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UNA5951

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2005年12月16日
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テーマ:本日の1冊(3698)
カテゴリ:
またもや、空白続く日記になってしまった。
こういうのも雪景色っていうのかねえ。はあ、真っ白。
今、花伝所っつーところで、どりゃーっとお稽古中である。
締め切りがかっちりしていて、ルーズが人格化したような私にとっては、
激しく厳しいのである。

にも関わらず、どういうわけか、久しぶりに京極夏彦を手にしてしまった。
しかも、比較的薄い「姑獲鳥の夏」ではなく、読み応えたっぷりの「魍魎の匣」
である。
ああ、人はそれを現実逃避というのでしょうね。

実は、ことあるごとに「魍魎の匣」は読み返している。
初めて読んだ京極作品ということもあって、そのインパクトはいまだに揺らぎを
放ち続けている。多分、今回が6回目ぐらいじゃないだろうか。
こう何度も読むと、最初に感じたエッジはさすがに緩んでいて、さらっと通り過ぎ
終わってしまうところも多々あるのだが、逆に新たな発見もある。

今回、ようやく思い至ったのが、京極小説の仕立て自体が、物語としっかり
リンクしているということだ。なんで今まで気が付かなかったのか、不思議で
ある。京極小説は、その物語の中で使われているキーワードが必ず、作品の構造
にも使われているのだ。
「魍魎の匣」の場合のキーワードは、魍魎、オカルト、箱、そしてバラバラ。
この「バラバラ」というのが構造に反映されているのだ。
物語ではバラバラ殺人事件というストーリーの主軸の一つとして使われている。
構造では、時間的な順番をちょっと解体して置き直していたり、小説中小説の
挿入の仕方も、その順序を入れ替えて挟み込んでいったり。

さらにもう一つは、いわずと知れた「箱」のバリエーションである。
人間の外面と中身、密室、自分と世界、こういったモチーフが物語の中に
散りばめられている他、入れ子構造という形で仕立てに活かされている
ようにも思う。
それは、様々なエピソードが「隠されている」という作りになっている
ことに現れている。無論、どのような物語にも基本的に「秘密」と「秘密
の開示」が盛り込まれているのが通常である。京極作品だからといって、
ことさら取り立てるものでもないかもしれない。
が。その隠され方と開示の方法が、絶妙なのだ。

こういうところが、京極小説のスタイリッシュさを際立たせている。
物語と仕立てが渾然一体となったとき、超絶と評される迷宮と謎解きの妙が
一気にこちらに押し寄せてくるのだ。


魍魎の匣

魍魎の匣





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最終更新日  2005年12月17日 02時33分12秒
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