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テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:本
ちょっと前に読んでたんだけど、改めてさらっと流してみた。
仏教そしてインド哲学の巨匠中村元氏、1970年の著作である。 そもそもの発端は昨年12月に、京都にてある方の仏教講義を聞いたことに よる。 この時のお話は、2億年前の地球の大陸移動から人間の意識の発生に至り、 その意識をシャカがいかにコントロールしようとしたか、という壮大なス ケールで語られた。 さらに、シャカの説いた六師外道や十二縁起とか、あまりに知らないこと が多くて、ともかくもうちょっとどうにかしたいと思って駆け込んだ本屋 で見つけたのが、これだった。 シャカの論旨を読んでいくと、2500年前でも人間の悩みとかって、あんま り変わってないもんだなあというのが、正直な感想である。 ともかく、最初の仏教ってこういうもんだったというところは、だいたい の輪郭がつかめ、その後の変転を知りたくなる一冊である。 だいたい、無常(この世で変化しないものはない)ってことを認めるのは、 結構しんどいと思う。 やっても無駄だから~、なんて言い訳ができなくなるもんね。 ついでに取り返しのつかない過去のことやまだ起きてもいない未来のこと を、どうにかしようとするのは無駄なんだよ、ってことでもある。 この「どうしようもないことをどうにかしよう」という、いわゆる「執着」。 これを捨てましょーなんてことは、今でも色んなところで叫ばれていると思 うけど、その「捨てよう」自体がもう執着です、なんて言っちゃってるのだ よね、2500年前に。 この頃にはカンタンに「執着を乗り越えてニルヴァーナに至りましょう」、 とか言って終わってて、じゃあどうすればいいの?という問いには「正しい ことをやりましょう」なんて答えたりしてるので、もうちょっと突っ込んで 考えなくていいのかねえ、などど不遜なことを思ったりもする私だが、それ でも、無常と執着という観点は、すごいもんだと思う。 不確定性と欲望。生まれてから死ぬまで、人間の周りにあること・あるもの といえば、これに尽きるような気がする。 ノーベル賞に今最も近いと言われる脳科学者の茂木健一郎氏だって「遇有性」 という言葉をもって、ほぼ同じポイントをついていると思う。 シャカは「こーすりゃいいのさ」と言ってしまうことの危険性を、すごく感 じてたんだろうな。でないと「正しい」なんて言い方で終わってないよな。 普遍的な「法」とか、「真理」とかにしても、細かく見ると人それぞれで、 大枠で見るとどれも同じ、みたいなもんなんだろうなと思う。 となると、結局はプロセス、か。 原始仏教 中村元選集(第20巻)決定版 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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