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2005年07月06日
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テーマ:本日の1冊(3693)
カテゴリ:
レーモン・クノーの「文体練習(exercices de style)」という本を読んでみた。
クノーという名前は知らなくても、映画「地下鉄のザジ」ならご存知だろうか。
この映画の原作を書いたのがレーモン・クノー。
おフランスのおじさんだ。
「文体練習」は、どうってことないある短いエピソードについての話である。
内容はかなり、お粗末である。
しかし、それを99通りもの書き方で著してみたらどうなるか。
というのがこの本のメインテーマなのだ。

そのどうでもいいエピソードはこんな話である。
『ある人がバスの中で見かけた妙に首の長い男。そいつが周りの人に足を踏んだと
いちゃもんをつける。2時間後、別の場所でまたその首長男を見かける。彼は
友達からコートのボタンの位置のことでアドバイスを受けていた。』
これだけ。
コレだけである。
少々要約してみたが、だいたいこんなもんである。

ほんとにどーでもいい内容のこの話を、あれこれと手を変え品を変え、
様々な文体で表現しているのだ。
例えば、語り手を変えてみたり、やたら専門用語を並べて「哲学風」にしてみたり、
ホメロス調で荘厳なノリでやってみたり、罵倒語をふんだんに盛り込んだり。
「前から後ろから」なんていうフレーズを単語の間にやたらめったら入れてみたり
(これだけでちょっとエロ~い文章になるから不思議)。
果ては、特定のルールで語順や言葉の位置を組み替えて、まったくワケワカな
文章にしてみたり。

つまり。
内容が問題ではないのである。「方法」の問題なのだ。
そして、いかにその「モード」を醸し出せるか、なのだ。
99種類も並ぶと、かなり壮観である。
比較してくことの面白さが、なんとも小気味いい。

この本、出版されたのは1947年なのだが、フランスでは、以来ずっと版を重ねている
人気作品だそうだ。
外国人がフランス語を勉強するのにも、役立つテキストらしい。

さらに、よくこんな本を日本語に翻訳できたもんだと思う。
当然なんだが、「翻訳不可能」というものも存在する。
例えば「ぱっと見、英語なんだが、声にだしてみたらなんとなくフランス語っぽい」
文体とか。ギリシア語風な造語を散りばめた文体とか。
どんな風に「変奏」されているかは、是非実物を読んでもらいたい。
翻訳者である朝比奈弘治氏による解説が巻末に詳細なので、
本文を味わいながら、この辺りも大いに楽しめる。

表紙の装丁もスタイリッシュでおしゃれだし、本文の各ページに施された
ちょっとしたお遊びも、なんともいい風情である。



文体練習





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最終更新日  2005年07月07日 02時06分09秒
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