建築で最も戸惑うのが色の選定です。
サンプルを見慣れているプロなら間違いないかというと、そんなことはありません。
ただ、色の好みは別にして、色の組み合わせ、配色がある程度意識できていれば
一つ一つはいい色なのに、床、壁、天井と仕上がったら、イメージが違う。。。
というようなことは少なくなるのでは無いでしょうか。
配色は建築だけでなく、衣類などでも、ある程度注意していれば失敗しないものです。
例えば
よくカラーテストでこんなパターンの説明をしていますが、普段の説明よりもうちょっと
踏み込んで解説してみましょう。
ご存知のように右と左の四角形の大きさは白、緑、赤茶とも左右全て同じ大きさです。
このへんのところは色の性格で広がるか、縮むかで大きさが違ってみえるわけですね。
でも、もう一つの配色はどうでしょう?
よく言われるのは、赤と緑は反対色で対比がきつすぎてギラギラした感じになる。
なるほど、左のパターンであればそう感じますよね。でも右はどう感じるでしょうか?
俗に左を野暮ったいと表現するなら、右は気にはならない程度ではないでしょうか?
色彩のコーディネートというのはこういうことなのです。
同じ色使いをしても、ちょっとした工夫でセンスよく見えるものなのです。
同じ色を使っても、嫌味にならない組み合わせを心がければいいのです。
使ってはいけない色と色の組み合わせなど無いのです。
男性のネクタイなどがこの例に挙げられます。
スーツやシャツの色と何か1色だけでも合わせると、なじみますよ・・・・
この一言でネクタイを選んではいませんか?
肝心なネクタイの配色を忘れてしまっているのですよ。
まず、気に入った配色を選んでから、それから自分の持っているスーツなどと
同系色の色が入っているかどうかを確認すれば、もっとハイセンスなネクタイを
身につけつことが出来ると思います。
旦那さんや彼にプレゼントするとき、ネクタイは難しいから・・・・と、思わないで
まずあなたの好きなネクタイを選んで、それから、上着やワイシャツの配色を思い出して
イメージしてみれば、結構うまくいくと思います。
それに、「あのスーツをイメージして買ったんだけど・・どうかな・・・」
の、一言でも添えてあげれば、男は単純だから「へえ、そんなこと覚えてたんだ・・」
などと、あなたの別な一面を勝手に妄想して、、、、、妄想族になること受けあいます。
余計な話が長すぎました。
次にクロスの配色のバランスを考えましょう。
1が壁、2が天井、3が床と思ってください。
よく、天井は周りよりも明るくすると高く見えて部屋が広く見えるんです。とか言う人がいる。
この考えは間違ってはいないのですが、私には納得できない。
ヨーロッパの教会の大聖堂のような空間であれば、天井の存在も気にならないから
目いっぱい明るくしても問題はないと思うのですが、日本の住宅のように
10帖や20帖の広さの部屋で、天井だけを明るくしても、逆に頭がスースーするような
なんか、抜けていくような感じがして落ち着きません。
中の絵は、壁と天井を同じ色にした場合です。
このほうが、色のコントラストがなくて広がっているように感じます。
右は、もっと天井のトーンを壁よりも落とした場合です。
どうです?視線は上に向きますか?
左端は天井に目が行き、右端は壁に目が集中しませんか?
つまり、玄関ホールや廊下まわりで、広がりを演出したり、吹き抜けを設けた場合
などの空間は、天井を明るくすることにより、より、高く見えるように感じさせます。
逆に、書斎や子供の勉強部屋など、視線を集中させたい部屋は
天井を壁と同色にするか、少しトーンを落とす手法がより良い効果が得られると
私は思っています。
ですから、リビングやキッチンなどを、自由に表現したい色の空間と考えれば
家の配色のバランスは、おのずと決まってくるのではないでしょうか。
広がりを持つホール的な空間の色。
落ち着いた雰囲気で思考力を高める空間の色。
来客や、自分たちの空間を楽しく演出する部屋の配色。
このバランスを大まかに決めておけば、あれもこれも、とクロスのサンプル帳を
引っ掻き回すことはなくなると思います。
それと最後に、
サンプル帳はカラーサンプルの回りが白になっていると、どうしてもサンプル色が
濃く見えてしまいます。チラシなどなんでもいいですから、サンプルの覗き窓を開けて
そのサンプルの上においてみましょう。濃い色の紙を置くだけでもいいです。
雰囲気が違って見えてきます。
エコなどの健康空間の話はまた別の機会にします。