英国旅行記【スケアリー・ホテル】
イギリスへ来て12日目宿泊先を移動することになったそれまでは、アールズ・コートという駅の近くにある知人のフラットを格安で又貸しさせてもらっていたその知人は、ちょうど出張で日本に行っていたので、留守中だけ住まわせてもらうことになっていたのだしかし、知人がロンドンに戻ってくることになったので、部屋を明け渡すことになった移動先のホテルを探してくれたのは、中学の同級生のサルちゃんであるアールズ・コートのフラットも、彼女が手配してくれたのだイギリス滞在中の生活を全面的にバックアップしてくれた、心強い人物である(ちなみに最近ブログにコメントを書いてくれている)当時サルちゃんは、イギリス人の夫と二人で、フィンズベリー・パーク駅の近くのフラットに住んでいたそのすぐ近くに、格安のホテルを見つけてくれたのだなんと1泊20ポンド、17日間で340ポンドという安さであるロンドンで宿を探すと、安くても40ポンドぐらいはするしかも安い部屋は、本当に泊まるだけの粗末なもので、トイレもシャワーも共同だったりするしかしサルちゃんが見つけた部屋は、20ポンドという破格の安さにもかかわらず、トイレにシャワーにテレビまで付いていたこれを逃す手はないと思い、私は二つ返事で飛びついたサルちゃんに案内されて、さっそくホテルへ向かってみた外観は少々くたびれた感じがするが、なにしろ20ポンドであるちょっとぐらい汚くても構わないさ~とサルちゃんに言い、意気揚々とフロント係(?)のオバサマに会ったフロント兼ベッドメイク兼食事係のオバサマは、なんていうか、とにかく怪しい雰囲気の人だった年齢は60歳代ぐらいに見えたが、やたらと化粧が濃く、爪には真っ赤なマニキュアを塗っていたが半分ぐらい剥げていたので、みすぼらしさを醸し出していたおそらく移民だったのだろう(スペイン系か?)他国のなまりが入ったような聞き取りづらい英語を話すので、何を言っているのかサッパリわからず交渉はほとんどサルちゃんにお任せ状態だった部屋を見せてもらうと、決してきれいとは言えないが値段のわりには良かったので、帰国まで泊まることにしたしかし、このホテルには、ちょっとだけ落とし穴があったまず、初日にシャワーを使おうとしたら、生ぬるい水は出るが、お湯が出ないのだ(汗)いちおう水よりは温かいが、とてもシャワーを浴びられるような温度ではないさっそくサルちゃんに苦情の言い方を教えてもらって、例のオバサマにクレームをつけると、次の日からは、なんとかお湯が出るようになった(それでもちょっと生ぬるかった)さらに、サルちゃん宅で夕食をいただいて深夜にホテルに戻ると、入口は電気がついているが、2階へ上がる階段には電気がないのだ(汗)2階へ上がる時は、手探りで壁づたいに階段を上らないと部屋にたどりつけないそれがまた、とんでもなく怖いなにしろ真っ暗なのだ翌日サルちゃんに電気のことを話すと、懐中電灯を貸してくれた何日目かに懐中電灯で足元を照らしつつ階段を上っていくと、上りきったところで、懐中電灯の丸い光の中に突然人の足が浮かび上がったのだ(滝汗)恐怖心がピークに達した私は、驚きのあまり「ぅあ゛」と声にならない声を発し、階段から落ちそうになったしかし、暗闇から伸びた誰かの手が私の腕をつかんでくれたので(これも怖かった…)落ちるのは免れたようやく最上段にたどりつき、恐怖心を抑えつつ手(と足)の主を見ると、隣の部屋に泊まっている人だったちょうど私が階段を上りきる頃、その隣人は降りようとして最上段に立っていたのだ私は「ささささんきゅう」と妙な英語で礼を言い、部屋に戻ったその日から、私はこのホテルを「スケアリー・ホテル」と呼ぶことにしたところで、帰国寸前にわかったのだが、スケアリー・ホテルの階段には、ちゃんと電気のスイッチが付いていたのだったしかも、階下と階上の両方に付いていた直径5センチぐらいの白くて丸いスイッチを、私は非常ベルのスイッチだと思い込んでいて押さなかったのだ(苦笑)別の宿泊者が、そのスイッチを押しているのを見かけて発覚したのだ(ただし、スイッチを押してから30秒ぐらいで自動的に切れるようになっている)しかし、私を助けてくれたあの隣人は、なぜ電気をつけずに階段を降りようとしていたのか…私と同じく、非常ベルのスイッチだと勘違いしていたのだろうかいまだに謎である