|
テーマ:本日の1冊(3693)
カテゴリ:本
最近、とみに新書をよく読んでいる。
特に理由はないのだが、読みたいなあと思う本がたまたま新書なのだ。 今読んでいるのは、白川静の「漢字―生い立ちと背景―」だ。 1970年発行と、古い本だし、言葉もカタイし、すらすら読めるってもんでもないのだが、なかなか興味深い。 この白川静という方、数年前からかなり気になっていたのだが、 先月、2冊続けて読んだ本にこの人の名前が出てきた。 これは何か読んでみなけりゃなあ、ということで、 この人の著作で最も廉価な岩波新書をセレクトした。 内容は、タイトルのまんまである。 甲骨文字とか金文とか、大昔の中国の遺跡から発掘されたものに残された 漢字を元に、元々の意味を探るというやつ。 漢字の元の意味を知るということは、その時代がどういう時代だったか ということを如実に語るものなのだ。 そして、大昔の中国(殷とか)は、なんかものすごいことになってたんだなあと ひしひしと感じてしまった。 例えば「道」という字。 なんで「首」って文字が入っているかというと、昔は敵国の大将とかの首を切って、 魔除けとして提灯状態でぶらさげて歩いてたから。 さらに。領地と外の境界は、警戒しなきゃいけない(疫病とかが入ってくる)ので、 そういう首を埋めてたらしい。 例えば「京」という字。 これは「みやこ」の意味なのだが、楼門を示している。 そしてこの門とは、異族や敵の屍を集めて築くものだったらしい。 例えば「民」という字。 これは両目を突かれて盲目にされた奴隷のこと。 敵国人が奴隷にされると逃亡を防ぐためになされたことで、こういう状態で 王に仕えていたことが起源らしい。 もし万が一、タイムスリップとかしちゃって、この時代に行ったら、 そりゃもう壮絶な景色が広がっていること間違いなし、である。 上にあげた漢字は、意味に変遷はあるけど、今でも使われているものだ。 しかし、この本を読むと、もう普通にはお目にかからない、 失われた漢字ってやつがすごく多いんだなということに気づく。 今は、その漢字が示すようなモノがなくなってたり、別の漢字に吸収されたり、 なくなる原因はさまざまだ。 ちょっと、妖怪に似ているような気もする。 白川静氏には、「字統」「字訓」「字通」という漢和辞典3部作がある。 ものすごく欲しいのだけど、高いのだ。 新訂「字統」で、18000円なり。ううーむ。 ●白川静(しらかわしずか) 「漢字―生い立ちと背景―」 1970年発行 岩波新書 740円 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年01月24日 01時32分44秒
コメント(0) | コメントを書く
[本] カテゴリの最新記事
|