ELFIN'S NOTE

[調布市の生物] カテゴリの記事

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  Mogera imaizumii

  アズマモグラの学名です。本種は、以前は近縁のコウベモクラと亜種関係にあると考えられており、Mogera wogura woguraと命名されていました。しかし、分類の研究が進んで現在は別種として扱われています。モグラ属のむ学名であるMogeraは、Moguraの聞き間違いによる誤記載であるという説があります。ちなみにコウベモグラの種小名であるwoguraは近畿から九州にかけての地域でモグラを「オグラ」と呼んでいた方言に由来したものと言われています。ゴリラと同じように、「Mogura mogura」とでも記載されていれば覚えやすかったのに・・・・。動物命名規約上、一度ついてしまった学名は、生半可なことでは変えることができないため、もうこのまま一生使っていかざるを得ません。学名と和名がしっくりこない例はいくらでもあり、例えば鳥類だとアカヒゲ（Erithacus komadori）とコマドリ（Erithacus akahige）の和名と学名がそれぞれ入れ違っていたり、イチョウ（銀杏）の属名が、本来はGinkyoであるべきなのに誤植でGinkgoとなっていたりと意外と多い。そもそもイチョウなんかは、植物命名規則によれば、誤植ならば訂正して正しいつづりに直すべきなのですが、なぜかいまだにこのままという、少しかわいそうな種に思えてきます。アズマモグラに話を戻すと、概ね東日本に分布するため「東」と名付けられていますが、一部の孤立個体群は西日本に分布しています。手の力がとても強く、爪も立派で、捕虫網程度は簡単に破いてしまいます。おまけに一度、頭と手を地面に突っ込まれると、そこから引っ張り出すのはとても大変です。実物を見る機会は多くはないですが、モグラ塚や坑道はあちらこちらで見ることができます。毛並みはビロード状で土が付きにくく、触り心地は結構良いです。以前は食虫目と呼ばれていたように、ミミズや昆虫を主な餌にしています。たまに、植物の種子なども食べることがありますが、昔の漫画で出てくるように畑でニンジンを食べることは無いと思います。アズマモグラ（モグラ目モグラ科）2011年7月23日東京都調布市「かに山」横から見たところ上から見たところ、何気にしっぽがかわいいと思う

  Nov 23, 2015

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  プラナリア

  誰もがどこかで一度くらいは聞いたことがある名前。２つに切ると２匹、４つに切ると４匹というように、驚異の再生能力で知られる生き物。それが、「プラナリア」です。扁形動物門ウズムシ綱三岐腸目に属する動物の総称で、日本国内では「ナミウズムシ」に代表されます。ナミウズムシは日本の在来種で、水がきれいで水温が低い渓流域などに生息しており、水質階級Ｉ（きれいな水）の指標種にもされています。調布市を流れる野川や多摩川でも、石をひっくり返してみると、このプラナリアの仲間を捕まえることができます。しかし、このプラナリア、実はアメリカ産の外来種。その名も「アメリカツノウズムシ」といいます。ナミウズムシが河川上流域に生息していることに対し、アメリカナミウズムシは富栄養で水温も高い河川下流域に生息しています。両種の区別点は頭部の形態で、黒目と白目の割合が半々であればナミウズムシ、１：５くらいであればアメリカツノウズムシです。また、科名にもなっている頭部の三角形の張り出しが、アメリカツノウズムシでは反り返り、「角」のように見える点も特徴です。拡大すれば、違いが分かるものの、パッと見た目は区別しにくく、それでいて両種の指標する水環境が大きく異なっていることは、特に子供たちを対象に生物学的水質評価の学習体験を行う上でも大きな問題になります。現在、外来種は様々な問題を引き起こしていますが、こんなところでも影響が出てくるとは・・・、本当に困ったものです。アメリカツノウズムシ（三岐腸目サンカクアタマウズムシ科）

  Nov 10, 2015

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  粘菌

  粘菌（ねんきん）。その名のとおり、ねばねばしたアメーバ状の生き物で、昔は菌類と思われていたため、この名が付きました。最近の遺伝子レベルの研究では、菌類よりも原生生物のアメーバに近い仲間とされており、実際の様子とも合致します。私が高校生の頃には、まだ菌類というか変形菌植物という分類群として教えられましたが、この仲間、「変形体」と呼ばれる栄養体が湿った朽ち木や落ち葉の上をアメーバのように移動しつつ微生物などを摂食し、ある時期が来ると、カビの様な小型の子実体を形成し、胞子により繁殖するといった動物と植物の両方の性質を持った特殊な生き物です。子実体から胞子が埃の様に飛び散ることから「ホコリカビ」とも呼ばれます。ここに紹介するムラサキホコリ（昔の図鑑などではムラサキホコリカビ）も、この粘菌の一種です。調布市内では、カニ山などの湿った雑木林の林床などで見かけることがありますが、変形体はあまり気づかず、子実体ができて初めて存在に気づくこともままあります。本種の成熟した子実体は薄い紫褐色、高さ5～20mm程度で、細長くなるのが特徴。柄は細い針金みたいに黒光りします。この仲間、サイズは小さいですが、様々な色や形の子実体を付け、拡大すると、きれいで面白いものも多いため、注意して探してみてはいかがでしょうか？ムラサキホコリ（ムラサキホコリ目ムラサキホコリ科）

  Nov 9, 2015

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  摩耶蘭

  摩耶蘭。「マヤラン」と読みます。本種が初めて見つかった、兵庫県神戸市にある「摩耶山」にちなんでつけられました。その名のとおりラン科の植物で、シュンランなどが含まれるシンビジウム（Cymbidium）の仲間です。調布市内でも、知っていれば、比較的普通に見ることができる花ですが、この「知っている」という点が重要かもしれません。というのも、花自体は白色で、がく片の中央部には赤い筋があったりしておとなしい美しさがあるのですが、とにかく地味かつこじんまりとしていて、目につきにくい。草丈も大きなものでは30cmに達する個体もあるようですが、普通にみられるものはせいぜい10数センチどまり。おまけに、光合成のために欠かせない緑色をした「葉」を持っていないため、茎だけあってもまず気づかない。実は、このマヤラン、いわゆる「腐生植物」と呼ばれるものの一種で、菌類に寄生して生活する「菌従属栄養植物」であるため、光合成を行う必要がなく、緑の葉も必要ないというわけです。植物＝緑の葉と思いこんでいると、生えていても目に入らず、気づかないといったことになる可能性があります。ちなみに菌類に依存しているため、植物だけを移植しても育たず枯れてしまうため、見つけても採らないでそっとしておいてあげてください。主に常緑広葉樹林や古い二次林に生えており、調布市内でもネジバナに次いで多くみられる蘭だと思います。花期は7～10月ですが、下の写真は数年前の12月に撮影したものであり、生き物にはどんなものにもあまのじゃくなイレギュラーな個体があるということがわかります。マヤラン（クサスギカズラ目ラン科）

  Nov 8, 2015

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  芸者

  東京都調布市、都立神代植物公園の近くにある「22世紀の都市の森」と呼ばれる緑地。ここには、様々な生き物を見ることができます。学名をGeisha distinctissimaというアオバハゴロモもその一つ。本種は、翡翠色の前翅とそれを縁取る紅色が特徴のカメムシ目の一種。美しい外見を「芸者」に見立てて、そのまま属名として名づけられたといいます。年一化性で、卵で越冬し、５月頃に孵化した幼虫は夏後半に羽化し、その後成虫は、秋まで見ることができます。なお、見た目は美しいですが、大量に発生して、園芸作物の害虫になっていることもあります。アオバハゴロモ

  Nov 7, 2015

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  背泳ぎ

  今日もまだ福島県に滞在中。天気も良く、仕事も順調。少し季節外れとなりましたが、今年の夏に東京都調布市で見られた生き物の紹介をしていこうと思います。まずはこれ。ホウネンエビ（無甲目ホウネンエビ科）漢字では「豊年蝦」、英語では「fairy shrimp」と表記される小型の甲殻類ですが、実際には普通のエビよりミジンコに近い仲間です。本種が大発生する年は豊年になるという言い伝えに由来し、名づけられました。水温の高い水田等に生息し、日本国内では本州～九州、国外ではインド、中国、朝鮮半島に分布しています。体長15～25mm、体は細長い円筒形で甲殻を欠きます。成体は背中を下にして、11対の脚で背泳ぎしながら、水中の植物プランクトンを鰓脚で集めて食べます。産まれた卵は、乾燥、高温、低温に強く、次の年に水田に水が張られるまで耐えることができます。

  Nov 5, 2015

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