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テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:本
量子論というものにずっと興味があった。
なんかすごくかっこよさげに見える世界だからである。 SFっぽい要素もふんだんにありそうだ。 さりげに「量子物理学の世界では~」なんて一席ぶったりすると、ものすごく 頭よさそうに見える感じもする。 ハヤくて、イケてそうな量子論。サイバーでサイエンスでハイパーな量子論。 ああ、なんとかしてこの論を我が身に移すことはできまいか。 書店には、数多くの量子の名のつく本が居並んでいる。 どれどれと手にとってみても、のっけから激しく意味不明な言葉が並んでいる。 自分が日本語を読み書きしているとは到底思えないほどの、絶壁の拒絶感。 物理も数学もどっちも苦手で、常に赤点もしくはギリギリでこなしてきた633の 12年。今更どうにもなりはしない。まぶたを閉じて書棚を去るしかないのか。 と、おバカの悲壮と宿命に身を震わせる私が見つけたのがコレ、「図解 量子論が みるみるわかる本」なのである。 今流行の「図解」である。おまけに「みるみる」である。そして「わかる」である。 しかもサブタイトルが「文科系の人でもすぐ理解できる!」である。 こんな殺し文句の羅列に欲情しない人はおるまい。 厚さも5mm程度と天使のごとき麗しさまで兼ね備えている。 ぱらっとめくって、さすが「図解」の名に恥じない、全ページ左側が全て図と絵で 構成された潔い体裁。 3段組の右ページには思ったよりも文章が詰まっている。 シュレディンガー猫のキャラクターらしい、いい加減な造作の猫イラストは、かなり ゲンナリするが、952円という価格も気に入り、即購入してみた。 中身の方は、一言でいえば量子論クロニクルといった風情である。 量子と量子論の概要を冒頭に、プランク、ボーア、シュレディンガー、ド・ブロイ、 アインシュタイン、ハイゼンベルグ、ノイマン、ドイチェなど、量子論に関わる 科学者達の論旨を時系列で簡略に素描してくれている。 「ここまでのまとめ」をしてくれたり、登場した科学者の概略をミニコラムにして いたりと、なかなかの心遣いである。 素人には理解不能と思われる部分は「難しいので省略する」などと明言してくる、 親切設計もありがたい。 最後の最後になってファインマンの「量子論を利用できる人は多いが、量子論を真に 理解している人は一人もいないだろう」という言葉を出してきて、めまいを起こし ている読者を慰めてくれる優しさまで持ち合わせている。 が、各科学者の論旨については松岡正剛氏の「遊学」の該当箇所を要約しているだけの ような気もしないではない。このムックを読んでから、「遊学」を再読したら、少しだけ内容 の理解が進んだのは嬉しかったが(笑)。それまで量子論関連ページは、何のこと やらさっぱりで、手のつけようがなかったのだ。 読み通して思ったのは、なんでミクロの世界とマクロの世界(人間が物理的に触れる ことができる世界)とで、こんなに仕組みが違うのだろう、ということだ。 なんかヘンだ。ミクロが集まってマクロを構成しているのに、とことん違うシステム。 「有ると無いが同時に重なっている」とか「Aを選択すると、同時にAを選ばなかった 世界がパラレルに存在する」とか聞くと、かなり奇妙な気持ちになる。 そもそもミクロとマクロという二分割で話を進めていることに問題はないのか。 ミクロとマクロの境界はどこなのか。 ミクロとマクロを繋ぐ何かはあるのか。階層ではないのか。 量子論はどうも時間とかエントロピーと関係しているような気がするけど、どうなのか。 こんな疑問が次々と沸いてくる。 この先、もう少し量子論の本を読んでみたいのだが、次に何を読めばいいのか、皆目 見当がつかない。 オススメ本、大募集中である。 図解量子論がみるみるわかる本 遊学(1) 遊学(2) ※「遊学」は文庫で1と2の分冊で出版されている。 歯ごたえありすぎで、死にそうになって読んだ。 紹介コメントは「ピタゴラスからマンディアルグまで、古今東西より選ばれた巨人たち 一四二人の消息を、著者自らの体験をまじえ融通無碍に綴った空前の人物譜。六〇~七〇 年代のカルチャーシーンに多大な影響を与えた伝説の総合誌『遊』より生まれた幻の大著。 1巻にはピタゴラスからエジソンまでを収録。」である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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