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テーマ:本日の1冊(3698)
カテゴリ:本
またもや、空白続く日記になってしまった。
こういうのも雪景色っていうのかねえ。はあ、真っ白。 今、花伝所っつーところで、どりゃーっとお稽古中である。 締め切りがかっちりしていて、ルーズが人格化したような私にとっては、 激しく厳しいのである。 にも関わらず、どういうわけか、久しぶりに京極夏彦を手にしてしまった。 しかも、比較的薄い「姑獲鳥の夏」ではなく、読み応えたっぷりの「魍魎の匣」 である。 ああ、人はそれを現実逃避というのでしょうね。 実は、ことあるごとに「魍魎の匣」は読み返している。 初めて読んだ京極作品ということもあって、そのインパクトはいまだに揺らぎを 放ち続けている。多分、今回が6回目ぐらいじゃないだろうか。 こう何度も読むと、最初に感じたエッジはさすがに緩んでいて、さらっと通り過ぎ 終わってしまうところも多々あるのだが、逆に新たな発見もある。 今回、ようやく思い至ったのが、京極小説の仕立て自体が、物語としっかり リンクしているということだ。なんで今まで気が付かなかったのか、不思議で ある。京極小説は、その物語の中で使われているキーワードが必ず、作品の構造 にも使われているのだ。 「魍魎の匣」の場合のキーワードは、魍魎、オカルト、箱、そしてバラバラ。 この「バラバラ」というのが構造に反映されているのだ。 物語ではバラバラ殺人事件というストーリーの主軸の一つとして使われている。 構造では、時間的な順番をちょっと解体して置き直していたり、小説中小説の 挿入の仕方も、その順序を入れ替えて挟み込んでいったり。 さらにもう一つは、いわずと知れた「箱」のバリエーションである。 人間の外面と中身、密室、自分と世界、こういったモチーフが物語の中に 散りばめられている他、入れ子構造という形で仕立てに活かされている ようにも思う。 それは、様々なエピソードが「隠されている」という作りになっている ことに現れている。無論、どのような物語にも基本的に「秘密」と「秘密 の開示」が盛り込まれているのが通常である。京極作品だからといって、 ことさら取り立てるものでもないかもしれない。 が。その隠され方と開示の方法が、絶妙なのだ。 こういうところが、京極小説のスタイリッシュさを際立たせている。 物語と仕立てが渾然一体となったとき、超絶と評される迷宮と謎解きの妙が 一気にこちらに押し寄せてくるのだ。 魍魎の匣 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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