☆MRSA vsエビデンス☆
「MRSAは治療不能って言われました」「きちんとしたDr.ですね」「運動会までに治してください」「オゼックス+フシジンレオ処方します」「治りました」 運動会の練習で顔・首・腋窩・前胸部が熱傷状態になった5才の女の子。 3日前に総合病院でセフゾン(CFDN)内服を処方されましたが、本日MRSAが出たので治療不能と言われ、スタデルム軟膏しか出なかったので、亀クリに来ました。 持参の皮膚培養検査結果:MRSA(2+):ABPC(R), MPIPC(R), CEZ(R), CTM(R), CPR(R), CZOP(R), CDTR(R), CFDN(R), FMOX(R), IPM(R), MEPM(R), A/C(R), A/S(R), ABK(I), GM(R), EM(R), CLDM(R), MINO(S), LVFX(S), VCM(S), TEIC(S), FOM(R), LZD(S) 顔~首~前胸部が熱傷状態で、鼻粘膜および咽頭扁桃の腫脹充血を認めましたので、MRSAに対する内服+軟膏治療が必要な状態でした。 軟膏は、トビヒにはフシジンレオかアクロマイシン(orテラマイシン)。ダメだったらイソジン。これは簡単です。 問題は内服です。感受性検査では、テトラサイクリン系かニューキノロン系しか効きません。 テトラサイクリンは8才未満では歯芽沈着(歯が黄色くなる恐れ)がありますので、使用し難いです(平気で使う開業医もある)。 ニューキノロン系(小児に使えるのはオゼックスのみ)は中耳炎と肺炎しか保険が通りません。 日常の診療で、医学と医療の常識をきちんと守ると「治療不能」と言わざるを得ない場面には、時々遭遇します。 毒多ぁの苦手な言葉は、「エビデンス」「コンプライアンス」「プロトコール」「マニュアル」。かな?。恐い恐い。