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テーマ:本日の1冊(3697)
カテゴリ:本
最近、ちょこちょこTVに登場してすっかりメジャーな看板を背負った感の
ある茂木健一郎さん。著作もどんどん量産体制に入っている。 ちくま新書から出た最新作のタイトルは、『「脳」整理法』である。 こ、これって野口某のメガヒットハウツー本『「超」整理法』のパクリなん じゃ?と氏の動向に不穏な空気を感じたのだが、最初の数ページでそんなつ まらん斜めな視線は、吹き飛んだ。 構想段階ではノウハウ本だったらしいのだが、編集者と練っているうちに、 「遇有性」という脳科学の概念と生き方について模索する内容になったらし い。 「遇有性」とは、「半ば偶然に、半ば必然的に起こること」を意味する。 これは「こうすればああなる」という決定論でもなく、サイコロにおける出 目のランダムさのような確率論でもなく、その中間にあるようなものといえるらしい。 例えば、好きな人とうまくいくだろうかとか、新しい事業で成功できるだろ うかとか、「ある程度自分の選択や行動で結果を左右できそうだが、やって みなくちゃわからない」というもの。 当たり前なんだけど、世の中の関係はほとんどこれに該当して、人生の面白 みも不安さもここに起因する。 このような不確実さを楽しむか恐怖するかで人生が決まってくるというのは 誰しもなんとなく見当がつくと思う。 だいたい、世に溢れる情報の相当量は、この不確実さの不安をいかに解消す るかがテーマになっていると言っても過言でないぐらいだろう。 さてここで「整理法」の登場である。 「世界知」「生活知」という二つの知や「行動・気づき・受容」というセレ ンディピティなどとの絡みを見せながら、いかにして生命の躍動(エラン・ ヴィタール)を輝かせるかを追求していくのが、この本の真骨頂である。 色々なところでよく耳にする内容なのだが、その切り分け方、関係の結び方 が非常にうまくなされていて、自分が日ごろもやもやと気配だけ感じていた モノに輪郭が与えられたような、そういう納得感を醸し出してくれるのだ。 以前の日記に書いた「フロンティア~な人々」での考察と重なるところも あって、楽しく読めた一冊である。 「脳」整理法 同じく茂木氏のこちらもオススメ。 脳とクオリア お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年11月11日 03時59分07秒
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