者」「自動工場」「パーキー・パットの日々」「待機員」「時間飛行士へのささやかな贈物」「まだ人間じゃない」の十二編の短編集。タイムトラベルの問題、ロボットによるトラブル、壊滅的な戦争、住み難い地球・・・「ブレードランナー」の原作者だけあって、夢のような未来ではなく、ある意味　現実的な未来を見せてくれます。特に二大政党のどちらかを選択しなければ抹殺される「傍観者」、人類が増えすぎたため十二歳以下を間引く「まだ人間じゃない」などは、起こり得る将来の悲劇として強く印象に残ります。おすすめする方　：ＳＦ好きな方おすすめしない方：未来が明るくなければ許せない方５段階評価：★★★★

  2007/03/22

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  「地下鉄に乗って」 浅田 次郎

  同窓会のあと地下鉄駅の階段を出ると昭和に戻っていた。時間を行き交ううちにあれほど嫌っていた父を理解するようになっていく物語。タイムマシンは出てこないですがタイムトラベル物で、複雑な人間関係も描かれます。映画はまだ観ていないので、どういった映像になっているか楽しみです。おすすめする方　：昭和が好きな方おすすめしない方：不自然な偶然が苦手な方５段階評価：★★★

  2007/03/18

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  「千里眼の水晶体」 松岡 圭祐

  旧日本軍が開発した高温でしか活性化しない細菌兵器。本来　日本の気候では問題ないと考えられ放置されていたが、温暖化によって日本でも大きな被害を及ぼし感染した友人を救うため千里眼の岬美由紀が奔走する。千里眼シリーズは終わったと思っていましたが新シリーズが始まったようです。時系列的には前作の後というわけでもなさそう。わかりやすすぎる伏線や今までのシリーズを読んでいれば予想される展開。新シリーズとはいえ、かなりマンネリ化しているような気がします。また旧シリーズのようにシリーズを通して適役となりそうな伏線も最後にはしっかり書いてあったり・・・。旧シリーズの映画では水野美紀が出演、ネットアンケートは釈由美子が岬美由紀のイメージとの事でしたが・・・新シリーズはどうなるのでしょうか。おすすめする方　：千里眼シリーズが好きな方おすすめしない方：マンネリの苦手な方５段階評価：★★

  2007/03/10

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  「週末起業チュートリアル」 藤井 孝一

  「週末起業」第二弾。週末起業を始めるためのノウハウをチュートリアル形式で記述。実は一作目は読んでいないのです。本当に起業するかどうかはともかく、会社のぶら下がり－マンの目を覚ましてくれる一冊。「自分の会社がつぶれたらどうしますか？」・・・特にある程度以上の年代の方はその答えで今までの生き方が問われる・・・かもしれない。（笑）おすすめする方　：ぶら下がり－マンな方おすすめしない方：のせられやすい方５段階評価：★★★★

  2007/03/09

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  「セルラー」 ラリー コーエン

  生物の教師である主人公が拉致され、犯人に壊された電話で偶然繋がった相手に助けを求める物語。映画のノベライズですが映画も観たくなりました。物語としては最初から最後までクライマックスといった感じで、テンポよくあっという間に読み終えます。おすすめする方　：テンポのいい物語が好きな方おすすめしない方：カーチェイスの苦手な方５段階評価：★★★

  2007/03/08

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  「顔のない敵」 石持 浅海

  対人地雷をテーマにした６編とエレベータという最小限の密室で起こる殺人を扱った処女作１編の７編からなる短編集。テーマが対人地雷なので、どうしても地雷の恐ろしさや愚かさを感じてしまう作品。それは作者の望むところかもしれないが。ミステリとしては少し展開が早いように感じた。おすすめする方　：対人地雷が嫌いな方おすすめしない方：短編が苦手な方５段階評価：★★★

  2007/03/07

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  「凍りのくじら」 辻村 深月

  あと僅かな時間しか残されていない母と藤子・F・不二雄好きで周りの人達に溶け込めない女子高生が人の絆を感じるＳＦ（少し不思議な）物語。人間が心の中に備えている様々な防具や武具をドラえもんの道具で表現する点や、藤子・F・不二雄がＳＦの事を”少し不思議な物語”と例えた事をまねて周りの人間を全てＳＦ（例えば　少し腐敗　等）で自分なりのアイデンティティで捉えていく点がユニーク。読み手は自分の心の中にあるドラえもんの道具を感じる事ができる。特に「カワイソメダル」（周りの人はそれをつけている人を可哀想に感じる）などは他人に対してだけでなく自分自身にも有効である故　危険な道具だったり・・・。おすすめする方　：生きるのが苦手な方おすすめしない方：ドラえもんがＳＦ（凄く不愉快）な方５段階評価：★★★★★

  2007/03/06

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  「世界の日本人ジョーク集」 早坂 隆

  日本を主に世界各国の国民をイメージしたジョーク集。単なるジョークを集めた本かと思っていたが、その背景となる日本人のイメージなどが解説されており楽しめた。また自分自身が他国の人に持っているイメージも再認識させられるとともに、偏見も結構多い事が自覚できる。おすすめする方　：ジョークのわかる方おすすめしない方：自分がジョークのネタになるのが耐えられない方５段階評価：★★★★

  2007/03/01

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  「海へ」　南木 佳士

  心の病気のため　ずっと遠出をしていなかった作家でもある医師が、海の近くに住む友人宅へ誘われて訪れる物語。作者が実際に苦悩していた頃の一冊。物語の中で同じ心の病を持つ友人の妻が、「あなたの本はずっと読んでいたが、心を病んだ後はあなたの本を読むとさらに落ち込む自分がいるので最近は読んでいない」というような手紙を主人公に書く。この一冊はまさにそれを感じる。おすすめする方　：心を病んだことがない方おすすめしない方：心を病んだことがある方５段階評価：★★

  2007/02/23

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  「銀色の翼」 佐川 光晴

  脳腫瘍手術後から頭痛に悩まされるようになった主人公が、同じく頭痛に悩む女性と結婚して生活を共にする表題作と一時の気の迷いが原因で片足を失った炭焼き職人を描いた「青いけむり」の二編からなる。この作品を読んで情けない男が主人公である物語には、どうも感情移入しやすい事に気がついた。（笑）文学色が強いが少しミステリアスな作品。おすすめする方　：情けない男が嫌いでない方おすすめしない方：他人の痛みはわかりたくもないって方５段階評価：★★★

  2007/02/18

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  「陰の季節」 横山 秀夫

  某県警本部の警務部を舞台とした警察における天下りや人事異動にまつわる短編集。表題作以外に「地の声」「黒い線」「鞄」という４編からなる。テレビドラマにもなった作品。警察官もやはり人間である故の閉鎖的な組織である事を感じる。ただし作中に出てくる天下りにたいして、作者が何の違和感も感じていないように見える点は残念。おすすめする方　：警察物が好きな方おすすめしない方：警察は善良な市民の味方だと本気で思っている方５段階評価：★★★

  2007/02/17

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  「日本難民」 吉田 知子

  「連合国軍」という名の軍隊に日本国民が滅ぼされようとする物語。主人公である主婦の視点で逃げ惑う姿が淡々と描かれる。こう書いてしまうとある意味ネタバレにもなってしまうのですが救いが無いです。物語がどう進展していくか予測不能ですが、戦争で攻め込まれた側の立場を感じさせてくれる一冊。おすすめする方　：破滅的な物語が好きな方おすすめしない方：救いの無い物語が苦手な方５段階評価：★★★

  2007/02/10

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  「使命と魂のリミット」 東野 圭吾

  亡くなった父の手術をした医師の元で研修医として働く主人公が病院を狙った犯罪に遭遇する物語。東野さんの作品は作品によって評価が真っ二つなんですがこの作品は楽しめました。少し出来すぎで奇麗事が多い気もしますが・・・。あるメーカーが起こした品質不良問題も場合によっては単なるトラブルではなく一人の人生を左右するほどの影響を及ぼすという事や報復の連鎖など考えさせられる事も多かった。おすすめする方　：作者の作品「手紙」を読んで楽しめた方おすすめしない方：ミステリーに感動は不要だという方５段階評価：★★★★

  2007/02/09

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  「したたるものにつけられて」 小林 恭二

  様々なジャンルのホラー短編集。ホラー・ＳＦ・歴史小説・伝奇等がベースになっている。地球最後の３時間を描いた「星空」という作品が秀逸。最後まで何故　地球が滅亡するのか　どうしてそれを人類が知りえたのかはわからず淡々と最後を迎える人々を描く。おすすめする方　：色々なジャンルの作品を読める方おすすめしない方：こってり系のホラーが好きな方５段階評価：★★★

  2007/02/02

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  「南京事件」 笠原 十九司

  日中戦争で日本軍が南京を攻略した際に行った虐殺・暴行・略奪などの非道な行為を内外の資料をもとに記述。戦時中に戦線不拡大派の失脚から始まった軍の暴走が発端で、物資や食料が補給されない上での進行が略奪をもたらし、その過程で虐殺・暴行が行われたという事。日本軍・中国・残留外国人の資料をもとに記述されている。南京事件には肯定派・否定派がいるが、作者は肯定派であり、本書は肯定派の一資料として考えるべき。ただし個人的には裏付ける資料精度が不足しているために虐殺の対象人数が議論されているが、問題は人数ではなくその事実があったかどうかであり、もし虐殺があったするならばそのＤＮＡは我々も受け継いでいるという事は謙虚に受け止めなければならない。おすすめする方　：戦争を軽く考えている方おすすめしない方：日中友好に興味がない方５段階評価：★★★

  2007/02/01

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  「あなたとワルツを踊りたい」 栗本 薫

  ストーカーにまとわりつかれる女性の恐怖と売り出し中のアイドルと先輩芸能人との倒錯した愛情が交錯して描かれる。この作者の作品「天国への階段」はかなり以前に読んで既に内容も記憶に無いが、登場人物の一部は被っているような感じ。特に戦慄を感じるほどの怖さも無く、びっくりするようなオチも無かった。おすすめする方　：ストーカー物が好きな方おすすめしない方：物語にオチか主題が必要な方５段階評価：★★

  2007/01/31

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  「ベトナム戦争と平和」 石川 文洋

  ベトナム戦争の発端・経緯・実態・復興などを写真つきで記録。イラク問題を改めて考える題材となる一冊。結構　ショッキングな写真もあり戦争の恐ろしさや空しさをまざまざと見せつける。おすすめする方　：戦争が日本に無関係だと思っている方おすすめしない方：ショッキングな写真が苦手な方５段階評価：★★★

  2007/01/30

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  「余は如何にして服部ヒロシとなりしか」 あせごのまん

  同級生の姉らしき女性とともに訪れた不条理な家にそまっていく表題作をはじめ、事故にあった主人公が幻想体験する「浅水瀬」、家族を亡くした混乱を描く「克美さんがいる」、高知の古い物語「あせごのまん」の４編からなるホラー短編集。不条理を描く表題作よりも、ミステリー仕立ての「克美さんがいる」が気に入りました。４編ともそれぞれジャンルが異なる作品に感じます。おすすめする方　：新しい感覚のホラーが好きな方おすすめしない方：不条理が苦手方５段階評価：★★★

  2007/01/29

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  「土の中の子供」 中村 文則

  幼児期に親や親類から虐待を受けたタクシー運転手が、自ら暴力の渦中に入って葛藤する物語。芥川賞受賞作。幼児期に虐待を受けた子供が全てこうなってしまうのかどうか・・・かなり違和感を感じて楽しめませんでした。少し期待し過ぎていたのかもしれません。おすすめする方　：芥川賞作品の好きな方おすすめしない方：幼児期に酷い虐待を受けた方５段階評価：★★

  2007/01/28

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  「ルイーゼの星」　カーレン-スーザン・フェッセル

  まもなく亡くなってしまう母とそれを見守る幼い娘の物語。ドイツの児童書。子供の視線で淡々と母親をガンで亡くす事が語られる。あとがきで大人にも読んで欲しいと書いてあったが同様に感じる。子供の目線、大人の価値観、子供の希望、大人の都合　様々なものが交錯する。おすすめする方　：子供の心を忘れた大人の方おすすめしない方：人が亡くなる話が嫌いな方５段階評価：★★★

  2007/01/23

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  「One day―死ぬまでにやりたい10のこと」 ダニエル・エーレンハフ

  あと24時間しか生きられないと宣言された主人公が、残りの人生でやるべき事をリストアップして達成しようとする物語。なんとなくハチャメチャな感じ。疾走感はあるのだが・・・特に楽しいというわけでもなかった。おすすめする方　：ハチャメチャ好きな方おすすめしない方：普通の本が好きな方５段階評価：★

  2007/01/22

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  「ニッポニアニッポン」 阿部 和重

  心を闇に蝕まれた青年が少女と出会いともに旅をする。手を伸ばせばそこに闇から抜け出す光があるかもしれないのにそれすら気付かない少年。主題のニッポニアニッポンであるトキは日本という国でもあり、少年自身でもある。救いがないところが現実的で良い。おすすめする方　：心に闇を持つ方おすすめしない方：心に闇を持たない方５段階評価：★★★

  2007/01/20

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  「水の迷宮」 石持 浅海

  三年前に亡くなった水族館職員の命日に水族館の営業を妨害する脅迫メールがあり、殺人事件が起こる。犯人の目的は何かを探る物語。ミステリーとして本の表紙に「胸を打つ感動と美しい謎」とコピーを書いている事が致命的な気がする。また色々な人物の登場させ方も不自然さがあり、早めに結末が読めてしまったので楽しめなかった。おすすめする方　：水族館好きな方おすすめしない方：ミステリーを楽しみたい方５段階評価：★★

  2007/01/19

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  「ナラタージュ」 島本 理生

  先生に片思い（？）している学生が主人公の物語。すごくアンバランスな作品だと感じた。学生時代に読めばもっと共感できたのだろうか？（おやぢ故か？！）ピュアな思い・・・のように描かれてはいるが、相手である先生はどう考えても打算のかたまり。登場人物は前半は良い人で後半は良い印象を受けないといった事からも作品を通して違和感を感じた。おすすめする方　：学生な方おすすめしない方：おやぢな方５段階評価：★★

  2007/01/17

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  「ボトルネック」 米澤 穂信

  恋人が亡くなった場所に来た主人公が、眩暈に襲われて何故か「自分が生まれなかった世界」（パラレルワールド？）に迷い込む物語。アイデアとしては面白かったが展開が速すぎたような気がします。自分が別の世界へ行って、そこで本来　生まれなかった姉や亡くなったはずの兄や恋人に会ったりするとお互いにもっとパニックになるはずですが、登場人物が割と素直に受け入れてしまうあたりに不自然な部分も感じます。最後の一行は一瞬　意味不明だったのですが、最初のほうを読み返して理解できました。色々な意見はあると思いますが自分としてはネガティブな方を選択したと感じました。まぁまぁ楽しめたので、この作者の別の作品も読むつもりです。おすすめする方　：別の世界へ行ってみたいと思った事がある方おすすめしない方：パラレルワールドが嫌いな（？）方５段階評価：★★★★

  2007/01/16

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  「ハミザベス」 栗田 有起

  母娘二人で住んでいた主人公の娘が、亡くなったと思っていた父からマンションを相続する事をきっかけに、人生の次のステップに進んでいく表題作を含め中篇２作。主人公はいろいろと苦労はあるが考え方がすごくポジティブなため、おそらく女性が読めば「また、明日からがんばろう！」という気にしてくれるのではないかと思えるような内容だと思います。おすすめする方　：若い（？）女性の方おすすめしない方：おじさんな方（？）５段階評価：★★★

  2007/01/15

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  「福知山線5418M 一両目の真実」 吉田 恭一

  ２００５年４月にＪＲ西日本福知山線の塚口駅と尼崎駅で発生した脱線事故。その一両目に乗っていて事故に巻き込まれて、奇跡的に助かった作者が見た事故や救出作業やそれ以後を綴った一冊。当時　新幹線の車内から「あの辺りだろうか」と見た事を思い出す。この本にも書かれていたが、関西の別の私鉄（阪急など）や新幹線では、ホームで人が並んでいる前にドアがきて当たり前だが、ＪＲ在来線では少しずれる事が多い。その理由がブレーキをかける回数によるものとの事。他の私鉄や新幹線で出来る事がＪＲ在来線では今もってできない。また、余裕を持ったダイヤに改正したはずの現在でも、在来線の遅れは数多く発生し続けているし、遅れても特にアナウンスがない事もある。そういった旧国鉄時代の傲慢さが改まらない限り、また同じ様な災害は起こり得るのではないか。この作者も同様の事を書いているが、運転手・偶然乗車していながら現場を立ち去った社員と指示した上司・事故後にボーリング大会を開催した近隣の社員など　確かにそれぞれミスや落ち度はあるのかもしれないが、そこだけをみて個人に責任を押し付ける事は避けなければならない。乗務員も人間である限りはミスや誤認は起こりうる、それを是正するハード／ソフト両面の整備が他人の命を預かる会社では必須のはず。おすすめする方　：ＪＲ西日本の方おすすめしない方：特になし５段階評価：★★★★

  2007/01/13

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  「闇からの声」 黒岩 重吾

  ２年間の無言電話の表題作を含む男女の物語を描いた８つの短篇集。タイトルからもっと違う内容を予想していましたが、少しドロドロした老獪な男女の物語でした。おすすめする方　：ドロドロした一時の恋愛が好きな方おすすめしない方：タイトルからもっと違う内容を想像する方５段階評価：★★

  2007/01/12

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  「眠りの牢獄」 浦賀 和宏

  主人公とともに階段から落とされて昏睡した女性の兄に、現場にいた3人がシェルターに閉じ込められ、真相を突き止める。二つの物語が並列に絡み合う不思議な作品。現実なのか物語なのか幻想なのかわからないうちに物語は進んでいきます。どれが殺人でどれが殺人でないのか、誰が犯人で誰が被害者なのか・・・。まだこの作者の作品が二つ目でどういう作風なのかわかっておらず、油断してました。（としか言いようがないです。）おすすめする方　：切れ味のあるミステリー好きな方おすすめしない方：油断しない方５段階評価：★★★★

  2007/01/11

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  「カオスコープ」 山田 正紀

  記憶障害の主人公が自宅で死体と遭遇し、ポケットのナイフや殺人の光景を覚えていることに戸惑う。また、別の殺人事件を追う刑事が自動車事故によって主人公の事を知り、真相を探る物語。物語は時間を無視して流れます。読み進むうちにその流れの違和感からなんとなく核心に近づいていく感じがするのですが、記憶障害の主人公の記述が拡散してなかなか真相に近づけません。おすすめする方　：「メメント」など好きな方おすすめしない方：意味不明に感じる物語が苦手な方５段階評価：★★★★

  2007/01/09

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  「記憶の果て」 浦賀 和宏

  自殺した父親のパソコンに現れる「誰か」と主人公が交流し、友人達と共にその「誰か」を突き止めていくうち、父親の自殺や自分の出生を知っていくという物語。ミステリーと思い読み始めたが違っていました。人間の感情や人工知能が主題となっており、映画「ブレードランナー」、ジョン・ケージ作曲の「４分３３秒」などがモチーフとなって作品中にも出てきます。この作品自体は纏まりがないような感じで、ある意味「４分３３秒」的なのですが、ミステリーやＳＦの枠組みを超えた作風に作者の可能性を感じます。おすすめする方　：ブレードランナーや２００１年宇宙の旅を観た方おすすめしない方：４分３３秒の嫌いな方５段階評価：★★★★

  2007/01/05

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  「神戸大学院生リンチ殺人事件」 黒木 昭雄

  神戸で2002年3月に起こった大学院生に対する暴力団の暴行殺人事件を元に、本来は最悪の結果を未然に防げたのではないかと思える警察の不手際と遺族による賠償請求訴訟で警察を相手に原告側が勝訴した実際の記録。警察の縄張り争い、初動捜査の不手際、暴力団の癒着、情報操作など警察の問題に焦点があてられ、殺人を防ぐために警察が犯したミス（確信的なミスもあり）を整理し列挙されている。警察内部の問題もさることながら、桶川ストーカー殺人なども含めて犯罪を未然に防ぐためにはどういった事が必要かを考えさせられる。おすすめする方　：日本は安全な国って思っている方おすすめしない方：人の苦しみを楽しめる方５段階評価：★★★★

  2007/01/04

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  「国家の品格」 藤原 正彦

  多くの問題を抱えた日本で、今　必要なものは「品格」であるという話。「すべての日本人に誇りと自信を与える」という紹介や読んだ方のレビューを見るうちに「懐古主義者の戯言か」という先入観を持った。確かに日本古来の文化・精神・自然・情緒等を大切にすべきという点だけに注目するとそう見えてしまうのだが、主題はそちらではなく、日本が抱える社会の問題に対しては対処療法より原因療法が必要であり、多くの問題の原因が国として人として品格を欠如している事に他ならないという事。例えばいじめに対しては「いじめた人間を謹慎させる」という対処療法より、「いじめが恥である」という教育が必要であるというような感じである。読み進めるうちにハインリッヒの法則（１つの大きな事故の陰には２９の小さな事故があり、その陰には３００の事故にならないミスがあるという法則）を思い出した。つまり社会の大きな悪（公金横領・いじめ・脱税・談合・高齢者や児童への虐待　等々）の陰には小さな悪があり、その陰にはあまり認識されない些細な悪がある。例えば集団での信号無視・吸殻のポイ捨て等　多くの人がやっている些細な悪を発端として　品格の無い恥を感じない人間となって　大きな悪に発展する・・・大きな悪を防ぐためには　品格を持って些細な悪から潰す必要があるといった感じだろうか。また早期の英語教育や経済教育についても疑問を投げかけており、まずは国語を勉強して品格を持った人格形成に役立つ勉強をすべきであるという事らしい。筆者の言いたい事は納得できる。ただし、主義主張が違っても多数決で議決権を得たいがために集団になろうとする政治家や公金は自分達のものであるといった感覚の官僚や公務員の問題、赤信号皆で渡れば怖くないという多くの大人を見る限りは前途多難な気がする。おすすめする方　：良い社会にしたいと思う方おすすめしない方：周りが汚い事をしてるんだから自分もしないと損って方５段階評価：★★★★

  2006/12/29

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  「遺品整理屋は見た!」 吉田 太一

  「遺品整理」を生業とする著者が経験した様々な出来事を綴った一冊。行方不明の娘の死、独居老人の孤独な死、自殺や殺人など、様々な死の現場で遺品整理や現場清掃などを経験した内容を纏めた物。部屋中にアダルトビデオがあったり、借用書の束が出てきたり、些細な遺産相続争いがあったり、故人には計り知れない死後のトラブルがある。また生前から遺品整理の予約を申し込む一人暮らしの老人もいるとの事。日本が抱えている様々な問題が浮き彫りにされる。また、自殺現場の後片付けは遺族がする事や自殺のあった部屋の損害賠償を遺族に請求される場合がある等　知らない事も多かった。かなり汚くてグロい場面も出るので食前食後には読まない事をおすすめします。（当然　食事中もです）ちなみにこの本の元になったブログはこちら→ http://blog.goo.ne.jp/keepers_realおすすめする方　：自殺を考えた事がある方おすすめしない方：想像力があり過ぎる方５段階評価：★★★★

  2006/12/28

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