やさしい日本経済の話
あけましておめでとうございます。2008年最初の日記は、この年末年始にかけて読んだ本の感想から・・・。経済学者:大槻久志 著「やさしい日本経済の話」毎日の暮らしが一向に楽にならない。給料が上がらない。企業は利益をどんどん上げているのに景気はよくならない。そんな話をしているときに、勧められたのがこの本です。日本婦人団体連合会の機関紙「婦人通信」に連載されたものを本にまとめたものということで、経済の成り立ち、ヨーロッパ、アメリカと日本の関係等を女性にも分かりやすい表現で、とても読みやすくなっています。数日で読めてしまいました。資本の成り立ち、日本経済の成り立ち、世界経済との関わり、アメリカ経済との関わり、これからどうすべきかという内容です。日本政府が馬鹿なくらいアメリカ追従で、国民よりもアメリカや大企業のために財政支出していることがわかります。これからの日本を一人ひとりが考えていかなければならないと思います。また、昨年見た映画「sicko」とも頭の中ではダブりながら読めました。印象に残った箇所を覚えとして下記に記します。・資本主義の目的はお金儲けである。お金儲けのために企業は生産し、生産するためにやむを得ず人を雇う。雇ってもらった人は企業からお金を貰い、それで生産物を買って消費する。生産と消費の根源、全てのスタートはお金儲けである。人が消費して景気がよくなるということは、企業の利益が増えることである。企業は利益を増やすために、従業員をリストラとか何とか言ってクビにする。(中略)会社が儲かるということと、従業員の生活は関係ない。(中略)資本主義はこのようにお金儲けから全てスタートするから、そのためには従業員(労働者)をクビにする。クビにされたらもちろん消費などできない。資本主義は人が消費するため、生きていくための経済ではないのである。・人間が生産するのは生活のためだから、生活に十分なものを作れるなら、それ以上働く必要はない。フルに働いたら2割も作り過ぎたというのなら、今まで1日8時間働いたのを2割減らして6時間半働けばよいはずである。現にドイツやフランスはどんどん労働時間を減らしている。ところがそうしないのが資本主義経済、(中略)生きるために働いて物を生産するのではない。会社が利益を上げるために働き、物を生産するのである。会社は何が何でも沢山生産し、それをどう売るか、という時代に突入したのである。(中略)誰に何を売るか。これから以後日本は狂って来たのである。・政府に支出を増やせるにはどうしたらよいか。生産しているのはいうまでもなく企業だが、その企業が政府を握ればよい。(中略)その方法は簡単で議員の選挙資金を企業が出せばよい。買収である。企業が政治家に政治資金を出せば立派な賄賂であるが、日本では政治資金規正法を作って賄賂を合法化してある。(中略)企業は議員を買収し、その金が政党の活動を支え、選挙の費用をまかなう。その金のおおもとは財政支出である。企業は売れ残りが出ないように政府を握り、財政支出を企業がうけとり、その何割かが政治家と地方のボス・後援会の手に流れてゆく。それでも足りないと称して財政から政党助成金を支出させる。・日本のお手本はEU、ヨーロッパである。EUの貿易依存度はたいへん高く、ドイツやフランスのような大国で2~30%以上、オランダのような小さな国だと50%以上である。そしてアメリカ向けの輸出は少ない。EU諸国の間で売ったり買ったりして、市場を広げ生産を拡大している。これが共同市場である。通貨も中央銀行も一つにした。東アジア諸国の発展の道は正しくこれである。だが、そうなるのを一番恐れるのがアメリカで、東アジアがまとまるのをとにかく妨害している。やさしい日本経済の話